10年連続10回目】 2022年 今年の30冊
ジャンル問わずに読書大好きな私。なんだかんだ場所を変えて毎年行っている、今年読んだおすすめの本紹介(+α)です。合計で1.5万字、たっぷりです。
Notion上に登録した読んだ本は、今日時点で176冊でした。そこにマンガも加えて、いろんなジャンルから30冊。ずいぶんたくさんになってしまいました。昨年同様、紹介文も短めです。
皆さんの読書ライフや積ん読ライフの充実に繋がれば幸いです。
随筆・エッセイ
これやこの サンキュータツオ随筆集
TBSラジオ・東京ポッド許可局やPodcastのいんよう!を通してすっかりファンになった米粒写経のサンキュータツオさんが書いた、「別れ」をテーマにしたエッセイ集。標題の”これやこの”は、タツオさんがキュレーターとして関わる「渋谷らくご」になくなる寸前まで上がり続けた噺家さんを取り上げています。その他にも、上野・御徒町の古本屋「上野文庫」店主さんとの別れ、駆け出しだった時代を支えてくれたライブスタッフさんとの別れ。いろんな別れがここに。どれも、ただ悲しい、ただ寂しい、そういうことではない別れが綴られます。
さすが文体論メインの日本語研究者、素敵な言葉がずっと綴られています。
年齢がいくに従って、自覚できる別れが増えていきます。転居・転勤のような別れもあれば、人の死もある。「さよならだけが人生だ」も実感する日々。戦争・紛争、感染症、マイクロアグレッションが溢れるこの時代に、改めて半径5メートルの別れのことを考えさせてくれる、素敵なエッセイ集でした。5年毎に読み返すことになるでしょう。
なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない
東畑先生の本を今年はたくさん読みました。昨年「居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書」を読んでから、よし今後は東畑先生の新刊は絶対買うぞと心に決め、他に読んだ「心はどこへ消えた?」「聞く技術 聞いてもらう技術」いずれも自身の振るまい、他者との関わりを俯瞰するとっても良い機会をくれた本です。(シリーズ ケアをひらく、は名作揃い=沼です)そのなかでも、↑の本が一番好きでした。
補助線を引く、っていい言葉ですよね。この本を読んでから、いろんな困りごとに接するたび、「どんな補助線が引けるだろう」を口癖のようにつぶやいています。小難しいフレームワークはいらない。すっと点線を、いまみえる輪郭から伸ばしていけば良いのです。
手の倫理
東工大の伊藤亜紗先生も、「目の見えない人は世界をどう見ているのか」を読んで以来ずっとファンです。
"さわる"と"ふれる"にどんな違いがあるのか、冒頭で投げかけられるこの問い。視覚によりがちなわたしたち、そんな中で触覚をどんな風に捉え直すべきか。コロナ禍で「接触」という言葉に対する忌避感・否定感はより強まったはずです。そんな時代のなかにあって、改めて手に焦点を当てています。
序の一部がこちらから読めます。一緒に、奥深い手の世界を旅しましょう。
ここで唐揚げ弁当を食べないでください
タイトルと装丁買いしたこの本。本を読んで、小原さんのSNSをみて、全部ひっくるめて最高でした。
Studioでつくられた公式サイトが美しい。そしてこの本紹介のためにきられたドメインは/kokokara。ここからです。
他人が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え
千原兄弟のせいじさんがYoutubeで「最近読んでんねん」と語っていた本。そこから内容を想像してください。だいたいそういう内容です。
めちゃめちゃくだらない人生訓が溢れています。だって、ただのおっさんに聞いていますから。ですが、
っていってるおじさんがいて、確かになぁと思った自分もいます。
偉そうな正論に疲れた人、ぜひ手に取ってみてください。
SF
プロジェクト・ヘイル・メアリー
説明不要ですね。まずは買ってください。最高なので。
話はそこからだ。
ハヤカワさんから出ている書評(ネタバレを含む。この作品においてネタバレは読書体験上致命的です)へのリンクも念の為、念の為おいておきます。もっとごりごりのネタバレはこちら(さらに小さな声で)
