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子育てでこころのなかに見つけたイライラ鬼を滅。

「〇〇は悪い子なの!?違うでしょう!!」

公園で見掛けた、泣いてる男の子を叱っているお父さんに自分を見ていた。

子育てをして、自分なかにイライラを見つけた。見つけてしまった、のかもしれない。

それまで、こころのなかにこんなにも怒りがあるのを知らなかった。

仕事に対するイライラ。
世間に対するイライラ。
社会に対するイライラ。
無理解や配慮のなさへのイライラ。
何かからどんどん切り離されていくような、独りへのイライラ。

わかってもらいたい、怒り。

そう、独り身だったときには知覚しなかったイライラだ。これらはぜんぶ、勝手な期待から来ている。

してくれるだろう。
してほしい。
こうなってほしい。

ぜんぶ、一方的で、勝手な期待でしかない。先に期待があるから、勝手に裏切られた気持ちになる。

わかってる。でも、止められない。
イライラは、する。しちゃう。

そして、イライラはイライラを呼ぶ。
いつのまにかアリスがら抜きのチャンピオンを歌い出し、止まらなくなる。

無理しなくていい。
マットに沈んでいい。
戦うときは、今じゃない。

わかってる。 
わかってる、のに。

振り上げたこぶしを下ろせなくなって、ロッカールームに帰れない。

そして、あとで泣きをみるんだ。

当たり前だけど、子どもは一人の人間で考えがある。たとえ言葉を持っていなくても、感じて考えて行動する。

ずっと、後悔していることがある。
3歳の息子くんは、歯磨き後のごほうびタブレットを楽しみにしていた。

ある日、こっそりふたつ食べていて、

「いっこのおやくそくでしょ!」
「ごめんなさいぃい!」と大泣きした。

でも、後日ママに「きょうはしかんぶらししなかったからいっこね!きのうはしかんぶらしのぶんだったの!」と言っていたのを、教えてもらった。

これは刺さった。今も抜けてない。
そのとき、ちゃんと聞いてあげるべきだった。
息子くんにも考えがあって、こころの反応も考える速度も、違うんだ。わたしにできるのは、やっぱり聞くことだけ。

ちゃんと、聞いてあげなきゃだったんだ。

でも、時間は戻せない。「あのとき」はもう過ぎてしまって、二度と訪れない。

他人を相手にするときには、しっかりと作れる壁を「自分の子供」や「家族」には見誤ることがある。いつのまにか、自分を押し付けているかもしれない。注意しなくちゃいけない。

ちゃんと伝えなきゃいけないときもある。

危険なとき。
誰かを傷つけるかもしれないとき。
取り返しのつかない可能性があるとき。

そういうときは、いつだってふいに来る。
来てしまう。

あのお父さんもそうだったのかもしれない。

なにか男の子が危ないことをしたのかもしれない。
誰かを傷つけたのかもしれない。
許せないことをしそうだったのかもしれない。

だった一瞬を切り取っただけではわからない。
でも、その姿に自分を見た。見てしまった。

怒りは、コントロールが難しい。
特に「正しいチケット」を持っているときは、難しさが何倍にもなる。

子育ては、イライラする。
わかってほしいと、伝わらないの繰り返しだ。
もどかしくて、行き場のない感情の澱みたいなものが溜まって、どうにも爆発しそうになる。
それでも、辛抱強く向き合っていくしかない毎日だ。

そこに、ふいに「正しいチケット」が降ってくると、気がつかないうちにそれまでのイライラをキャリーオーバーして、役満裏ドラで言ってしまうときがある。

今言うべきじゃない。
彼を見て。
言葉は刃だ。
口にしたら戻せない。
やめて。
そうじゃない。
違う。

イライラをぶつけてしまっているとき、もう一人の自分が必死に叫んでる。
そう気がついたら、やめるべきなんだ。
今じゃない。今じゃなくて大丈夫。

伝えるべきことと、感情を切り離して言葉にするのは、すごく難しいことだから。

仲良くできるときに、伝えよう。
お腹いっぱいのときに、伝えよう。
お風呂で、お布団で、あったかいときに、
言葉にしてみよう。

大丈夫、今じゃなくていい。

やさしくありたい。
そう思うたび、こころのなかで泣いた赤鬼さんと青鬼さんが助けてくれる。攻撃力も瞬発力も、イライラ鬼のほうが強いかもしれないけれど、勝てないときは見送ろう。

深呼吸をすると、横隔膜が下になり体の重心が下下がる。
重心が下がると、気持ちが落ち着く。
体と心はよくできている。

全集中の深呼吸でイライラをなんとかやり過ごして、時間をかけてやっつけていこう。いく。

帰り際、砂場で楽しそうに遊んでるお父さんと男の子を見かける。

「さっきはちょっとしっぱいちゃったの。おやまつくろ」
「そうだな、大きいの作ろう!」

公園で見掛けた、男の子と仲直りするお父さんに自分を見た。

「はみがきいいこだったから、ちゃんといっこだよ!」
「そうだね、えらい!」



子どもだって、子育ての味方だ。
それも最強の助っ人。
だから、ひとりじゃない。

今日もなんとかこうにか向き合いながら、少しずつ親レベルも上げていきます。(上がってたらいい)

イライラ鬼は、みんなで滅。


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待てうかつに近づくなエッセイにされるぞ あ、ああ……あー!ありがとうございます!!