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生活と学習

「1,記憶力」

学習を通じて、記憶力に悩む子ども達や保護者の方々を多く見かけます。学習だけでなく、記憶は私たちの生活と密着しており、年齢を重ねると痴呆と呼ばれる記憶障害に悩む年配者も増えてきます。記憶は、年齢を問わず、私たちの身近なテーマだと言えます。

時代は、知識偏重と呼ばれる、単に知識を有しているからと言って、「知識だけでは何も創造しない。」とまで言い放つように、思考重視の道を選択しました。これは、今までの暗記に頼る学習を半ば否定しています。ここで言う「暗記」と「記憶」は何が違うのでしょうか。学習にはどちらが必要で有効的なのでしょうか。

例えば、好きな歌を途中から歌えますか?ところが、歌えそうで歌えないというのが一般的です。これは、歌詞の頭から順に覚えているので、途中から歌うことが困難なのです。プロの歌手でもあり得ることで、人の記憶の曖昧さがこうした形で表れます。では、学習の現場ではどうでしょうか。分かり易い例では、万葉集・徒然草等の一節を暗記されたと思います。これも途中から始めることはできず、どうしても最初の部分からでないと言えません。これがいわゆる丸暗記の実態だと言えます。しかし、使用頻度がこの丸暗記を別の形、つまり、一般記憶へと変化させます。掛け算九九が良い例でしょう。最初の内は、7×6など、頭から九九を唱えなければ答えられなかったものが、計算の回数が増えるほど言えるようになります。これが記憶であり、記憶の活用なのです。

では、記憶力を高めるにはどのような方法があるでしょうか。私たちのように、教育現場では、キャッチフレーズで「記憶力を高めます」「集中力を付けます」と大々的に宣伝します。しかし、その殆どが期待外れとなっています。学習と記憶、これは永遠のテーマなのかも知れません。そこで、幼児期から強制的に暗記させる指導があるのですが、先ほども述べたように、丸暗記ではその使用頻度によっては意味のないものとなってしまいます。つまり、覚えた情報を如何に使うかが記憶力を左右しているのです。記憶力は、脳の使用頻度で変わるのです。

過去に於いて、私たちの記憶力は今以上だったと思われます。では、質問です。5人の友達の電話番号を言ってみて下さい。言えなければご夫婦であれば互いの電話番号を10秒以内に言って見て下さい。直ぐに言えましたか。ご自分の携帯番号は如何ですか。私たちは、以前、日常生活の中で短期記憶を繰り返し行っていました。脳を頻繁に使っていたのです。今はどうでしょう。短い間だけ覚えておく必要のある生活をしているでしょうか。短い間だけ覚えておく内容、これを短期記憶と言います。この短期記憶の繰り返しで脳は記憶の訓練をします。そして、短期記憶した内容を繰り返し、繰り返し思い出し使うことによって、より確かな記憶、長い間覚えておくべきもの長期記憶となります。しかし、長期記憶であっても、記憶されたものはなるべく思い出し使わなければなりません。記憶の想起。つまり思い出し「使う」ことが大切なのです。記憶された情報を使うということは、他の情報と組み合わされて行きます。記憶の加工とも言うべき、新たな情報として記憶されていきます。

石川メソッドでは、記憶に関する様々な指導が授業の中に入っています。例えばフラッシュカードがそうです。石川メソッドでは復唱型フラッシュカードを行います。「四面楚歌」という四字熟語、低学年では勿論読めません。しかし、「しめんそか」と読み、復唱させる。どうでしょう。いったん聞いた「しめんそか」という言葉を短期記憶し、それを声を出すことばに置き換えています。これをただ聞くだけのフラッシュカードだったらどうでしょう。学習効果は上がるでしょうか。短期記憶の学習には書写も含まれます。聴写はさらにその上を行く高度な学習でしょう。

こうした短期記憶の学習は家庭生活を通して数多くできます。家庭内のお手伝いはその宝庫です。料理、お使い、掃除の手順、洗濯など、短い時間だけ覚える事は考えれば沢山あります。学習を、そして、その基礎を幼稚園や保育園、学校や幼児教室だけに求めるのは間違いです。親子間の関係を深くさせること、お互いに家庭生活に関わっていくことから学習能力を支える生活力が養われるのです。記憶力も、こうした日常の中で養われます。つまり、記憶は、学力を付けるためだけにあるのではありません。広い視野で記憶力を高めていくことが大切なのではないでしょうか。

2013/12/21


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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