まず牛を球とします。
「横浜駅SF」や「人間たちの話」の柞刈湯葉さんの最新短編集。↑書評を書いた本人でもあります。推しです。
こちらから表題作の「まず牛を球とします。」が試し読みできます。牛が工場で作られるようになったお話し。冒頭からの引きがすごい。
他作でいうと、ルナティック・オン・ザ・ヒルや沈黙のリトルボーイを推す声をたくさん聞くんですが、私は東京都交通安全責任課が好きです。こちらはカクヨムで近い作品を読めます。責任担当車。いいパロディで、近未来だ。
SF作家の地球旅行記
↑で推した柞刈湯葉さんが書いた旅行記(一部架空)です。ウラジオストクとモンゴルに行きたくなりました。荒馬の背で鉄鍋のチャーハンになりたい(読んだ人にだけ伝わる比喩)。↓のnoteで雰囲気を掴むのもおすすめです。
私もこの年末に大型バイクを新調したので、来年は仕事を放り出して地球旅行に乗り出したいと思っています。
2084年のSF
(このnote、上から書いてきているのですが、めちゃくちゃ長くなりそう+私自身が疲れてきたので、そろそろ手を抜きはじめます)
タイトルはジョージ・オーウェルの1984年へのオマージュ。2084年の世界を舞台にしたSFが23篇並んでいます。単なるディストピアを描くでもなく、AIだメタバースだの未来予測をするでもなく。思考を揺さぶるテーマが溢れています。目覚めたまま睡眠ができる『無眠社会』が実現した世界を描く逢坂冬馬「目覚めよ、眠れ」や、AIにより男性の攻撃的傾向が証明され一部の凍結された男性を除き女性ばかりの平穏が訪れた久永実木彦「男性撤廃」などなど。AIの遺伝子が好きな人は絶対ハマるだろうなぁと。
個人的には安野貴博さんの『フリーフォール』がハラハラで大好きでした。量子世界に逃げ込む人間、あと60年で生まれるだろうか。
流浪地球・老神介護
三体を読んだ人も、まだ読めていない人も。劉慈欣の短編集はいかがですか?2冊一気に刊行されて、2冊一気に読みました。どちらもタイトルがそそる。老神介護は言葉遊びでふふっとなる一方、流浪地球は「地球が?流浪?どこへ??」となります。この作品では、地球が旅するんですよ。壮大な旅を。
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」のアンディ・ウィアーと違って、劉慈欣は(三体でもここでも)政治の混乱や人々の愚かさをはっきりと描きます。流浪地球でもまさにそれが。
私がぐっときた短編「呪い5・0」でも、小さな人間の愚かさ・醜さが社会を揺るがしていく様子が描かれています。最高。
ビジネス・経営
会社という迷宮――経営者の眠れぬ夜のために
今年のベストでした。この年末にも読み直す予定です。
コンサルファームで『私は何をしているんだ...』と一度でも思ったことがある人は、あるいはコンサルファームに依頼を出して『なんでこんなものしか出てこないんだ。価値がないじゃないか』と思った人は、この本の思想と一度交流すべきだと信じています。
企業価値で計測されるものは本当にその会社の価値なのだろうか。経営者がしていることは本当に経営なのだろうか。組織図に載っているものは本当に組織の全てなんだろうか。そんな問いを、各章がぶつけてきます。CDIさんに根付く「そもそもを問い直す」文化、素敵。
この本の中で描かれる、善を目指すための人間・会社でありたいなと強く考えています。コンサルタントなんて、どこまで行っても怪しく、胡散臭い存在なのであって、それが常識なのだから。
戦略質問: 企業の課題と解決策を見抜く
↑の書籍と地続きだと思っている本です。タイトルや帯文は煽り気味ですが、問題意識は全うで、素敵な経営書でした。
この本の中に出てくる「戦略の工業化」、つまり『細かく分割された作業を手順通りこなすことで戦略をつくること』が社会に蔓延しています。それで戦略など出来るのだろうか。私自身は新規事業分野でいろんな会社さんとご一緒しますが、この工業化は大企業の新規事業チームで顕著だと感じます。フレームワークで仕事ができるかいな。
戦略立案のコアとなる10の質問が↓。これをきっかけに、ウォールームでの議論や検討を通じて戦略を生み出していく過程。楽しいだろうなぁ。
この戦略の成功により、社員はどのような恩恵を受けますか?
