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思考の隙間

「思考の反復」

一つの概念や問題の本質にたいする理解を得るために、人は繰り返し思考するという「技術」を持っています。同じところを行ったり来たり歩きながら考えていると、その思考の先に一筋の光が見えてきた、という経験はありませんか。学習にも同じことが言えます。繰り返し考えると追うことは、時間はかかるもののいったん理解すると他の真実も見えてきます。「わかったつもり」が一番危険な学習評価です。

一時、高速学習という考え方がもてはやされました。ここに来てこれまで行われてきた教育システムが見直され、新たな編成期に入ってきているように思います。高速フラッシュカードも、より効果が出る復唱型に、右脳教育は脳科学として再認識され、左右脳の特性を活かした指導へと再編されました。高速教育は、語彙数の獲得と比例した速読教育へと進化してきています。これらの最新といわれる教育に対し、驚くほどベーシックな学習が繰り返し学習です。学習のすべてはその場しのぎの理解ではなく「学習の定着」が必要です。すでに繰り返し学習は教育界の定番でもありますが、生徒任せで以外と軽視されている現状があります。そして、いよいよ満を持して思考力重視の時代に入ってきました。

子ども達の思考力は思った以上に低下していました。思考力を上げるための語彙数獲得も不安材料です。新指導要領の展開により教科書もそれまでの1.5倍となり、教科書の指導は「消化する」ものと変化しています。指導内容が時間的問題から(おかしな理屈なのですが)とりあえず消化しなければならい対象になっています。このことは、定着のための繰り返し学習が無理であることを意味していると思います。今後考えられる子ども達の状態は、未定着な学習内容の量が増加するということです。その為に、事前の対策が必要です。未定着な学習内容の増加は=落ちこぼしを意味しています。思考力はおろか、学習内容の理解不足が進むことは避けたいものです。

学習において益々思考の隙間が広がり始める前に対策を立てなければなりません。思考を繰り返すのは一見無駄なようで実に脳の動きを活発にさせます。大切なのは、思い考え続けることで別の思考を引き出すことです。思考する学習をさせることが指導技術と言えます。

2013/5/2


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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