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(小説5分読書)四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(私を呼ぶ声③)

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「開かずの踏切、真偽やいかに!」

 晴菜が面白そうにふざける。崎本は神妙な顔で踏切を睨みつけている。ぼうっと踏切を見つめる私。傍から見たらなんて滑稽な三人組だろう。
 まるで重石が無くなったかのように軽快に踏切が開き、辺りに静寂が戻ってきた。実に呆気ない。

「普通に開いたね」
「やっぱり朝のあれはたまたまじゃなかったのかな」

 首をかしげながら踏切を横切り、あの男に呼び止められた場所を通り過ぎる。晴菜はあちこちをキョロキョロと見回しているが、あの男は居らず肩を落としていた。私はホッとしているが、晴菜はそんなことお構いなしという感じだ。こういうところは昔から本当に変わっていない。晴菜曰く、「好きな人とイケメンは別」なんだとか。
 この年頃の女子ならこれが普通なんだろうかと悩みもしたが、恋だ愛だは私にはピンと来ない。恋愛事よりも今は勉強の方が大事だし、本音を言うなら母に会いたい気持ちの方が大きい。お母さんなら今日のこと、なんて言って聞いてくれるのだろう。

「あのさ、ちょっといい?」

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