現在の組織にある課題がすべて解決したとしましょう。あなたの会社は何が実現できているのでしょうか?
もし、あなたの会社が、今、突如この世から消えたら、誰が悲しむでしょうか?
あなたの会社や事業が、このままの状態だとした場合、その「X-Day(終焉)」はいつ頃来ますか?
あなたの会社は新しい戦略を策定されましたが、それにより、どこが弱くなりますか?
あなたの会社の社員は、自分のお子さんたちを、自分の会社に入れたいと思っているでしょうか?
あなたの会社でのかつての「南極探検」はなんですか?
あなたの会社が「世紀の大番狂わせ」をするとしたら、それはどんなものでしょうか?
あなたの会社の社員が他の会社に移られた場合、その方々は大活躍する予感がありますか?
今回の戦略の実現を、既存の組織分掌を考えずにとにかく最適な人間に任せるとした場合、誰にやらせたいですか?
世界を変えた地図グーグルマップ誕生の軌跡 NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生
あらゆる人の実生活を変えたであろうプロダクト、Googleマップ。それがどのように生まれ(ゲーム会社の中で)、破綻しそうになり、急回復し(戦争がきっかけ)、Googleに買収され(そう、この製品はGoogle発ではない)、創業者たちがどんな次の旅をはじめたのか(IngressやポケモンGo)。
何より、ストーリーとして面白かったです。副題の"NEVER LOST AGAIN"の意味深さ、読んだ人にだけわかる。もう迷わないんだなぁ。
神戸・三ノ宮の東遊園地でポケGOやっている人を見ると、この本を思い出します。
血と汗とピクセル: 大ヒットゲーム開発者たちの激戦記
今年もポケモン新作やスプラトゥーン、ドラクエなどでゲームが盛り上がった1年でした。事業周りでも、GoogleがStadia開発チームを解散、AmazonもAmazon Game Studios/AGSが不調続き、MicrosoftのActivision Blizzard買収関連のゴタゴタも続いていて、ゲーム業界のニュースに関心を持ち続けています。
そんな中で読んだ、ジェイソン・シュライアーの本書が鬼気迫る内容で良かったです。タイトルにあるように、まさに激戦。
上を読むとハッピーストーリーっぽいんですが、いやはや、コンテンツ業界、消費者として楽しむ分にはええけんども、関わりたい!モード学園や!と安易にいう人がいたら絶対に止めねばなるまいと決意した本。
同著者の今年邦訳が出た新作、「リセットを押せ: ゲーム業界における破滅と再生の物語」も続きで読んだのですが、いやはや、無駄遣いと無茶振りのオンパレードで胃が痛くなりました。
情報を活用して、思考と行動を進化させる
(自著の宣伝です)
仕事でGoogle検索する、何なら市場や競合、消費者調査みたいなことをする人なら、絶対、絶対この本が一番為になると信じています。(某センチュアさんの本よりしっかり書いてるんや…)
思想・哲学
セネカ哲学全集・倫理書簡集
自省録でやたらと引用されるので倫理書簡集、いつか読みたいなと思い続けて10年。5年ほど前に思い切って買ったものの、装丁の立派さに戦き、ずっと本棚に寝かせたままになってしまっていました。いよいよ今年決意を固めて、毎日1章ずつ読んで味わうように読んできました。
最高の読書体験でした。みんなで善を目指そう。
シッダールタ
ドイツの文豪、ヘルマン・ヘッセが描く、釈迦の悟りへの道。「シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント」のなかで引用されており、いまになって初めて手に取ってみました。全く知らなかったのですが、ヘルマン・ヘッセ、20年にわたってインド思想を研究していたのですね。
決して一直線に進めたわけではなく、誘惑に負け、自分に負け、最後の最後にやっとたどり着いた境地。
言葉にたよるな、と釈迦は言う。私にはまだ難しいです。
禅とオートバイ修理技術
