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子どもと授業と緊張感

「温故知新」

長岡のK園長から、「あの授業」と言われ、当時を思い出しました。教務の責任者という立場で、実に多くの先生方が授業見学に来られました。先生方は、全国各地から来られます。ただ、生徒とは1週間に1度だけなので、当然ですが授業中は子ども達に集中します。最近、平成の子ども達には授業中に緊張感がないと感じています。たぶん、日頃から緊張する場面は多くないのかも知れません。それは、学習自体を軽視する傾向も併せ持っています。私の授業は全員参加型の授業です。知識では私は子ども達に勝ります。しかし、発想やものの見方については子ども達に及ばない事があります。その為、授業では一人一人に焦点をあてるようにしていました。

近年、個人や個別授業に保護者の人気が集まっています。しかし、幼児期から小学生は集団が大切だと思っています。様々な人の考え、発想、思いを聞くことが大切だと思うのです。私の授業ですが、集団で行われていました。20名弱の生徒です。すると、全員を複数回あてるには限られた時間内では無理です。そこで、既に皆さんが行っている「句点読み」など早くから行っていました。私の専門は算数なのですが、国語指導も教務の責任者として行っていました。子ども達にはそれぞれ能力差と学力差があります。また、その日の体調も授業に大きく影響します。また、見逃してはならないのが「精神面」です。そこで、水道方式同様に、分析総合法を駆使します。

子ども達の体調は状態を見たり、本人からの申し出などから理解出来ます。最近でこそ少なくなりましたが、以前は、学校は休んでも学習教室には来るという生徒が当たり前でした。さて、精神面ですが、子ども達の状態を見るには、彼らが書く文字を見れば解ります。そこでプリントが役に立ちます。子ども達の授業開始は名前を書くことから始まります。低学年ほど精神面の問題は文字に表れます。机間巡視して、いつもと違う文字の乱れを発見します。この時に、今日注意すべき生徒を確認します。帰るまでには元気になって貰おうと考えるのです。それも、学習を通して元気にさせる、これが自分の役目だと思っていました。子どもは些細なことで落ち込みます。しかし、立ち直りも速く、いつものリズムに乗せるのが腕の見せ所になります。

さて、授業の開始です。フラッシュカードも石川式です。カードとカードの合間も無駄にしません。この辺りから、子ども達の緊張感が漂ってきます。スリル・スピード・サスペンス、スリーSタイム(こじつけです)と称し、いつ、どこで、だれがあてられるか解りません。答えられなければ立たされます。この時、調子の悪い子には、答えやすい問題を、態度の悪い子には難しい問題をと使い分けます。勿論、ちょっと遅れ気味の子にはスペシャル問題を出し、勇気づけます。一度あてられてほっとしていると、直ぐにあてられます。だからスリルがありサスペンスです。こうして5分~10分程度の時間が過ぎ、授業の本編に入ります。子ども達は既に集中しています。だから授業展開がスムーズに進みます。「子どもを見る」これは教師として授業に臨む際の基本です。「楽しく学ぶ」これもそうですが、間違えると「楽して学ぶ」となります。学習は無理矢理行わせるべきではありません。

面白いことに、子ども達はこの「スリーSタイム」が大好きでした。子ども達は学びたがっている。しかし、大人が誤った方法論で行っているのだと思いました。

K園長はこの授業のことを仰っていたのです。見学者が入って来ようと、授業に集中することに大変驚かれていました。子ども達と私とで作りあげるその場の雰囲気、誰もが主役である授業。暫く封印していたのですが、K園長のお陰で長岡の地で復活です。

2014/6/16


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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