『日本再興戦略』といわれましても・・・マッチョな読書会レポート
三連休初日の土曜の昼下がり。『日本再興戦略』を小脇に抱えた(あるいはスマホにダウンロードした)十数名が半蔵門に集まりました。
アットホームな雰囲気のコワーキングスペースC-WORKに到着するなり、
「今日は落合さんは来ない。」
その事実に膝から崩れ落ちそうになる人、数名。
落合さんと話したかった・・・
ですけど、現代の魔術師であり日本の宝である落合さんは多忙を極めていらっしゃるので、今日は読者の私たちで、落合さんのメッセージを話し合うことに致しましょう。
あれ、だけどなかなか始まらない読書会。
申し込んだのに来ていない人が結構いるらしいw
まあ、そうですよね、三連休の初日の午後。
誰が好き好んで、他人が書いた本の話をしに出かけてくるでしょうか。他に楽しいことたくさんありますからね。もうすぐバレンタインだし。
そもそも知らない人と会ってすぐに、議論が成立するものでしょうか。
そんな不安の中、読書会が始まりました。
本日のファシリテーターは大学四年生の受田くん。4月からは民泊のベンチャーで働くそうです。
トレーナーにはReluxとの文字が。
なんかすごくキレッキレな感じがする!
受田くんのファシリテーションにより、テーブルごとのディスカッションが始まりました。
最初のお題はこちら。
・・・・。
そもそも東洋思想って何だかよくわかりません。
「始まりのない始まり」とか、「終わりのない終わり」とか聞いたことある。
宗教や立場により、捉え方は人それぞれな感じがします。
しかも、東洋思想は、西洋的文法では定義できないと落合さんは言っています。
定義できないものをどう議論したらよいのやら。
だけどこれまでの西洋を模した合理主義や個人主義が、今の日本にフィットしてきれておらず、違和感が隠し切れなくなっているという点には賛同できます。
「落合さんはその違和感を言語化してくれたのでは?」
とは、セミプロの漫画家さんの中村さん。
違和感を言語化・・。
そういうことかもしれません。
しかし、いまいち捉えられない東洋思想を体得するには一体どうしたらよいのでしょうか。
「東洋思想では、ヨガとか座禅とか、自分を見つめることがポイントになりそうですよ」
とは中村さん(再び)。
確かにそうかもしれません。
でも体得するには結構時間かかりそうですよね。
ミレニアル世代の集中力の持続時間は15秒、それより若い世代は6秒と言われている今の時代、東洋思想の発信力は弱すぎるんじゃ・・・
あ、でもそういえば、今度NewsPicksアカデミアで高城剛さんの「サウンドメディテーション」という講義があります。
ちょっと怪しいかも・・
とはいえ、この講義があるのは、東洋思想を体感せよとのNP運営の意図があるのかもしれないですよね。もちろんわたしはポチリました。
というわけで、なんだかんだで「東洋思想」についての議論はかなり盛り上がりました。
さて、次のディスカッションテーマです。
ワーク・アズ・ライフ。
仕事と人生ないし生活が一体化しているという考え方です。
これ、ワーク・ライフ・バランスを重視する人からは批難されてしまうかもしれません。
意見交換してみると、どうやらこの読書会では、既にワーク・アズ・ライフを体現している人が大半の模様。
まあ、三連休の初日にこんな意識高い読書会に来るなんてワーク・アズ・ライフ以外のなにものでもないですから。
だからワーク・ライフ・バランス派の人の気持ちは、むしろ共感できないかもしれません。
それでも議論のポイントになったのは、工場のラインで働いているような、家に仕事を持ち帰ることができない人にとって、ワーク・アズ・ライフは適用できないということでした。
うーん、これは問題。
議論はどんづまったかに思えましたが
「一つだけではない働き方から自分に合うスタイルを選択できることがワーク・アズ・ライフのポイント」
との意見が。
「そのためには、好きなことをやりきった経験が大事。それが自信を生む」
これは発言者ご自身の経験からにじみ出た言葉なのだろうなあと思います。
その他、印象的だったコメントはこちら。
・Slackというチャットアプリのように、同僚や家族、友人との会話が一つのプラットフォーム上に並列に並ぶ」のが、ワーク・アズ・ライフにおけるコミュニケーションのスタイル
・もともと意識の差があった人たちが集まり、共感しあい、感性を刺激しあう、そういうサロン的なコミュニティがワーク・アズ・ライフの基盤となる
なるほど、さすがみなさん、うまく特徴をとらえていますね。
ちなみに今年は個人的にグラレコ(グラフィック・レコーディング)に挑戦したいと思っているので、グラレコ風に下手くそな絵を描いてみました。汚くてすいません!