Rebuildの第336回"AirPods Amateur"でNさんが取り上げていた本です。禅もオートバイも好きな私にはご褒美本でした。(なお禅やオートバイ修理技術の解説は一切ない)
名著。冒頭にある「みんな幽霊を信じている」ってお話しと、理性の教会の寓話が最高でした。あと私のバイクも見て
プルーストへの扉
3千ページ以上・登場人物500人の超大作「失われた時を求めて」で有名な作家、プルーストの生涯や文体を紹介しながら、『どうですか?ちょっと読んでみませんか?』と誘ってくれる本書。著者のピションも、訳者の高遠先生も、プルーストへの愛が溢れています。
本書はなによりあとがきが素敵です。この文をあとがきとして読むためだけのために本文を読むのでもおつりが来るくらい。
私のこの読んだ本紹介も、皆さんを読書に誘いたいなと思っています。
盤上のシナリオ
(数少ない将棋ファンに向けて)
あらきっぺさんの本書、不朽の名作の香りがします。
み、耳が痛い…
やっとアマ3段を取れた私ですが、来年はもっと高いレベルを目指してがんばりたい。
世界・地政学
新しい世界の資源地図: エネルギー・気候変動・国家の衝突
ロシア・ウクライナ問題が一気に立ち上がった年初に読みました。いまも欧州中心にエネルギーの混乱は続いており、この本を読んでおいて良かったなと。著者のダニエル・ヤーギンは『石油の世紀』でも有名で、エネルギーを切り口にした国際政治の読み解き深度が段違いです。
ガソリン代たかいな!電気代こんなに!
普通に生活しているとエネルギーとの関わりってこのくらいになっちゃいそうです。世界はエネルギー・資源の秩序で動いているんだなを実感する本書。ClimateTechがいかに進んだからとて、石油屋ガスの時代は終わらないんだぞ。
新しい国境 新しい地政学
↑と同じ時期に購入、国境線と地政学をテーマに学びました。日本にいると「国境」って意識しづらいけど、山や川(何なら氷河)を国境にしているとこんなことになるんかと。
実質的な管理権を行使する者が誰もいない空間:ノーマンズランド→あんまり考えたことなかった
深海底や南極、宇宙(いずれも豊富な資源を持つ)の国境線をどこに引くのか→ほんまにむっずいな
パンデミックは「国境」の重要性を改めて意識づけた→ほんまにその通りだ
まなびの多い一冊。じっくり頭を使えるときに読むべき本なので、年末年始向きです。
紛争でしたら八田まで
↑のような「地政学やエネルギー周りに関心あるけど本が全部小難しいねん!」という人に向けて。おすすめ漫画だよ!ご飯もおいしそう!↓から試し読みどうぞ:-)
ミャンマー/モンヤン村 – 日系企業の労使紛争
タンザニア/シニャンガ州 – 魔女狩り紛争
イギリス/バーミンガム – パブ襲撃
ウクライナ/キエフ – 民主化組織への資金提供
インド/カルナータカ州 – カースト格差婚
アイスランド
アメリカ/オハイオ州 – ネイティブ・アメリカン居留地へのカジノ建設
イギリス/バーミンガム - 地元弱小フットボールクラブ監督
ナウル – グローバル化
シンガポール – 劇団の脚本紛争
大韓民国 - チャイナリスク、脱北者問題
いまはマリ編が連載中。楽しいよ!
ヒストリエ
2003年から続いている歴史漫画で、主人公はマケドニア王国でアレキサンダー大王に仕えた書記官・エウメネス。当時のギリシャ・ペルシャ・マケドニアってこんな感じだったのか〜。世界史好きにはたまりません。12巻を心待ちにしています。
伊集院光さんがあつく語るやつ↓です。ギリシャギリシャしてない、わかる。
経済学・その他学術
貧困と闘う知――教育、医療、金融、ガバナンス
ひっそりやっているポッドキャストでも全3回で取り上げました。経済学研究科修了生の端くれとして、愛を語っています。
ノーベル経済学賞受賞者、エステル・デュフロの開発経済学に関わる講演録です。実験が難しい/ほぼ不可能な社会科学の領域でも用いられるようになったランダム化比較実験(RCT)ですが、その意義・効果がどこにあるのかを探ります。
ワクチン接種キャンペーンをもっと効果的にするには?
