ポートフォリオのようなもの #9
この課題が始まった時から、香水のブランドのアートディレクションをやろうと決めていた。
化粧品や香水のアートディレクションは、デザイナーを志したことのある人なら、1度はやってみたいモチーフなのではないだろうか。
「女性が自信をもって輝ける」そんな香水ブランドがいいなぁと思っていた。
街ですれ違ったときに、思わず振り返えさせてしまうような。
残り香で「さっきまであの女性が居たんだ」と気付かせられるような。
そんな香りを提供するブランドがいいなと思い、「SiLLAGE」と名付けた。
「sillage」とはフランス語で”残り香”とか”残滓”という意味を持っている。
「i」が小文字なのは「i」がひとりの女性を表していて、その女性の残り香を「S」で表している。
香水のパッケージデザインはこちら。
左側が、菫をモチーフにした香水。
右側が、すずらんをモチーフにした香水。
花をモチーフにしているのは、令和という元号の元になっている万葉集の「梅花の歌」に梅と蘭が出てきたからで、梅と蘭をモチーフにしなかったのは、高貴すぎてブランドイメージに合わなかったからだ。
sillageには”残滓”という意味もあって、”残滓”には「残りかす」とか「必要なものを取ったあとに残る価値のないもの」という意味もある。
SiLLAGEは、最初から自信に満ち溢れた女性のためのブランドではない。
なので、梅と蘭の代わりに、菫とすずらんを選んだ。
菫も、すずらんも、雑草だからだ。
雑草だけれど、どちらも魅力的でしょう。
また、香りのイメージから連想した花を当てはめている。
花から連想したグラフィックをいくつか描いて、そこに花を当てはめている。
そうこうしてできたパッケージデザインがこちら。
プロダクトの方は、時間的にも金銭的にも余裕がなかったので、既製品のボトルに、香りのイメージを印刷したフィルムを貼り付けている。
本当はブランドロゴタイプのSを想起させるボトルデザインをしたかった。(学生の課題なので…ご容赦ください)
外箱の方は、パカっと開けたときに香りが溢れ出すイメージで制作した。
今になって思うのは、内側全面に香りのイメージを貼ればよかったなということ。
先生にもそういう意見を頂いた。
でも量産には向いていないし、これを実現しようとしたらいくらで販売することになるのだろうか。
以前にも書いたが、このときの花から連想したイメージはエアブラシで描いていて、この技法が頭の端に引っかかっているので、なにか別のものに昇華できないかなぁと思っている。
何か、別のもの、ね…