【インタビュー】挑戦をかさね、生きるを楽しむ
自分で決めたことで、道は開かれる。
分かっているけれど、見えない道は怖くて足がすくみそうになる。
自分で決めたことを信じて、コツコツとやり遂げる強さ。
いつも自分の想いを大切に歩み進める。
芯を持って生きる彼女の姿は、周りの人にも生きる力をくれるように思う。
今回は言語聴覚士として働く、Sさん(35)
明治大学農学部を卒業後、酒類卸売業の会社に就職。
酒類卸売業の会社へ新卒入社
新たな土地での経験をしたい思いが強かったSさんは、東京だけでなく日本各地で働ける仕事を探していた。
営業職に配属され、地方へ行く機会があれば行きたい気持ちもあった。
2年が経ち、地方へ行くことはないまま部署異動もあり、経理や事務の仕事も経験する。
25歳で結婚し、27歳で第一子の出産。
育休を経て職場復帰。
忙しい中でも仕事とプライベート充実した日々を送っていた。
30歳のとき第二子が生まれたタイミングでのことだった。
夫の仙台転勤
夫の仙台への転勤が決まる。
元々地方で過ごすことへの想いもあったSさん。
子どもたちと共についていくことを視野に入れていた。
その時4歳になる長男は、「今の場所を離れたくない」強く言っていた。
子どもの想いを尊重し、Sさんは東京で2人の子育てと仕事の両立をスタートすることに。
夫は月に一度は、週末に帰ってこれる。
それ以外は、基本的に一人で家事育児仕事をこなしていく。
慌ただしくも義理の両親が近くでサポートをしてくれたこともあり、何とかやりくりをして二年が歳月が流れた。
今の仕事を続けていくか、また違った環境でも役立つ仕事を身につけていくか。
まだ夫が東京に戻る予定はない。
今やりたいと思うタイミングで始めてみよう。
キャリアチェンジを決めた。
言語聴覚士としてのキャリアチェンジを決める
東京だけでなく、場所に縛られずに活躍できるような資格を取ることを決める。
ゆくゆくは子どもとも関わりを持てるような仕事で、言語聴覚士の資格取得をめざすことに。
言語聴覚士とは、
「話すこと聞くこと」など言語を通したコミュニケーションの専門家である。
資格を取って働くまでは、仕事、家事、育児をしながら専門学校に2年間、通う必要がある。
義両親の支え
一人では到底乗り越えられない。
このときも義理の両親のサポートに助けられる。
義理の両親もSさんが決めたことを、積極的に応援してくれていた。
週5日の勤務での両立は難しくなるため、会社は退職。
デイサービスの施設でのアルバイトと、学校の新生活をスタートした。
専門学校1年目は週4日勤務。
2年目は試験に向けての本格的な準備も必要になるので、週2日の勤務にセーブすることに。
資格に向けて取り組む中、長男は小学校へ上がり、長女も5歳に。
自分だけでなく、家族も含めて多くの変化があった。
Sさん自身も大きな変化の中、苦しさと喜びとが混ざり合う経験を重ね、その中には必ず家族の存在があった。
子育てをしながらのキャリアチェンジは、一人の時とは異なる勇気がいる。
子どもがいるから、大変なこともある。
子どもがいるから、助けられることもある。
何が良くて、何が良くないということはない。
大切なのは、母である一人の人間が自分で決めて、自分の人生を生きていくこと。
母が自身のやりたい事へ挑戦していく姿は、子どもの目にどんな風に映るだろう。
挑戦を楽しんでいくこと、変化を楽しむこと、母を見ながら、多くの学びがある。
Sさんは忙しくも慌ただしい専門学校の2年間を終えた。
そして試験を受ける。
結果は、見事合格。
そして現在、病院で言語聴覚士として、リハビリの仕事をしている。
現在はフルタイムで働き始め、新たな分野での仕事に多くの刺激を受けながら日々を過ごしている。
理論の学びから、実践の学びへ。
■
試験に合格したら終わりではなく、また新たな始まり。
久々に話すSさんの表情は、忙しさと共に充実感を感じるものだった。
年齢を重ねても、一緒に過ごす家族が増えても、新たなことに挑戦し続ける。
そんなSさんの存在に生きる強さを感じている。
自分で決めた道を進むこと。
簡単なようでいて、日々の生活で沢山の情報に触れる中迷うことも多い。
それでも自分を信じること。
最後は他の誰でもなく、自分が自分の道を決めていく。
子育てをしていると制約もある。
できない理由を探して、諦めることも多い。
でも実は、小さくても出来る方法を少しずつ探していくことで開ける道が沢山あるのかもしれない。
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