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甘くないレモンサワー最速王決定戦(渋谷編)

甘くないレモンサワーが好きだ。そしてお酒の提供は早ければ早いほどよい。

それこそ至高。唯一無二。究極の居酒屋の条件。

そのふたつがあればもう、いらない何も捨ててしまおうである。最高の一杯を探し彷徨うマイソウル。イントロは長いが、たったふたつだけあればラブがファントムする。居酒屋のすべてはそこに濃縮されているのだ。(個人の感想です)

たとえば、よいお寿司屋さんはかんぴょう巻きが旨い。手間がかかるのに利益が少ないかんぴょう巻きに、こだわってていねいに手を入れられているイコール他のネタにも期待大ってことだ。あとはお酒メインのお店以外でビールが旨いのもものさしらしい。ビールって管理が大変な生き物なのだ。

たとえば、ラーメン屋。券売機の左上が変わらず古びているところは旨い。入れ替えがめんどくさい左上はお店の看板一杯が鎮座することが多く、そこが変わらないイコール味のコンセプトが一本背骨通っていて長く商いできているって証らしい。なるほど、とんこつ〜〜〜!お店の一挙手一投足のひとつを切り取っても、その姿勢が垣間見える(かもしれない)

長くなった。そろそろファントムしよう。
好きなお店のものさしをみんなそれぞれ持っている。わたしにとって、レモンサワーが甘くなくて、お酒の提供が早ければ早いってのが最高の居酒屋だということだ。あと3回くらい書きたい。シンプルなものさし。それだけでいい。それがあれば、ぼくがぜんぶ開けよう!ウルトラソウル、杯っ!ってなれるのだ。きっと同じ民はたくさんいるはず……!!!

ゆえに、やらいでか。

年明けとともに東京に寒が降りた、1月某日。
最高のレモンサワーを求めて、我々探検隊は渋谷の密林へ向かった……。

【やったこと】
・渋谷でレモンサワーを飲む
・甘くないかをたしかめる
・お酒の提供が早いかをたしかめる
・↑を繰り返して最高で最速の一杯を見つける

【呑んだひと】
野やぎ・・・これを書いている人。ずっとビール党だったけど「そろそろビールだけ飲み続けるの辛くなってきたな?」という必要性から最近レモンサワーに目覚めた。家ではハイボールも好き。
とみぃ・・・昔からの友だち。お仕事の関係でお酒に詳しい。食べ歩きも大好きでお酒に詳しい。ゆえにお店にも精通している。頼もしい。

「渋谷で最速のレモンサワーを見つけたい」と連絡したら秒で「いいよ!」と返してきたとみぃ。いいやつすぎる。

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いざ、出陣じゃ〜〜〜!!!!!


一軒目:立呑 富士屋本店(17:00)

迎えた某日。渋谷。仕事もそこそこに街の一角で待ち合わせ。連日の寒さが続くなか、僥倖的な晴れ間のあたたかさでレモンサワー日和とあいなった。うれしい。いざ!
そう、早さと言えば立ち呑み!これは絶対早いだろ〜〜〜!と期待を胸に開店と同時に店内へイン。

出書きボードのメニュー。いいよね。
あれにも出てる。

立ち呑み屋さんの持つ猥雑な雰囲気は空間いっぱいに満ちてるのに、めっちゃ清潔感抜けてる。ときどきある部屋の隅とか机の下へ湿度が溜まってる嫌な感覚一切なし。なにこれー!ちょう居心地いい〜〜〜!
開店即入店なので壁際のめっちゃいい席に通してもらう。注文は各席のQRコードから。空間演出と違って導線めっちゃ整備されてて楽すぎる……。なにこれ、ちょう居心地いい……。

そんな富士屋の一杯はこれ!

