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音楽教育「独り言」

「もっと音楽教育を!」

桜満開、絶好のお花見日和。事務所に来る道すがら、車を止めて暫く花見見物としゃれた。真っ青な空に薄いピンクの花が映える。江戸川沿いの土手は一面菜の花がここぞとばかりに咲き乱れ、サイクリングロードは暫く菜の花ナロードとなる。毎年、この景色に魅了されている。世は消費税が上がり何となく重苦しい雰囲気だが、自然だけは人間社会にお構いなしで私達に春を告げている。江戸川なのだが「♪春のうららの隅田川…」と歌いたくなる。

我が国には、音楽教育というものがあった。その仲で定番の曲は、いつしか卒業式で歌われる曲として受け継がれていった。「仰げば尊し」がそれだ。今は「旅立ちの日に」という曲に変わっている。「仰げば尊し」、今でもこの曲を聴くと学生時代を思い出す。ちょっと先輩になると、「学生時代」も思い出されるだろう。

日本の音楽教育には、春夏秋冬の歌を「童謡・唱歌」として、日本の原風景や、美しいことばを歌にして受け継がれてきた。例えば、春の歌を思い出してみても、早春賦・春よ来い・どこかで春が・うれしいひなまつり・ちょうちょう・おぼろづきよ・春が来た・春風・花(春のうららの隅田川)・さくらさくら・春の小川、そして仰げば尊しと続く。どこかに懐かしいことばの響きと共にメロディーが浮かんでくる。

しかし、悲しいかな、こうして受け継がれていくべき童謡・唱歌が時代と共に歌われなくなってきた。「受け継がれていくべき」と思っていたのは私の独り善がりであったようだ。小学校はおろか、幼稚園、保育園でもあまり歌われなくなってきた。お母さんも、子どもに聞かせる歌として、一緒に歌う歌として選ばなくなってきている。私は、築地生まれの江戸っ子だったから、幼い頃から田舎に憧れを持っていた。河田町・麹町・高円寺・巣鴨と親戚は殆ど東京だった。小学生の頃、引っ越しで都内でも埼玉に近い足立区に引っ越した。荒川を渡り、引っ越し先に着いたとき胸がときめいた。自分の思い描いていた景色がそこにあったからだ。田んぼ、畑、野原、池、山は遠くに筑波山が見えていた。

学校では、童謡・唱歌を数多く取り上げてくれていた。そこから想像する景色、季節の移り変わり、聞き慣れないことばの数々、音楽の時間が待ち遠しかった。こうして昔を思い出すと、音楽を通して学んできたことの数々が心に残っている。今でも、卒業式の時に歌う歌で涙する子どもや保護者の姿が多い。歌は、一瞬で心をタイムスリップさせてくれる。童謡や唱歌は年代を超え、時代を超え、良い歌が沢山ある。飾り気のない、美しいことばの数々が詩に託されている。震災の時、歌われた「故郷」は年齢を超えて、被災された方々の心に、変わり果てた我が故郷を思い起こす歌であった。

幼児教育でも、これからは童謡・唱歌を積極的に扱うべきだと思っている。私がご指導させて頂いている新潟県長岡にある保育園でも、音楽教育は保育の柱となっている。「故郷」は、音楽発表会の際、会場全体で歌われている。20年ほど前お邪魔したとき、帰りがけ園児に囲まれ、私を見上げながら「月の砂漠」を歌ってくれたことがある。澄んだ瞳で見つめられ、澄んだ声で歌われた「月の沙漠」は、正に砂に水が染み込むように心に入って来た。誰でもが理由のない涙を流すはずだ。私も例外ではなく心が感じ、動き、涙が流れた。これを感動というのだろう。改めて、ご家庭でも童謡・唱歌を聞き、お子さんと一緒に歌ってみては如何だろう。幼い頃の光景が蘇ってくるかも知れない。既に祖父母になられた方は、是非お孫さんに歌ってあげて欲しい。お孫さんへの何よりのプレゼントになるだろう。♪春よこい 早く来い 歩き始めた…

♪♪

春は名のみの 風の寒さやウグイス
谷のうぐいす 歌は思えど
時にあらずと 声もたてず
時にあらずと 声もたてず

氷融け去り 葦はつのぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日も昨日も 雪の空
今日も昨日も 雪の空

春と聞かねば 知らでありしを
聞けばせかるる 胸の思いを
いかにせよと この頃か
いかにせよと この頃

春よ来い 早く来い
あるきはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている

春よ来い 早く来い
おうちのまえの 桃の木の
つぼみもみんな ふくらんで
はよ咲きたいと 待っている 

2014/4/1


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

幼児教室・学習塾のキッズスクールアップル富ヶ谷
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