『手帖』と手“帳”(11)(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 11日目)
『平岡手帖』のクラウドファンディング( https://camp-fire.jp/projects/view/747748 )が4月1日から始まりましたが、最終日の30日まで、毎日、【『手帖』と手“帳”】と題したコラムの連載(ごっこ)をしていきたいと思います。
前回投稿については、平岡の各種個人アカウント(Instagram/Facebook/X)やnote( https://note.com/nozomu_h )を、クラウドファンディング全体の詳細については下記、あるいは @hiraokatecho をご覧ください。
この“コラム”では、
①『手帖』について(特に、現在構想中の3月号を通して、いかに書いているのか)と、
②投稿日当日や前日のこと=私の実際の手“帳”(A5判のコクヨ製キャンパスダイアリー)に書き込まれた、『平岡手帖』4月号として綴られるはずの出来事
の二つを紹介していきたいと思います(特に4月号は、定期購読していただけた方へ初めてお届けする本になります)…
昨日は、Harmas Gallery の八木さん経由で知り合った、@funwow.art の山口さんと初対面なのにいきなりギャラリーを三軒巡る。私が普段通り、人見知りを発揮して壁沿いに、作品から作品を渡り歩いている間にも、Satoko Oe ContemporaryやGALLERY MoMo Ryogokuのギャラリストさんと親しげに話していてついでに紹介してもらう(だから、自分ひとりでは絶対に渡せない人に『手帖 1月号』を渡すことができた)。それにしても、人と展示を巡るのが面白いのは、やはり見るテンポ、リズムみたいなものが全然違うからで、舞踏会なんて当然行ったこともないけれど、踊りながら踊っている人を見ているような心地がして、その背中が、ふいにひとつの作品の前で止まるとつい話しかけたくなる。
「これいいですよね」と話しかけた私と、「結構ずれてますよね」と返した山口さんの目の前の壁にはMaruto Ardi さんの作品があって、ここは無人島プロダクションだ。たしか“Checker Board”…みたいなタイトルだったと思うけれど、まさしく黄色とオレンジの、A4?くらいの用紙が横14×縦5枚の計70枚、直に貼り付けられており、用紙の一枚一枚には、その手順が図解されていて指示書になっている。“ずれてますよね”という発言は、その用紙の四隅には矢印があって、4枚合わせると
「↘」「↙」
「↗」「↖」
という風に合わさるのだが、手仕事の風合いとして、まさにこんな感じにところどころずれていた(めくれている箇所もあったし、最下段の用紙からは、はみでた糊がてかっていた)ことを指しているが、こういう手跡、みたいなものが好きらしいことを、昨日1日、山口さんと話す中で改めて気づいた。
遅ればせながら、Funwowというのは“デジタル版の感想ノート”(公式インスタグラムより)で、現地のQRコードを読みこむと、その展示についての感想を書ける(そして他の人の感想も読める)というものだが、今のところ、会期終了まで他の人の感想は読めなくなっている。それは、今後のアップデートによって修正?されてしまうかもしれないが、なんだかボトルメールのような時間の隔たりで面白い。
それに、現在は10数か所のギャラリーが設置しているけれど、そこには、Funwowとギャラリーとの関係性はもちろん、ギャラリー同士の関係(そこには当然地理的なものもあるし、心情的なものも含まれているのだろう)も透けて見えるようで、その広がり方自体もひとつのメッセージというか、立ち位置を表していると思う。
もっと手広くやっている先達のようなサービスはあるし、それは『平岡手帖』の状況としても変わらない気がするけれど、(今は)小さいものが、ぱちんとはじけてしまわない程度の速度で広がっていくその過程こそ面白い気がして、遠いような、近いような存在として、Funwowが気になっている。とりあえず、GALLERY MoMoで見た、齊藤拓未さんの個展の感想を書いて投稿したが、あと1か月は“砂浜”に届かず漂っている。
…今日はナミイタに、火事の後片付けを手伝いに行くが、昨日もずっと、『3月号』を書く上でナミイタのことを考えていたから何だか不思議な気分だ、手帖を書き始めてから、そんな気分が増えている。ナミイタの前後には、もはや今週おなじみとなった大久保・callboxに行って、“竹下脩三”さんの個展を見る。(続く)
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【クラウドファンディングはじまります!】
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本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!
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詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho
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○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅
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『平岡手帖』について。
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1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。
この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。
きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。
(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)
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