特製ドライレモンサワー 550円/杯

開店直後ということもあるけど、この一杯が爆速で出てきた!お店グラスだ〜〜〜!やばい推せる!
よく見るカットレモンが入ってるやつじゃなくて、完全に必殺技で凍らせた敵をちょんと打撃で粉々にしたみたいな爆散型のレモンが上下にすっぽり。見てるだけでこころ踊るね。もう当たり前のように甘くない〜〜〜!最高です。


(この白いやつ、なんだろな……)

これはレモンのパルプ(白いところ)ごと入ってるから、甘くないし適度に苦みもあっていいね。スッキリしてていつまでも呑めそう。

なるほど〜〜〜!(こころを読んだ……だと……?)
たしかに!グラスの上と下にも入ってて最後までスッキリなのも最高や!

だね!


まじでとみぃと来てよかったな!わたしだけだったら「早い!甘くない!最高!」のみで突っ走るところだったわ。
しかし、そのとみぃを持ってきてもレモンサワーに刺さってるマドラーの扱いの正解はわからなかった。

「いるけど、邪魔だよね……笑」

ほんとそれな!あれみんなどうしてる?!
初手から最高の一杯に気をよくした我々は再び渋谷の街へ繰り出した。
即効でお会計お願いしたので店員さんも「えっ!?」と驚いてた。めっちゃいい席だったから後ろ髪ひかれるぜ……。すみません。今度ゆっくり来たい。

二軒目:酒場きんぼし(17:26)

幸先いいスタート、いい気分で渋谷を抜けていく。「えっ、ここらへんお店あったっけ?」と思った頃にふいに出てくる酒場きんぼしさん。人気店で基本予約しとくといいお店で、ダメもとアタックで「19:00まででしたら〜」と入れました。うれしい。奥の角で、まためっちゃいい席。(テンション上がり過ぎて外観撮るの忘れた)
そのまま店員さんが簡単にお店の説明とさいしょの一杯の注文を取ってくれる。ていねいだけど気さく、落ち着いてるのに緊張しない雰囲気……!居心地よすぎる〜〜〜!最高です。

そんな、きんぼしさんのレモンサワーはこちら!

瀬戸田レモンサワー 550円/杯

うつくしい。うつくしいです。お店グラスもかわいい!注文してからまったく待ち時間を意識する隙なく来ました。流れるようなオペレーション、最高。
味は当然のように甘くない。ありがとう神よ、この澄んだ液体を爆誕させてくれて。ほんとに苦み雑味なさすぎて、真夏の部活くらいすーっとゴクゴク入っていく。摩擦ゼロの上澄み。めっちゃ好きやこれ……。

流れるように塩レモンサワー(550円)も頼んじゃった。
瀬戸田よりキュッと締まった味感よき……。
中おかわり(450円)もあります。

この一杯、めっちゃ綺麗だな……!

だね!サワー系の泡は、実はグラスの傷とかちょっとした汚れ(味や衛生に関係ないくらい小さーいやつ)にできやすいんだよね。

へぇ〜〜〜!

この泡が多すぎるとそこから炭酸が抜けていっちゃうんだ。だからお家でハイボールつくるときは、グラスをさっと水で洗ってからつくると最後までシュワシュワで楽しめるよ!

なんと!今度試してみよう!


注ぐ前にさっと水で洗うのをリンスというらしい。一杯の中にも、おいしく飲んでもらうためのたくさんの工夫が詰まってるんだな……。あらためてきんぼしのレモンサワー見てみるとめっちゃうつくしいもんね。きれいと旨いには理由わけがある。

お通しのおすすめ品種のお米のすり流し。
鶏の出汁が効いててうまっ。やさしい。旨い。
名物おばんざい。我慢できずに食べました。

きんぼし、せっかく入れてほんとのほんとにもったいねぇ〜〜〜と思いつつ、今夜の旅は長いのだと自分たちに言い聞かせてお会計。
「えっ……!?」とおなじみ店員さんリアクションも頂戴する。すみません、また(予約して)ゆっくり来ますので……!!

さぁ、次の一杯へレッツゴー!

