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教育評論家・研究家 石川幸夫の教育ブログ

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現在、教育評論家・研究家として活動を行い、弊会理事でもある石川幸夫先生による教育に特化したマガジンです。専門は、幼児教育および小学生教育で、胎教から、子育て、受験、学習など幅広く…
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#思考

考えること

「質問の反芻(はんすう=繰り返す)」 授業中に生徒達に向けて行う質問、投げかけられた生徒の反応がそれぞれ違います。ある生徒は即答し、ある生徒は首を傾げます。そんな中に、私の質問を何度も繰り返し声に出す子がいます。  先生:「この計算はどこから始めますか?」  生徒:「この計算はどこから始めますか。」     「この計算はどこから始めますか。」     「うぅーん、えーと、この計算はどこから始めますか。」 質問を繰り返しながら、問題に取り組みます。最近、このように問

思考の整理

「教材開発は知識の整理」 昨年制作した「タイルさんすう」の引き算編を望まれる声が多く寄せられ、現在作成中です。昨年から、教材の整備と新たな制作に没頭していますが、教材製作は悩むことが多く、その為に、授業の一部をさせて貰っています。教材製作には、子ども達から学べる授業が一番です。子どもの見方、考え方、とらえ方、何に興味を持つのか、そして現代っ子の特徴を探ります。彼らの授業中の姿に教材開発のヒントが沢山隠されています。 タイル指導は、私がある幼児教育の教務の責任者をしていた時

思考の前の知識

「基礎がものを言う」 ES細胞やiPS細胞とは異なる新しい万能細胞、『STAP細胞』の作成に成功した小保方晴子さん。これは我が国の基礎研究レベルの高さを世界に知らしめた。しかし、その画期的な、また常識破りの論文であったため、昨年春、世界的に権威ある英科学誌ネイチャーに投稿した際は、「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している。」と酷評され、掲載を却下されたと言う。なるほど、こうした知識偏重と権威主義が科学の進歩を遅らせる事もあるのだといことを知った。いずれにしても、こうした

思考力を鍛える「数・算数」

「計算:図形:量と測定」 保護者の方や、先生方の中に、私は言語教育の専門、国語指導の担当と見られている方が数多くいらっしゃいます。私は、ある幼児雑誌で、5年間、水道方式をベースとした「数の学習1・2・3」と題して連載をしていました。本来小学生向けの水道方式を幼児教育の数指導に活かす研究と実践をしていたからです。その過程で、数・算数・数学を指導している立場から言語教育の重要性を肌で感じ、言語教育及び指導についても学んできました。思考と言語の関係、そして、これから問題視されてく

思考停止の子ども達

「知識を広げる」 塾の先生方から、指導しにくい子どもが増えて来たという話しを頻繁に聞きます。これは、教育の世界だけではなさそうです。スポーツの世界でも見られ、コーチの話をしっかり聞くことができないと言います。子ども達の口から出てくる言葉は、学習現場でも、スポーツの現場でも同じ「知ってる」ということばです。 この「知ってる」ということば、実に多くの危険性が孕んでいます。まず、このことばは、肯定的に捉えられているようで、意識は正反対に動いています。「自分は、知っているから聞か

幼児教育と英語教育

「何の為に?」 日本は、よくアメリカの51番目の州と呼ばれることがあります。それだけアメリカに従順であるということでしょうか。国際社会にでていく日本人は多く、当然日本社会もグローバリズムに飲み込まれています。それは、教育のあり方を根底から変える力を持っています。今、我が研究所のスタッフと話すのは、私たちの幼児教育のコンテンツを英語指導に活かすというものです。私たちの教育は、そのスタートを「胎教」からと設定しています。そして、以前お話をした幼児教育の第1期である胎教から1歳と

教育移住と英語

「教育のグローバル化と言語能力」 昨日の夜大阪に入り、本日早朝から読売テレビの「ウェークアップぷらす」に出演させて頂きました。この番組は、以前、アンパンマンの原作者「やなせたかし先生」がお亡くなりになったとき、VTRで出演させて頂き、今回で2回目です。今まで、他局でもありましたが、私が出るときには何かしら大きなニュースが流れ込んできます。大リーガーの一郎選手の移籍、芸能人の婚約発表、今回は、あの秘密保護法の強行採決でした。本来ご一緒出来ると楽しみにしていた石原環境大臣も、東

