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【『手帖』と手“帳”(21)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 21日目)

この書き出しが多いけれど、またも私は電車に揺られていて、今日は、玉川上水取水口でのパフォーマンスを見に行く(というより、企画側として赴く)。その予習になればと、昨日は調布駅で降り、尾花賢一さんと石倉敏明さんの 「多摩川ジオントグラフィー」に向かったが、GoogleMap を読めずに一旦引き返す…と見知った顔が階段を上がってきて、やっぱりアベさんだった。
アベさんに案内してもらって、会場の【調布市文化会館たづくり】にたどり着く。2階(ホール?)に向かおうとする私を、アベさんは一階奥へと導いてくれて、船頭さんのようだ、展示室内には“川”が流れている。

その“川”の道なりに配された、マンガと逸話を読み進む。「玉川上水」という言葉を見つけたのは私の興味によるものだが、「おいぬさま」に惹かれたのは、まさにアベさんがその5文字をきっかけに訪れたからで、参拝した神社に祀られていたらしい。こうして興味が伝播していくことも、ある種、川みたいなものかもしれない。

「物語がたくさん生まれた調布には、物語から生まれたものたちがたくさん住んでるんだって」
「川近くにある映画撮影所の『大魔神像』は、夜な夜な悪い妖怪を退治しているだよ…」

という言葉は、「昭和30年生まれ・男性の話」として展示されていたもののいい加減な引用だが、話の中に登場した時、『大魔神』は“生きて”いたのかもしれない。今、手元にないからそれこそあやふやだが、『青い鳥』序盤で、“おじいさんチル”と“おばあさんチル”がチルチルとミチルに、「お前たちが思い出してくれた時…」生きている?みたいなことを話していて、

文章を書き残すことも、どこかそれと通ずるかもしれない。『手帖』のコメントもお願いした中島水緒さんに声を書けてもらって、夜は『「現場」研究会跡地』に参加する。この日のゲストはアートライターの杉原環樹さんで、配ってもらった、石内都へのインタビュー記事を読んでいると、聴いたことのない石内さんの声が再生されるようだ。「この人の声を均しちゃいけない…そう思う瞬間がある」と、たしか杉原さんは言っていた。
一方で、その“声”を伝えやすくするためには、話の順番を前後させたりと、編集にはこだわるそうだが、

ちょうど先週、「きょうりゅうのしっぽ」というポッドキャスト番組で収録してもらった音源が、昨日の昼過ぎに届いた。自分の声を聞くのが嫌で、とりあえず確認だけと思い聞き始めたけれど、意外なほど“聞けた”のはそこに編集が加えられていたからで、いい意味で他人の話を聞いているようだ。この感じは、インタビュアーであり、このポッドキャストの制作をしている津隈もるくさんが、歌人であることとも通ずる気がする。

今日21時から、

で前半が、24日(水)に後半(各15分程度)が公開予定なので、ぜひお聞きください。(続く)

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【クラウドファンディングはじまります!】

本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!

詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho

○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅

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『平岡手帖』について。

1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。

この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。

きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。

(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)

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