三軒目:多古菊(18:20)

三軒目は赤看板の名店、多古菊さんへ!もう外観から最高よな。入ってすぐ飛び込んでくる猥雑な空気とテレビの音。揚げ物と出汁の香り。最高よな。……最高よな!!!!狭そうに見えて奥にもたっぷり席があります。すべてが入りやすい。最高。

そんな多古菊さんの一杯はこれ!

レモンサワー 298円/杯

安い!!!!そして爆速!!!!注文してそのまま取ってきました!?!?なスピード、まじかびっくり最高です。
三軒目にしてはじめてのジョッキ。カットレモンなしだから、万が一あるでこれ……と恐る恐る口に運ぶと……、甘くない〜〜〜!!!!ありがとうございます!!!!!


入店からお手拭き、お通しまで完璧な流れと雰囲気だ……。最高。ジョッキも無骨シンプル潔いぜ。

ね!レモンサワーは使う炭酸の強さ、ガス圧で味の感じ方が変わるんだ。ガス圧が強いとキリッとした口当たりで飲める。甘さや苦みも炭酸で変わるよ。

なるほど〜〜〜!多古菊さんは、くいくい呑キ飲めてキリッとしてるからガス圧つよつよ感!

そうだね!それにどんなグラスで提供されるかでも、「こんな雰囲気でたのしんでほしい」が出るよ!

?????

お酒は温度でも変わるから、たとえばジョッキだと手が触れにくくて味の変化が少なくなる。だから、たくさん量が入ってかつ最後までぐいぐい楽しめるよ!とかね。

取っ手!たしかに〜〜〜!

ほかにも薄張りだと苦味や酸味、甘みの少ないドライな味わいが強調されるとか、厚みのあるグラスだと味わいをマイルドに感じやすいってのもあるよ。

なるほどね!このジョッキはじゃんじゃんがしがしたくさん飲んでね!のサインだったのか……。奥が深いぜレモンサワー。


さらには多古菊、タイムサービスで19:00までレモンサワー200円!当然のごとくおかわりした。じゃんじゃんがしがしである。えへへと上機嫌でお会計、いやお勘定っていいたくなるね!ごちそうさま!

四軒目:新時代 渋谷道玄坂店(19:18)

19:00を過ぎて事前に下調べしてきたお店に入れなくなってきた……。オンタイムである。仕事上がりでみんな土俵入りしてきたな……。こころなしか街ゆく通りもざわめきが増した気がする。渋谷はいつもだけど。

よしこうなれば行きずり飛び込みだ!と、さいしょに目に入ってきたピカピカ看板の新時代へ。新時代、聞いたことある〜〜〜!黄色いお店や赤いお店が駆逐されつつある今、学生とかが入る安居酒屋代表格ってここなのかしら……。

価格帯もメニューも様式美に溢れている。
強制「あの頃」に連れていかれる懐かしさ。

そんな新時代の一杯はこちら!

昔ながらのパンチレモンサワー 290円/杯

お漬物と一緒に提供めちゃ速でした。オペレーション整ってるぅ!!うれしい。そして安い。
なみなみ注がれたにごり感ある液体とみつを風コメント入りのジョッキ。

これは・・・

もしや・・・

まさか・・・

ごくり。

やっぱり!甘い〜〜〜!!!!!!

甘いです。これや、これ。学生のときにいやこれジュースやん!ってなったやつだ……。


甘いね……。なつかしい。

使ってるシロップが甘み強いやつなんだね。炭酸感もうすめだ。もはやレモネードに近い気がする。

なんか学生の頃を思い出すな……。いろんなお酒を知ったかぶって呑み進めていたあの頃が……。


襲い来る甘みに一杯で満足。だって、30代も後半だもの……。でもこういう飲みやすいお酒って大切だよね。夢と情熱で2時間余裕で飛んでいったあの頃の味がした。

名物元祖伝串(50円)は歯茎やられるくらいカリカリでおいしかった!
学生時代なら絶対新時代ピラミッド注文してたな!