心と思考「独り言」

「難題に臨む」 『思考が浅いと「感情」優しい、怖い、好き、嫌い、などの感情で物事を考えるようになるのでしょうか。』という、コメントを頂いた。鋭いご指摘で、「感情と心」についての相関関係は、私にとっても課題の一つでもある。ただ、物事を考える場合、その先にあるのが「判断」だ。そして、人の判断に、感情が勝ることもあれば、冷静な思考力を持って臨むことが正しいこともある。しかし、多くの場合、感情的判断はその答えは既に決まっていることが多い。「好きか嫌いか」「損か得か」という二者選択で

知識から思考へ

「考える!?」 幼児教育を経験してきた子は指導しにくいと言うコメントがありました。様々な研修会で、出席された先生方から同じような苦情に似たお話を良く耳にします。以前から、これからの教育は「思考力」を高める方向に向かうと申し上げてきました。塾の先生方からのご指摘は、ある意味確証をついているのではないかと思います。 先生方から、「知っている!知ってる」と、授業を妨げるように言い放つ子どもの大半が幼児教室経験者であるという報告があります。ところが、内容について尋ねると表面的な事

知識から思考へ

「考えれば解ること」 最近、様々な犯罪や、不祥事が目立つようになってきました。それも、優秀な方々の不祥事が増加してきているように思いませんか。医者、警察官、教師、企業のトップ、最近の松江市教育委員会の問題もそうですが、それらを見てみると、物事を分析と総合という形で思考され判断すれば予測のつくことばかりです。 これまで我が国が歩んできた教育は、主に「知識」優先の授業体系を築いてきました。「知識」を蓄えていくために重要であったのが「記憶力」です。しかし、この記憶力も学習におい

思考の隙間

「思考の反復」 一つの概念や問題の本質にたいする理解を得るために、人は繰り返し思考するという「技術」を持っています。同じところを行ったり来たり歩きながら考えていると、その思考の先に一筋の光が見えてきた、という経験はありませんか。学習にも同じことが言えます。繰り返し考えると追うことは、時間はかかるもののいったん理解すると他の真実も見えてきます。「わかったつもり」が一番危険な学習評価です。 一時、高速学習という考え方がもてはやされました。ここに来てこれまで行われてきた教育シス

算数指導

「イメージとフィジカル」 天気予報に操られるように、大雪対策で悩んでいたのですがそれは杞憂に終わりました。日常生活にまた影響が出るのかと思われていましたが結果的には助かりました。やはり自然にはかないません。雪国の方々の雪対策から見ると何とも情けない思いです。 日常生活と学習とは切っても切れない関係があります。敢えて何故このような当たり前のことを言うのか、それは、多くの方が学習を狭く捉えすぎているからです。学習は実に幅が広く、教室という狭い空間だけでは判断出来ないこともあり

算数指導

「教えない指導」 指導とは、物事を指し示し導くこと、そこには暴言も暴力もありません。スポーツも、教室内の学習も頭を使う時代に入りました。頭を使う、それは「考える」という単純なことです。「何故」「どうして」の繰り返し、その結果導き出される結論。子ども達には考えるチャンスをより多く与える事が大切です。すると、自然に授業は問題の解説ではなくなります。思考の場となるのです。様々な視点で考えるとすると、子ども達の理想の教育環境は集団となります。個別指導が盛んですが、多様な考え方は個別

算数指導

「考えさせる指導」 思考力を重視する新指導要領。考えることの源となる体験や経験をことばを通して表現し記憶に留める、場面やものをイメージするだけでなく、ことばを通した記憶は、単なる暗記と違い、次の情報により変化し加工され活かされていきます。いわゆる「記憶の活用」は、その記憶を使い、加工される等、思考を伴い大きく膨らんでいきます。 この考え方が、かつての「詰め込み主義」とは違う学習のとらえ方です。教育現場の悩み事の第一位が「記憶力」の向上でした。どうすれば記憶力が上がるのか、