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アイス×理科で授業をデザイン①

PBLをベースにした、中学校の理科授業を展開中です(日々、室長が授業の様子をFBページにて紹介しています)。9月にアイスの販売する場を計画しているので、そこに向かうための理科ってなにができるのかを問いながら進めてます。そんな経過の記録。(不定期的に更新していきます。。。)

DAY 1

アイスと理科で関係しそうなことを考えてみようとちょっとした問いかけから始まる。出てきたことといえば、アイスの歴史、アイスの伝来、−5℃で凍る、アイスは固体なのか液体なのか、バニラとは?、チョコレート(カカオ)とは?、乳を含む?、スーパーカップとガリガリくんの違い・・・
こんな感じで、ネタはたくさんありそう。

まずは、手始めにバニラとは何かを調べてみることに。
ラン科の植物、花弁は数十にも、種子を発酵させる、中南米あたりが原産?
みたいな内容が。

植物の花の構造やら、分類に触れてるわけですね。
(第2分野 植物の体の共通点と相違点 植物の体のつくりと働き)

花弁とは何なのか。そもそもの花の機能とは。葉と茎と根と花弁の違いってなんだろう。花ってどんなタイミングで咲くんだろう。など。

って、そもそも、バニラって知っててアイス食べてますか?

ソフトウェアのアップグレードしてない状態を「バニラ」っていうんですね。そういえば目にしている。自分で調べててもまだまだ発見がある。

DAY 2

さて、いろいろ出てきたので、情報整理。乳を含むとはなんなのか?スーパーカップとガリガリくんの違いがわかりやすいと感じたので、アイスの分類について提示する。
アイスは、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓と分けられる。さて、これらは何が違うのか。
調べると、乳固形分と乳脂肪分の割合によって分類されていることにたどり着く。

ここで、ボクも調べてみる。そもそも、牛乳の成分というのは、水分と乳固形分に分けられる。なるほど、これは、溶媒(水分)と溶質(乳固形分)に当たるわけだ。物の溶け方のテーマに触れられそうである。
(第1分野 物質のすがた 身の回りの物質とその性質)

また、乳固形分は、乳脂肪分と無脂乳固形分に分けられる。つまり、脂肪とそれ以外に分けられるわけです。で、無脂乳固形分には、タンパク質や炭水化物、ミネラル、ビタミンが含まれる。ここは中2の人体の部分とも関わりがもてそうである。また、ミネラル、ビタミン→無機物、タンパク質、炭水化物、脂肪→有機物にも触れられる。
(第2分野 動物の体のつくりと働き 消化の分野)

また、乳固形分の割合がパーセント表示されているので、溶媒、溶質の算出もできる。売られている牛乳の表示を元にしたら、実際に測定もできるかな。しかも、牛乳の乳固形分のパーセントでは、アイスクリームの乳固形分の基準にパーセントが達しないので、どうやったら作れるのかまで深掘りすれば、濃度を高める→溶媒を減らす?溶質を増やす?の想定はできるかな。
あと、解けている乳固形分を析出(凝集)させたら、酸を使うし、水溶液から溶質を取り出す実験にもなりますね。カッテージチーズ作りとか、豆乳つかって豆腐づくりにも広げられそうですね。
(第1分野 身の回りの物質 水溶液 や 酸・アルカリの前振りとして)

DAY 3~4

アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓の違いを調べてみて、実際の商品をそれらの分類に仕分けしてみることにチャレンジ。調べて、スライドにはりつけ、分類する。ツールをどうやってつかうのかを慣れる意味合いのほうが強め。
彼らの活動をみると、『アイスミルク』のワードで検索するので、

この画像を引っ張ってきたりしてて、ただワードを検索して貼り付けるだけじゃダメだよねと。

DAY 5~6

どうやら、家庭科でアイスづくりするらしく、レシピをつくっていた。そのシートを見てて、気になったんです。「牛乳・生クリーム・砂糖」とだけ書いてある。。。

牛乳って色々あるよ。調整乳?無調整乳?なんじゃそらみたいなぐらい。

生クリームにも色々あるんですよねー。生クリームとホイップクリームって違うんですよ。生乳だけから生成されたクリームなのか、植物脂肪分を含ませているクリームなのか。そもそも、違いを知らないことが少なくない。

砂糖もね、上白糖なの?グラニュー糖なの?三温糖って?『白い砂糖なんて、身体に悪い!』的なことを意見を述べる前に、そもそも何かをただ調べる。

こんな感じで、大人でも、知らないやつに触れてみる。上手に分けて説明できる人は多くない。複数の人が調べて共有すると、思いもよらない気づきが出てきたりするもんだし。

今回でいえば「チョコレートと卵でアイスができるらしく、牛乳や砂糖使わないです」ってグループがいて、それは、なんだろう?どういうことなんだ?ってヒアリング。

すると、チョコレートというのは『ミルクチョコレート』の板チョコのことらしい。それなら、ミルクチョコレート調べておいてと伝えたところ、

ミルクチョコレートの成分のうち40%が砂糖、20%が乳成分

という情報にたどり着いたようで、「あー、だから牛乳や砂糖を材料として使わなくてもできるのか」と。って、ミルクチョコレートの40%が砂糖なの?我々は何を食べてたんだろう???ってことを発見。

こうした感覚ってのは、自分で触れないと気づかないんですよね。手を動かして、触ってみて、調べてみて。そこで、手にした「知」が自分の頭にとけていく。

そうすることで、主観でモノゴト決めるだけではなく、客観的なデータを基にして、モノゴトを選ぶ。そんな経験ができる場にしたいなぁと。

さて、このあと、彼らと何を掘り下げていこうか。学習指導要領や教科書を手にしながら、何が飛び出てくるのかをワクワクしながら日々デザインである。


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