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思考が停止する子ども達

「学習中の独り言は…」

酷暑の中の夏期講習もいよいよ大詰めです。私は算数・数学の担当です、教室は冷房が効いている良いのですが、扇風機だけだっらと思うとぞっとします。この暑さでは脳も思考停止をしてしまうでしょう。新指導要領が展開されてから、学力遅滞、昔言われた「落ちこぼれ」について問題提起をしてきました。やはり、20年前の小学生と比較し、文章問題などの理解力、発想力は間違いなく低下しています。今、私の手元にある文章問題の資料は、1970年代後半のものです。中学入試に向けて文章問題を指導していた頃に使用していました。この問題を当時の小学3年生に行っていました。和差算・倍数算・消去算・差集算・通過算・流水算・旅人算等です。現在、この問題は高学年で行っていますが、間違いなく考える力は衰えていると言えます。継続して指導してきた生徒と、途中入室の生徒の違いは、「応用力」で大きな差がつき始めています。タイルを使って指導して生徒の発想は、線分図、テープ図、タイル図を使った問題も難なくこなします。倍数算などでタイルの効果は絶大でした。

 一方このような難しい文章問題をこなす子ども達は、20年前と比べ思考力の定価はあるものの、次第に理解を示してきます。「機械的」な計算と違い、式を立てるにも、しっかりと順を追って考えなければなりません。文章に出てくる、全ての数字を使わなければと思っている子どももいるほどです。考えることを授業の中で地道に行う必要性を感じます。

 最近になり、入室希望の子ども達に気になる行動があります。それは「独り言」と「質問のオウム返し」です。問題を解いているとき、質問したとき、必ずと言って良いほどこれらの反応が引き起こされます。まるで自分自身に言い聞かすようで、それは、学習に遅れがある子ども達に共通しています。オウム返しの場合、ことばの意味を探っている様子が伺えます。また、独り言は、問題の主旨を探ろうとしているようで、何度も繰り返し同じことばを発します。一般的には、こうした様子は、こちらが注目している場合、一生懸命に取り組んでいる場合に多くみられます。高学年の学習は、特に算数などの場合、概念などを学ぶ学習が多く、「機械的」な計算とは大きな違いがあります。それだけ考える事が多くなり、ことばの理解が必要になります。

 ことばの理解は記憶力に繋がります。記憶力と、ことばが思考の基礎となります。単純なことでも、ことばによる概念理解が難しい子どもは、同じ間違いを何度も繰り返します。例えば、中1の数学で、正と負の数の計算があります。一見単純そうに見える所で躓きます。例えば、「同符号はプラス」「異符号はマイナス」という考え方があります。ところが、今まで、符号など何も考えず行ってきた計算に、このような概念が入ってくるとたちまち理解不能となります。たぶん、その手前では、四則計算や( )のついた計算、それも( )・〔 〕・{ }では間違いなく苦手意識を持っていたはずです。計算でも考える癖を付ける。これは、私の持論でもありますが。「機械的」計算と思っている学習も、タイルを使うことで、計算を言語化できるのです。つまり、計算をことばで説明していく。また、実際にタイル操作を行う。子ども達の理解力は繰り返しの中で定着していきます。

 独り言やオウム返しを繰り返す子どもには、音読や、計算問題の言語化を行っています。ことばに変化させていく学習で、子どもの言語力を高めます。その繰り返しが少しずつ語彙数を高め、理解力を持つことで思考力に繋がります。自分に言い聞かすように発する「独り言」は学ぼうとする積極的な行動に対し、脳が応えた結果なのかも知れませんね。

2014/8/7


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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