私のお母さん

リビングで母親と一緒にテレビを見ていた。テレビでは動物特集がやっていて可愛い動物が沢山写っている。それを見て母親は一言「動物なんてけだものだよ」と言った。一度だけではない、母親はテレビに動物が写る度に言う。私が動物好きなのを知っているのに言う。
ある別の日料理番組を見ている時母親がその料理番組を見ながら「こんな料理作るのなんか面倒くさい」と言った。料理番組を見る度に言う。私は「またか」と思いチャンネルを変えた。 
それだけではない、テレビに出てる芸能人を見てすぐ「この人キモい」とか言ったり。晩ごはんを作ってその料理をテーブルに置く時「適当だから」とか「やる気ないから」とか言ったりする。わざわざそんな事言わなくてもいいのに。
姉が中学になり反抗期を迎えても「あれはホルモンのせいだから」と言った。
私が小学生の時同級生にいじめられているのを相談した時「そんな話聞きたくない」と言われた。
私の母親はこんな人。こんな人が私の母親だ。
いつも具合が悪そうで疲れていてネガティブな事しか口にしない。ヒステリーで神経質で料理が下手で片付けが出来ない。そんな人が私の母親なのだ。
母親に直して欲しい所は山程あった。でも母親は所謂キレる人なので指摘するとヒステリーを起こしてキレるのが分かっていたので「そういう事言うの嫌だから辞めてほしい」とは言えなかった。 
しつけの度を超えた事を沢山された。それを思い出すと今でも動悸がする。
もっと普通の家に生まれたかった。何回もそう思った。母親はきっと私の事を出来の悪い娘だと思っているだろう。
そう、私は間違って生まれてきた失敗作だ。
そんな出来損ないの失敗作でも仕事をしながら一人暮らしが出来る様になった。
多分母親より料理上手いし部屋キレイにしてるし、テレビ見ながら愚痴なんか言わない。母親を反面教師にして生きてきた。
一人暮らしを始めて、やっと自分の人生を歩き始めた気がする。
私は家族には恵まれなかったが、血の繋がりよりもとても大事な友達がいるし、気分に波はあるけど生きてて楽しいなと思えるようになってきた。

私は自分の力でこれからも生きていく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?