まわりも学生や若者が多くて、最近はみなこういうところにいるんだなぁと謎の感慨にふけりました。いつの間にか歳を重ねて「こっち側」に来てしまったのか……。すみません、お会計お願いします。

五軒目:大衆パブ 山形(19:59)

そのまま通りを探索して、目に飛び込んできた黄色い看板に吸い込まれるようにイン。時間も時間、そろそろ腰を据えてもいいくない???と、おそるおそる階段を降りていくと……。

えっ、勇気いるな???

だって居酒屋は「居酒やです」ってわざわざ言わなくても居酒屋だもんな???大丈夫か??? 

ギィ〜。カランカラン。

……大丈夫でした。開ける視界、空間めちゃ広っ!あきらかにスナックだかパブだかの居抜きなんだけど、扉の中にはふつうに居酒屋さんが広がっていました。祭りみたいな提灯までぶら下がってたぞ。ふぅ……。

味がある手書きメニュー。
久しぶりにみた醤油差し。

この空気は、確率50:50だな……。甘いか甘くないか、それが問題だ。甘いもありうる。覚悟して注文した山形の一杯がこちら!

レモンサワー
(※すみません酔っ払ってて値段メモるの忘れました)
(※ネットにも出てなかったけどたぶんめちゃリーズナブルでした)

これまたお漬物と乾杯の一杯、めちゃ早く来ました!アサヒグラスだ〜〜〜!!!イエイ!!!
もはや祈るようにグラスを持ち上げ口をつける……。頼む、甘くなくたれ!!!!

甘くない〜〜〜!!!!!

ありがとう山形!!!甘くなさはさいしょの三軒より少ないけど、ちびちびもやれるいい感じのバランス。好き〜〜〜!!!レモンサワーも比べてみると違うもんね……と本日の道中振り返りを肴に話を咲かせていく。
ふとまわりを見ると、二軒目族のビジネスパーソンやらカルチャーな若者たちやらでまわりがいっぱいだった。気がつくと声がデカくなっていく、雑然とした憩いの空間。都会のオアシス感がすごい。店員のお母さんもお姉さんも最適な距離感でめちゃよかった……。たぶん何割かは酔っ払ってたからだと思う。

山形の郷土料理がたくさん。山盛りぶつはまじで山盛りでいつまでもなくならないかとおもった。

いやぁ、たのしかったね!各レモンサワー、思ったより全然ちがっててびっくり!

そうだね!こういう感じに飲み比べしたことなかったから新鮮だった!ところでさ……。

?????

一周まわって、そろそろビールじゃない?

あっ、わかる〜〜〜!!!

ね!……ってかこのおつまみなら日本酒じゃない?
そんな気がしてきた。いっちゃう??

いいね!最高や!!!いこいこ!!!

よしきた!いえーい!乾杯!

いえーき!カンパーイ!

アハハハハ!

うふふふふ!

もう、お察しですね。しこたま〜〜〜!!!!
ここが本日の山頂。ゴールインでした。

はい、酔っ払らいました。

リアルタイムツイッターがこれ。
飲んだらSNSしちゃダメだぞ!

20年来の友人と10数年前に得るべきだった教訓をしみじみ心に刻む。お酒をたくさん飲むと酔う。
酒は飲めども呑まれるな。
そう、適度な夜風とくいくいいけるレモンサワーの組み合わせは危ないのだ。超ド級で。
いやぁ、久しぶりに飲み過ぎた……。山形を出てからも渋谷のバー付きファミマに寄ったり(ほぼ記憶にない)、やばい!と終電ダッシュしたりして帰宅した。すべてがなつかしい夜……。(夢じゃないあれもこれもをなんとか思い出しつつ、これ書いた)

レモンサワー、奥が深い……。この記録が渋谷で甘くないレモンサワーを探す民の役に立つことを切に願う。ほんと、他にもおすすめ店あったらどしどし教えてください。旅は長いのだ……。
我々はこれからも甘くない、そしてお酒の提供が早い輝く最高の一杯を探しに、どこかの街へ向かうのだウルトラソウル。

はい!待て次回!(たぶん)


おわり。

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待てうかつに近づくなエッセイにされるぞ あ、ああ……あー!ありがとうございます!!