低コストで子どもたちの教育を改善するには?
出勤しない教師や看護師にどう対応する?
マイクロクレジットは貧農を救う魔法の処方箋か?
村落集会はほんとうにコミュニティの自己決定を強化しているのか?
開発分野、個々人の感想や謎の善意によって行われる意志決定が多いので、こういう知見、ぜひ拡がれ。
アダム・スミス 共感の経済学
資本主義が〜な人すべてに読んで欲しい本。アジテーターが言うように、アダム・スミスは「市場原理主義者」「不平等と利己主義の擁護者」だったのか。経済学だけではなく、哲学、倫理学、政治学にまで拡がるその知性を一緒に堪能しましょう。
「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? ; これからの経済と女性の話」みたいな勘違い指摘が減るといいなぁ。ミスリーディング邦訳かと思いきや、原題の直訳でこれなのか…とほほですわ…
身体を彫る、世界を印す――イレズミ・タトゥーの人類学
↑とおなじようにポッドキャストで取り上げた、タトゥーを人類学観点で研究した本。私は『日本土産としてのイレズミ』の章に一番惹かれました。来年挑戦したいことのトップ5にあります、タトゥー。
本書を出している春風社がなにより素敵さの溢れた出版社で、この本に触れて以来、横浜への愛が高まっています。
〈賄賂〉のある暮らし :市場経済化後のカザフスタン
春風社と同じくらい好きな出版社の一つが白水社です。「女子サッカー140年史」や「ウェルベック発言集」、最新書も魅力的。
公平に!公正に!が叫ばれる昨今ですが、コネと裏金が重視されまくる社会って具体でどんなもの?をカザフスタン経済のいまを見つめつつ探求する本書。第15回樫山純三賞〈一般書賞〉の受賞作品でもあります。
地獄の沙汰も金次第。そんな社会になったとき、システムと人はどんな風に動くのか、回るのか。公正とは幻想なのかなぁ、そんなことを思いながらページを繰りました。
ヒトラー演説 - 熱狂の真実
新書って日本の知性を支える最高の文化の一つですよね。今年もお世話になりました。
有名なエネルギー全開演説だけではなく、もっと静かかつ言葉巧みなスピーチも行っていたと。使う単語、語調、身体的振る舞い、どれをみても天才。発する側としてもメディアの受け手としても、学びの多い本でした。
すごい物理学講義
12月は、イタリア人の物理学者、カルロ・ロヴェッリの本ばっかり読んでいます。↑の本と、「カルロ・ロヴェッリの 科学とは何か」「時間は存在しない」「世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論」の合計4冊。どれも自分の世界認識を揺さぶられる(現在って何だ?存在しているとはどういうこと?世界は連続ではなく離散・粒状?ものではなくコトで世界が記述されている?等)、最高の読書体験になりました。
なにより、物理学者が書いたとは思えないあまりに美しい文章。本書はメルク・セローノ文学賞、ガリレオ文学賞も受賞しています。文学賞ですよ。素晴らしい。ご本人、物理学の研究を進めつつ、米・西海岸のヒッピー文化にもだいぶ傾倒されていたようで、そのあたりに起源があるのかなぁと考えていました。そしたら、下の文章ですよ。
自分がいまこの場所にいること、胡散臭いコンサルタント・リサーチなんていう仕事をしているのも、ここが避難所だからなんだ。よっしゃ、知的で芸術的な仕事をするぞと改めて決意した次第です。
知性を追い求める全ての人に。正しい世界理解を求める全ての人に。確実かつ完全な知が存在するという幻想を捨てて、最良の道を探ろうとする全ての人に。素敵な知性を一緒に探求しましょう。
少しでも皆さんの世界を広げることに役立ったのであれば幸いです。
これまでのわたしの読書記録として、↓で800冊近い書籍を纏めています。
もしここでご紹介した本が皆さんの心をかすめたのなら、ちらっと覗いていってください。
良い本とともに、良い2023年にしましょう!
応援ありがとうございます!