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思考停止の子ども達

「知識を広げる」

塾の先生方から、指導しにくい子どもが増えて来たという話しを頻繁に聞きます。これは、教育の世界だけではなさそうです。スポーツの世界でも見られ、コーチの話をしっかり聞くことができないと言います。子ども達の口から出てくる言葉は、学習現場でも、スポーツの現場でも同じ「知ってる」ということばです。

この「知ってる」ということば、実に多くの危険性が孕んでいます。まず、このことばは、肯定的に捉えられているようで、意識は正反対に動いています。「自分は、知っているから聞かなくてもいい。」となるのです。つまり、意識としては否定的に働いてしまう思考停止状態となってしまいます。すると、脳は、必要のない情報として処理をし、記憶に留めることをしなくなります。同時に、学習のインプットを司る「見る事」「聞く事」の学習意識をシャットダウンする結果に繋がります。これは、知識の過大入力や子どもを取り巻く情報の反乱を意味しています。

「知っている」ということは決して悪いことではありません。むしろ重要なことです。では何故、先に述べたようになるのでしょうか。それは、周囲が知識だけの学習を優先しているからです。傾向としては、名詞系のことばが多く、子どもには、それを解説、説明する為の形容詞や副詞が適切に備わっていません。「それは何をするもの?」「どのように使うもの?」「何の為に」と質問してもなかなか応えられません。知識が大切だと考えがちですが、知識だけでは、文や文章のように思考としての広がりはあまり期待できません。

大切なことは、その(知っているという事の)先ではないでしょうか。例えば、野球で行う「バント」ですが、それ自体の名前を知っていても、いざやってみるとできません。知識は体験よって裏付けされ、具体的に幾つもの動作から成り立つことを理解します。そして、実践で確かめるのです。この間にあるのが体感・会得・理解・工夫という事が複合的に混ざり合った「思考」です。このとき、様々なことばが引用されます。ベース、バット、平行、目線、膝、おる、上下、判断、サード側、ファースト側、カウント等、野球をおやりになる方であれば解ると思います。一つの知識には少なくともこれだけのことばが隠されています。これらをつなぎ合わせて一つの「バント」という動作が完成します。だからこそ、周囲の大人は、子どもに考えさせることが大切なのです。「バントとは何?」「どういうときに?」「何の為に?」「どのようにして?」という問いかけが大切です。

問いかけは、子どもに考えさせるきっかけを作ります。子ども自身も「なぜ」「どうして」ということばが大好きです。「どう思う」という投げかけも大切です。保護者からの何気ないことばの投げかけから会話がはずむこともあります。子ども達の学習でも思考停止状態にさせる指導が多いように思います。指導技術や指導能力に欠ける場合は悲惨です。今でも数多くの場面で見かけるプリント学習。私たちもプリントを使います。以前、コメントを寄せて頂いた事もありますが、1枚のプリントをどのように扱うかで、プリントの価値が大きく変わります。例えば○を付けるという単純な作業の学習があります。このような形式のプリントは場合によって十数秒でできてしまうでしょう。単純に○を付けて終わりの学習、これが知識偏重と呼ばれるやり方です。ご家庭でも十分気をつけて下さい。単純な良いか、悪いかの判断ではなく、そこに思考を入れなければ意味はないのです。「なぜ」「どうして」すると、十数秒でできるプリント、実は驚くほど奥が深くできていることに気付かされるでしょう。だから、プリントはシンプルに作られるのです。特に幼児教育のプリントはそのような考え方で制作されています。

子ども達の思考力を高めるには、知識を活かした考えさせる学習が大切ではないでしょうか。

2013/12/12


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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