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2019年版 今年の14冊

毎年行っているおすすめの本紹介を今年もやりたいと思います。

2013年から1年に読んだ本のまとめをはじめました。
・10冊に絞ってまとめていた2014年
・収まりきらなくなった2015年
・個人的に本の大ヒット年だった2016年
・ちょっと構造化してみようかとトライした2017年
そして昨年2018年のやつがしたです。お暇なときにでもザーッと読んでみてください。

昨年版は9,000字の対策になってしまったので、今年はシンプルにしたいです。

野蛮な来訪者 -RJRナビスコの陥落

本書は、アメリカで1990年代以降の大型M&Aの先駆けとなったRJRナビスコの案件を描く長編ドキュメンタリー。M&Aの教科書として、現在多くのビジネススクールや企業研修のテキストとなっている“古典"でもある。

不朽の名作です、野蛮な来訪者。
大量のステークホルダーインタビューによって描かれた、生々しい企業買収の現場。それを見ながら、会社ってなんだろう、誠実な仕事ってなんだろうと考えさせてくれる本でした。

「ついやってしまう」体験のつくりかた -人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ

人の心を動かし「ついやってしまう」仕組みと手法について体系的にまとめたのが本書です。ついやってしまう・思わず夢中になる・誰かにすすめたくなる。商品・サービスのしくみとは?企画・開発・マーケティング・営業等、幅広く役立つ体験デザイン(UX)の入門書です。

今年話題になった本の1冊で、いまもAmazonの商品開発カテゴリのベストセラーになっています。わかる。素敵な本でしたもん。冒頭のスーパーマリオのストーリーを題材にした体験の説明部分からなるほどーの連続で、最後神話にまで至る解説の充実っぷり。

「心の文脈こそが体験の意味を決めている」素敵な言葉でした。来年も読み返すことになりそう。

チョンキンマンションのボスは知っている:アングラ経済の人類学

100%信頼できる人はいない。だからうまくいく。一攫千金を夢見て香港に集まるタンザニア人。彼らの日常は、まさか!の連続。既存の制度に期待しない人々によるセーフティネット、信用システム、シェア経済とは。可能性に満ちた社会がここにある。

すぐに「制度が!仕組みが!行政が!」と口に出しちゃう大人たちに、ぜひ読んでみてほしい。生き抜こうとする人間が集まれば、自発的にでも有効なコミュニティができるんだと。

普通のSNSを用いた中古車売買の進め方の部分が個人的にとっても面白くて、ぜひそこを読んだ人と色々語り合いたい。

人生で大切なことは泥酔に学んだ

福澤諭吉から平塚らいてう、そして力道山まで。日本は失敗が許されない社会といわれ、一度、レールを踏み外すと再浮上が難しい。しかし、悲しいかな、酒を呑んでしくじったところで人生は終わらない。出世に通勤、上司、危機管理、宴会から健康。笑え。潰れるな。バカにされても気にするな! ! ! !

酒は人間をだめにするんではなく、本来だめな存在である人間の本性を明らかにしてくれるものなんだとおっしゃったのは立川談志師匠。
この本を読むと痛感しますね、酒のパワーを。

いままでお酒で失敗したことがあるand/or自分の本性がどこにあるのかわからない、そんな大人の方におすすめです。泥酔しても、なんとかなるよ。

黒田清隆のエピソードは流石にひきました...

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために

自分の人生を生きろ。写真家で猟師のぼくは、34歳の時に治らないがんの告知を受けた。後悔はない。それは、すべてを自分で選んできたからだ。家族、仕事、お金、そして生と死。選ぶことから人生は始まる。

生老病死は全ての人間に訪れる四苦。避けられないものなのに、なぜ人は病にかかると狼狽し、周囲との関係が壊れ、さらに不幸になってしまうのか。
健康や治療ということについて、深く深く考えさせられた本でした。

最近とあるイベントで秦野さんをお見かけして、フェアに、しかし鋭く語る口調が素敵でした。年末年始、家族が近くにいるこのタイミングだからこそ、みなさんに読んでほしい本です。

文化人類学の思考法

あたりまえを疑う。言うは易しだが、これが思うようにできない。手ぶらでやろうとすると気づかぬうちにかつての「あたりまえ」のなかに囚われてしまう。生活のあたりまえ、男女のあたりまえ、会社や仕事のあたりまえ、経済や文化のあたりまえ、国家のあたりまえが劇的に変わっていこうとしているなか、これまでの「あたりまえ」から出ていくためには、優れた道具が必要となる。文化人類学は「これまでのあたりまえ」の外へと出ていくための「思考のギア(装備)」だ。本書はその最先端の道具が一式詰まった心強い「道具箱」だ。こんなに「使える」本は滅多にない。ビジネスマンからクリエイター、学生まで、下手な実用書を買うくらいなら、これを常備しておくことをおすすめする。(WIRED日本版元編集長・若林恵氏)

若林恵さんが大好きで、その書評を読んだ瞬間に即買でした。一番良かった即買いです。デザイン思考の○○、みたいなのを読むくらいならこれをぜひ。デザイン・リサーチの一手法、エスノグラフィーはもともと文化人類学の研究手法ですし。自信の「あたりまえ」を相対化しよう。

僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

どんな失敗をしてもいい。学生時代にやった失敗は絶対に無駄にならない。
――第一章・山中伸弥
ある種の小さな挑戦とか、冒険、あるいは身近で未知なるものに出会うという機会を求めていくことは、非常に大切なのではないかと思います。
――第二章・羽生善治
僕はこの仕事を始めたころ、なぜ撮るんだろうという、すごく根本的なことで悩んだことがありました。
――第三章・是枝裕和
自分にしかできないことは何だろうと、思っていたほうがいい。あなたというのは、この世にひとりしかいないんだから。
――第四章・山極壽一
あんな偉い人でも、なんだ自分と同じじゃないかということを感じ取ってほしい
――永田和宏

30代でうつに苦しんだ山中先生、初めての海外撮影でヤラセをしようとした是枝監督。年をとってなお最善を追求する羽生先生、好奇心を捨てない山極先生。全員かっこいい。
勇気づけられよう。憧れよう。どんどん挑戦しよう。

君が生きる意味

「こんな人生、生きてて意味あるのかな…」人生のどん底に落ちた青年の目の前に、ある日、小さい変なおじさんが現れる。おじさんは青年を助けるためにやって来たというが、一体何者なのか?2人の対話を通じて、人生が劇的に変わるフランクルの教えが学べる。

「夜の霧」「それでも人生にイエスという」などの著者であるV.E.フランクル。その考え方にふれるフィクションです。嫌われる勇気/幸せになる勇気のように、哲学系コンセプトを小説で伝えるという流れなんですかね。
人のために尽くそう。自らを越えよう。

バガヴァッド・ギーター

インド古典中もっとも有名な本書はヒンドゥー教が世界に誇る珠玉の聖典であり、古来宗派を超えて愛誦されてきた。表題は「神の歌」の意。ひとは社会人たることを放棄することなく現世の義務を果たしつつも窮極の境地に達することが可能である、と説く。

善悪、信仰というものごとについて考えさせられる一冊。
宗教経典であるということを脇において、物語として読みたい。

棋士と哲学者 僕らの哲学的対話

棋士と哲学者―。1988年生まれ同士の異色顔合わせによる対話の記録。いまほど「人間」の自明性が疑われている時代はないのではないか。「人間」を巡る様々な問いを、棋士と哲学者の二人が勝負論や幸福論など様々な切り口から考察。

糸谷先生。原理主義者。かっこいい。
トップレベルで戦う棋士の勝負感やAIとの関わり方は、将棋というものが本質的にゲームなためか、深く、共感できるものが多いなぁと感じます。

禅とジブリ

スタジオジブリ・プロデューサー鈴木敏夫が三人の禅僧と語る“半径3メートル”の禅問答。やわらかく、やさしく、強く、この時代を生きるには。

白隠がかいた書は、仏教という考え方の広告だったと。禅において、悟りは月に例えられる。教えはそれを指し示す指でしかない。広告も指だと。

『もののけ姫』では「生きろ」、『風立ちぬ』では「生きねば」、白隠であれば『生きてみたら?』がキャッチコピーなのでは。

アスリートが「無心で飛んだ」という境地を、ただ私たちは禅と名付けただけなんだ。

いい言葉と気づきが溢れた、素敵な本でした。好きです。何度も読みたい。

岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。

任天堂の元社長、
岩田聡さんのことばをまとめた本です。
ほぼ日刊イトイ新聞に掲載された
たくさんのインタビューや対談、
そして任天堂公式ページに掲載された
「社長が訊く」シリーズから重要なことばを抜粋し、
再構成して1冊にまとめました。

まあ最高ですよね、これは。優しい。優しい経営者だ。

昨日のカレー、明日のパン

7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。

木皿泉さんのエッセイが大好きなんですが、小説も。
死を受け入れる過程と、日常と。想像力たっぷりに読みましょう。

姿勢としてのデザイン

デザインに迷走する者たちへ。
この膨大なデザインの知を得ることで、
あなたのデザインに対する姿勢は変わるだろう。
あなたはまだデザインを自己表現の媒体だと思ってはいないだろうか。
デザインは社会に対するあなたの姿勢なのだ。
デザインをするだけではなく知ることも必要だ。
この本ほどそれに相応しいものはない。
デザインは世界に対する誠実な態度だということを改めて確信した。
――深澤直人(デザイナー)

↑の深澤さんのコメントがすべてですね。
世界に対する誠実な態度を持ち続けよう。好奇心と一緒に。

この本の中の「PROLOGUE Design as an Attitude 姿勢としてのデザイン」が全文公開されています。こちらからどうぞです。
kaminotane.com/2019/04/17/5454/

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その他にも、漫画だと
マイホームヒーロー
アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり
忘却のサチコ
リボーンの棋士
ブルーピリオド
あたりがぐっときました。

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後半、あきらかに息切れしてシンプル紹介になっちゃいました。
内容は最高です。ぜひ読んでみてください。

みなさんのよい2020年をお祈りしております!

応援ありがとうございます!