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【脚本】『じんない』~2017年再演ver~(肆)

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『じんない』2017年再演verの最終回です。
これは初演時からそうでしたが、柳生兵庫助の「じんないーっ!」で始まり、同じセリフで終わるという形で書き上げた時の爽快感たるや(笑)
まあ、作家としての自己満足だったりもするのですけどね。

それと、これは私の持論なのですが、

男がカッコいい物語を描こうと思うのなら、カッコいい女を描かなくてはいけない。

そんな風に感じてます。
それが特に如実に表れている作品がこの『じんない』で

まとい、おたね、千代次、(菊之丞も・・・?笑)

これらの役は個人的には今でも大好きで、実は初演verと所々に変わってたりします。
三人にフォーカスを当てて初演版と読み比べて頂くのも面白いと思います。


#22

吉原、夜道。一人歩いてくる嵐兵衛。物思いに耽っている様子。
浮かび上がる吉原の人々。

兵庫助 「己の過去から逃げ、目の前の現実からも逃げ。こんな男を十年も追ってたのかと思うと我ながら情けなくなるぜ。」

別の空間。

四郎左 「全てはこれが始まりだ。秀忠が俺たちを憎んでいるのも、おまえさんが襲われたのも、俺がこの吉原を創ろうと夢見たのも。おまえさんに返すよ。」

別の空間。

明日葉 「アンタが覚えてなくっても、アタシは覚えてる。アンタの声、力強い言葉、大きな背中、手のぬくもり・・・全て失くしてしまってるっていうんなら、アンタなんか・・・アンタなんか五年前に・・・」

別の空間。

まとい 「・・・アンタなんか、殴る価値もござりんせん。」

嵐兵衛、寂しげな微笑み。

嵐兵衛 「好き勝手言いやがって・・・」

嵐兵衛、去る。

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