『手帖』と手“帳”(5)
『平岡手帖』のクラウドファンディング( https://camp-fire.jp/projects/view/747748 )が4月1日から始まりましたが、最終日の30日まで、毎日、【『手帖』と手“帳”】と題したコラムの連載(ごっこ)をしていきたいと思います。
前回投稿については、平岡の各種個人アカウント(Instagram/Facebook/X)やnote( https://note.com/nozomu_h )を、クラウドファンディング全体の詳細については下記、あるいは @hiraokatecho をご覧ください)
この“コラム”では、
①『手帖』について(特に、現在構想中の3月号を通して、いかに書いているのか)と、
②投稿日当日や前日のこと=私の実際の手“帳”(A5判のコクヨ製キャンパスダイアリー)に書き込まれた、『平岡手帖』4月号として綴られるはずの出来事
の二つを紹介していきたいと思います(特に4月号は、定期購読していただけた方へ初めてお届けする本になります)…
どの光景から書くか、が決まると文章は流れ始める。2月20日、あえて日差しを受けるように座った府中市美術館のテラス席、そこで食べた(その前に眺めた)ドリームケーキは3月17日のオンゴーイングの、カフェスタッフのシズエさんお手製のロールケーキへと繋がる。その日はオンゴーイングスクールと題されたトークの日(でもあり展示最終日)で、展示作家の齋藤春佳さんと松本玲子さんは、小川希さんの問いかけにリラックスした様子で答えていた、その時、記録を撮りまくっていた吉﨑有希絵さんが、(春佳は)昨日もっと緊張してたんだよ、と隣でケーキを食べながら教えてくれる。
トークの最中に(そしてケーキを食べ終えた後に)眺めた二人の絵がどこか違う…ように感じるのは3月6日、この展示初日にもお伺いしていたからで、開始10分で訪れた私に、早いよ、と言ったのは一階でパソコン作業をしていた齋藤さんで、その日に見た絵と、最終日に見た絵が同じなのに異なるのは、会期中に加筆がされたからだ。しかし、その光景は当然鑑賞者は見られない、会期2か月前から終了まで(さらに今後は7の付く日に)交わされた/交わされる交換日記にもたしかそのことは書かれていないのに、飛び飛びの感じがしないのが日記の不思議さ、人の想像力のたくましさなのかもしれない。3月9日に見た豊島康子展でも、壁一面に掛けられた賞状から、あたかも幼い豊島さんが、この作品を作るために学校に行き、読書感想文を書き、卒業し…ということを繰り返していた錯覚を覚えるがそんなことはない…というあたり(正確には、齋藤さん・松本さんの二人展から、豊島さんの展示へジャンプする手前)まで昨日は書いた。
二つ前のオンゴーイングの展示について書きながら、Euysun Kim(ウィソン)さんという、韓国からのレジデンス作家さんの個展をオンゴーイングで見るがこの人の展示がとてもよかった。インスタレーション、というより以前の“状況”といった感じで、散歩中、たまたま見つけた蜘蛛の巣に水滴がいくつも付いて光っているのを見つけた嬉しさ、みたいなものに近くて、《in between》と題された、カーテンレールほどの細く薄い金属製の棒の溝には、小石や、枯れ葉が載せられている。
その作品はちょうど窓際、オンゴーイング向かいのマンション左脇をまっすぐ伸びる道へ繋がるような位置、高さに配されていて、階段から身を乗り出すように見ると、そこを歩く人も、枯れ葉や小石と一緒に載っているみたいだ…ということをシズエさんに聞いてもらうと、なんともほほえましそうな顔をしてもらえた。こういう光景を発見すること、それを人に聞いてもらうことが好きなのは、小さい時から変わらないかもしれない。
この後は四ツ谷駅で降りて、桜を眺めながらゆるゆるとミヅマアートギャラリーの、一日だけの展示を見て帰った。
今日は、藝大陳列館の展示、特にうらあやかさんの長編映像作品を見に、上映開始の11時51分を目指して家を出る(そろそろだ)。そこからondo gallery と、HARMAS gallery に、できればハシゴしたい。
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【クラウドファンディングはじまります!】
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本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!
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詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho
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○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE(https://camp-fire.jp/projects/view/747748)
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅
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『平岡手帖』について。
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1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。
この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。
きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。
(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)
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