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【『手帖』と手“帳”(12)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 12日目)

『平岡手帖』のクラウドファンディング( https://camp-fire.jp/projects/view/747748 )が4月1日から始まりましたが、最終日の30日まで、毎日、【『手帖』と手“帳”】と題したコラムの連載(ごっこ)をしていきたいと思います。
前回投稿については、平岡の各種個人アカウント(Instagram/Facebook/X)やnote( https://note.com/nozomu_h )を、クラウドファンディング全体の詳細については下記、あるいは @hiraokatecho をご覧ください。

この“コラム”では、

①『手帖』について(特に、現在構想中の3月号を通して、いかに書いているのか)と、

②投稿日当日や前日のこと=私の実際の手“帳”(A5判のコクヨ製キャンパスダイアリー)に書き込まれた、『平岡手帖』4月号として綴られるはずの出来事

の二つを紹介していきたいと思います(特に4月号は、定期購読していただけた方へ初めてお届けする本になります)…

昨日は元々、恵比寿・代官山方面を巡る…つもりだったけれど、ちょうど前日水曜日、平岡手帖のコメントとリターンのことで連絡を取っていた東間さんから、木曜日に片付け(東間さんが代表を務める「ナミイタ」というスペースと、ナミイタが身を寄せていたアトリエ・トリゴヤは昨年末に火事で焼失してしまったから、何回か手伝いに行っている)があることを聞いたので行くことにした。
前回ナミイタを訪れたのは4月1日、それこそクラウドファンディングが始まった日だが、旧トリゴヤ/ナミイタ脇の桜は、その日から比べると格段に満開、というより葉桜へと傾斜していくぎりぎり、始めといった趣で驚く。それ以上に驚いたのは、ナミイタ後ろの“山”(アトリエ43年の歴史の間に蓄えられた作品や素材の一部、家電、廃材に、今回燃え落ちたもの…)が、この10日間ほどのあいだでかなりなだらかになっていることで、作品の一部だったのだろう、砲丸くらいの大きさの石膏玉がごろごろ出てきて、吉川さんが掘り出して投げる、私と、“アルミマン”姿の飯島さんはそれらをガラ袋に詰めていくがすぐに重たくなる。
除光液を濃くしたような匂いに振り返ると、燃え固まった塊を、東間さんがハンマーで叩いていて、そこから残った塗料が漏れ出ているらしい。「(塗料の類は)遠くに置けばよかったなぁ」と言ったサカイバラさんからは後で貝殻を頂いた、以前コレクションしていたらしいが、何の貝だが聞くのを忘れてしまった(「サ“カイ”バラだけに集めてたの?」と言ったのは通りがかった栗原さんだ)。薄いセルロイド(といってもあまり馴染みはないけれど…)めいた手触りでくるんと片側は巻いており、巻きと平行に、薄い焦げ跡のような茶色い斑点が10個ずつ等間隔に並んでいる。全体は仄かに茶色がかったクリーム色で、今はこの文章を書いている自室、白い机の上にちょこんと置いてある。

今日も日課のように大久保へ行く。昨日は“竹下脩三”さんの展示『構造体-5』だったが、長くても指先から肘くらいまでの長さの角材が4~6本組み合わされた彫刻が8つ、壁面から展示台へ、そして展示台の下の床へ…と降りてくるのをスローモーションで見ているような、妙な生々しさがあって面白い(展示台からはみ出している1つの存在が、そう見せているのかもしれない)。4日通ううちに大久保という街にだいぶ慣れてきたけれど、この日は立体、インスタレーションだったからこそcallbox自体の空間へ目が行く。右手上には“目隠し”の壁があり、手前にはメーターがある。斜めから見たり、下から見上げたりして、別々の“構造体”同士を(見かけ上)繋いでいく。ナミイタでは燃え残った木材をたくさん運んだ(それはこの日、というよりもむしろ先月の手伝いあたりだけど)から、鮮やかな木目が眩しい。

ちなみに今日は20時から、『平岡手帖』の件で早稲田あかねのツイキャスに出演する。いっそ朗読してしまった方が、わかりやすいかもしれない。恥ずかしいけれど。(続く)

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【クラウドファンディングはじまります!】

本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!

詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho

○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅

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『平岡手帖』について。

1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。

この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。

きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。

(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)

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