さてさて次のお題。
リーダー1.0の象徴が孫正義さん。カリスマ的魅力を持ち、トップダウンで巨大組織を動かすリーダーです。
一方のリーダー2.0とは、リーダー自身弱みがあって、周囲の人の強みをうまく生かす放牧型。
テーブルで話してみると、やはり既にリーダー2.0型の組織に馴染んでいる人が多い印象でした。
そんな中議論となったのが、部下として、指示待ちでなくどうリーダーシップを発揮するかという点です。
リーダー2.0を目指す前に、部下2.0だったらいつでも誰でもなれるはずですからね。
しかし「指示を待ち人間にならない」というのは言うは易し・行うは難しの典型かもしれません。エスパーでもない限り。
少なくとも組織のビジョンやストーリーが十分に共有されている関係性がなければ、指示を待たずに動いたとしても、事故しかありえません。
なので部下2.0をどう生むかも結局は、リーダー2.0の力量次第なのかな、と話をしながら思いました。
というわけで最後のお題。
「え、まだお題あるの?!」
「今回の読書会、詰め込みすぎww」
そんな非難の声が各テーブルから上がりました。
でもなんだかんだこの議論、今日いちの盛り上がりだったかもしれません。
ちょっとだけご紹介します。
ICOにより「失うモノ」として出た意見としては、投機の影響を受けるということです。
自治体の実力に関わらず、価値が上がったり下がったりする可能性があります。
更に資本家の意に沿うためにギャンブルや風俗などの事業に力を入れ、結果として地域の文化や風習が損なわれてしまう可能性があります。
対応としては、コインの価格は変動せず、リターンは金銭以外のサービスで返すというやり方が提案されました。
もう1つの懸念としては、自治体がもともと持ってる気候や地形といった条件により、格差が拡大するという点です。
その対応としては、地域ごとに最新テクノロジーで差別化するなどの案が議論されました。
最後の方、正直レベルが高くてついていけませんでした。
一通り話してわかったことは、ここに集まる人たちは、落合さんの『日本再興戦略』の基本コンセプトを既にインストール済みで、ほぼ肯定している(妄信はしていない)ということです。
この集団を見て、
「最近のNPは特定の考え方を押し付ける宗教だ!」
と糾弾するNPおじさんもいるかもしれません。
ですが落合さんが一定数以上の人に支持される背景には、
これまでの義務教育や西洋スタイルをよしとする大企業中心のやり方に疑問を感じ、アップデートが必要だと思っている、そんな課題感が共有されているということだと思います。
・・・
今回は、読書会という形をとりながら、参加者どうしが互いの価値観を確認することができた気がします。
NewsPicksユーザー企画では、NewsPicks Bookを触媒にした最高の深さの交流を目指しています。
交流の先には、共感しあった人たちが新たな軸のコミュニティを形成するかもしれないし、各々の本業で変革を起こすかもしれません。
そんなことを妄想するのがこの読書会シリーズの一番の味わいかなと思っています。
おわり
*本稿は2018年2月12日(土)に半蔵門C-Workで行われたNewsPicks bookpick # 4 アカデミア読書会の内容をあえて自虐的にレポートしたものです。
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