子供部屋おばさん、独り立ちへの道!!

メンタルを病んで心療内科に通い出した頃いきなり一人暮らしを始めた。それまで何十年も実家暮らしをして立派な「子供部屋おばさん」になっていたのだがある日、買い物帰りに飛び込みで不動産屋にフラッと入り、そこで初めて内覧というものをして、一個目で見た部屋に住むと決めてしまった。
何であの日不動産屋に行ったのか、自分でもよく分からない。本当にフラッとそれこそ導かれる様に不動産屋に入って行った。フリーターでたいした収入もないのになんとなく「もう家を出よう」と思った。

その頃の私は実家が居心地悪くて、仕事が休みになると外出し、外でご飯を食べて駅前で時間を潰して夜帰り、リビングに顔を出さず、ほとんどの時間を自室で過ごす、という生活をしていた。毎回休みのたびに外食をしていたのでお金が全然貯まらなかった。でも家に居たくなかった。
独り立ちをする最後の頃は母親とは喧嘩をし、口をきいていなくて家の中では全く顔を合わせなかったので「一人暮らしをするため引っ越しをする」とメールで告げた。特に反対はされなかった。母親は間違いなく毒親だったが過干渉なタイプではなく、どちからと言うと放置タイプなのでメールで告げてから実際に家を出るまでは非常にスムーズに行った。

それからは凄いスピードで物事が過ぎていった。
不用品の処分、それと長い間読まなくなっていた漫画や雑誌、DVDなどを大量に古本屋に売り、引っ越し資金にした。
適当に安い冷蔵庫と洗濯機を買った。親友が独り立ち祝いに、と炊飯器をプレゼントしてくれた。ありがたや。
あっという間にお金は無くなったが心はウキウキしていた。
引っ越しの当日、母親は朝から外出していなかった。私と顔を合わせたくなかったのだろう。
隣に住む住人の方に軽く挨拶を済まし、二度と帰るまい、と固く心に決め、私は引っ越しをして一人暮らしを始めた。

こうして子供部屋おばさんは立派に独立し、ただのおばさんになったのである。

‥‥立派じゃないけど、一人暮らしするの遅すぎだけど‥‥。

おわり

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