ストレッチより筋トレを!のススメ

 私の整体の長年の理解者でもあるお客さん(Pさん)から、「年を取ったせいか身体が固くなってきたからストレッチを始めた」と言われてびっくりしました。
 私は、ずいぶん長らく〈ストレッチ反対派〉です。もうちょっと丁寧に言うと、ストレッチそれ自体が一概にダメというより、ストレッチはうまく・適度にするのがとても難しい。そしてもっと簡単に同等(以上)の効果が得られると私には思えるので、同じするならストレッチでなく筋トレをすべきだ、と考えます。
 筋トレは、本気のトレーニングとして効果を狙うならいろいろ難しい部分が出てきますが、一般人がちょっとした老化防止とか健康志向で取り組む分には、少なくともイヤな失敗は起こりにくい。ほどほどにしてるつもりでも傷めかねないストレッチに比べると、ずっと安全です。

 と、いう私の考えをPさんには伝えたことがなかったっけ? そりゃあ申し訳なかったな、と思いながら伝えると、「だから最近肩が上がりにくくなったのか……」とPさん。ははは、そうかも……。すぐにストレッチはやめてもらうようお願いしました。
 で、代わりに薦めたのがヨガと、簡単筋トレです。

 簡単筋トレは、筋トレとしての効果はあるのかないのかわかりませんが、そこは追求しません。仕方は簡単、単純に、ストレッチと同じポージングでも何でも良いから、ともかく、伸ばすほうでなく縮めるほうを意識して動きを作る、だけです。
 立位体前屈であれば、伸びている背中でなく、縮んでいるおなか側を意識する。意識して、ぐっとおなかに力を入れて、腹の筋肉を締める。ラジオ体操でおなじみの〈体側伸ばし〉の場合も、上半身を右に倒すなら、伸びている左脇腹でなく縮んでいる右脇腹をぐっと縮めようと意識する。そうすると、上半身の傾きっぷり・左脇腹の伸びてる感は減りますが、体幹がぶれずに安定して、しかも伸ばしすぎる危険がなくなります。これがミソです。

 ストレッチの問題は伸ばし過ぎにあって、不本意に伸ばされた筋肉は反動で縮みます。そしてこれで、傷める。
 だからコツは、最初から伸ばそうとするのでなく、伸ばしたい筋肉の反対側を縮めようとする。これだけでずいぶん不具合は減ります。

 ついでに言うと、ヨガも、ストレッチではなく簡単筋トレの方式ですると良いです。動きに合わせて呼吸を丁寧にするのも大事です。
 私のお勧めはヨガの手順本を見ながら自分にできそうな動きを1~4つくらい選んで、飽きるまでその動きだけを続ける。飽きたらまた別の動きを選んで、そればっかりする。いろいろすると一見良いようですが、結局、あれこれしても気が散るばっかりで動きのコツは掴めないし、ヨガにせよ筋トレにせよ、いまの自分の身体には合っていない・有害な動きはあるわけですから、それは、できなさそう・飽きたの感覚を手掛かりに、避けなきゃなりません。だから、1回に1~4つを丁寧にする。
 ちなみに、私のお気に入りのヨガ本は、『麻生よう子のジョイフルヨーガ』。1992年の出版でDVDとかはもちろんありませんが、中身は秀逸。でも絶版です。私はたまたま近所の図書館で見つけて知りました。

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