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丸の内ビジネス酒場エピソードPickUp②/「Jリーグと日本サッカーの成長戦略」~村井チェアマンが語るデータ分析と傾聴力

「丸の内ビジネス酒場」から印象深かったエピソードを紹介する本企画。第2回の今回は、村井満氏と岡部恭英氏が登壇した「Jリーグと日本サッカーの成長戦略」より、村井チェアマンが語るデータ分析と傾聴力について、NewsPicksアカデミア アンバサダーの宮崎恵美子さんがレポ―トします。

第1回記事:「人が熱狂するイベントと動画の正体」~小橋賢児氏の日本のエンタメ文化への思い

ロシアのワールドカップで思い出されることは?

今回ご紹介するのは、2014年にリクルートの執行役員から、全くの異分野であるJリーグのチェアマンに転身された村井満氏です。サッカー界の外からチェアマンに就任したのは村井氏が初めてのケースだったといいます。

そんな村井チェアマンのエピソードとしてまずご紹介したいのは、今年のロシアワールドカップで取り組んだデータ分析についてです。データ上、初戦の勝率がとても大事になると村上チェアマンはお話しされました。

実は、今年のロシアでのワールドカップで、初戦に負けてベスト16に入れたのはコロンビアだけでした。
ブラジル大会など過去のサッカーワールドカップのデータ分析からも、初戦の勝率が大事だという結果が出ています。
そのためロシア大会では、初戦に最高のピークを作り、勝ち点3を取ることを目指し、そのためにフィジカルチームが西野監督とのコミュニケーションを取りながら、余計なことをやらない方針を徹底しました。

日本代表で長く活躍する選手の特徴は?

次にご紹介するエピソードは、活躍する選手の「傾聴力」についてです。Jリーグではシュートや技術などフィジカル面のトレーニングがメインですが、傾聴のトレーニングはこれまであまりやってこなかったといいます。しかし、フィジカルで優秀でも、折れた心をリペアできる選手は多くなく、メンタル面でで脱落する選手が多いのも実情だといいます。

Jリーグに入ってサッカーを続けていける選手は約45パーセントと言われています。
10年間活躍し続ける本田圭佑選手や岡崎慎司選手に共通しているのは、フィジカル能力や技術ではなく、「傾聴する能力」です。これがずば抜けて高い選手が、日本代表に残っています。彼らは、監督が自分を使ってくれないときにそれがなぜかを納得いくまで質問します。なぜ自分は左サイドの怪我が多いのかについて、骨の構造から筋肉の質まで徹底的にメディカルのチームにヒアリングします。努力して主張し、主張する能力が高いと情報が入ってくるというサイクルがまわっているのです。

異業種からサッカー界に転身した村井チェアマンご自身も、人の話をよく聞き、分からないことは理由を尋ねる「傾聴力」と「主張力」を実践され、それを強みとされているそうです。

日本のJリーグでの選手育成について

最後に、Jリーグとスペインのレアル・マドリードを比較したパスのデータを紹介しながら、データを活用した選手の育成方法についてお話しされました。

日本はパスの成功率は77パーセント、パスの速度は平均秒速8メートルです。それに対し、レアル・マドリードは、パスの成功率が82パーセント、パスは秒速9メートル程で、日本より早く味方にボールを回しています。シュート数でいうと、Jリーグは12本、レアル・マドリードは17本です。
ここからわかることは、パスの速度を秒速1メートルを縮めることで、世界に近づくということです。
このように、プレーを徹底的にデータで可視化していき、それを育成に生かしていきたいと考えています。

いかがでしたでしょうか。今回のイベントで、日本のサッカーはデータ分析やチームのサポート体制も充実していることを知り、今後もサッカー日本代表の活躍が期待できると実感しました。

次回は、前田裕二氏の「人生を変えるファン作りとSNS戦略」についてご紹介する予定です。お楽しみに!

<イベント概要>

村井 満(むらい・みつる)
早稲田大学卒業後、日本リクルートセンター(現リクルートホールディングス)入社。同社執行役員、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)社長などを歴任。2008年よりJリーグ理事を務め、2014年1月31日に第5代チェアマンに就任。

文:宮崎 恵美子 

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