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四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(再会①)(無料試読あり)

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 キリキリと音が聞こえて来そうな空気の中、長老がスオウに厳しい視線を投げる。スオウにはさっきまでの威勢がもう無い。

「アカノ、これはお前の独断が招いた結果だ。お前は昔から行動を読み易い。自分じゃ上手くやってると思っているようだが、世の中には何枚も上手の輩が五万と居る。クロがこうなったのはお前の最近の傲慢さが故だ。ここにいる奴らの命預かってる以上、軽率な行動は取るんじゃねぇ」
「すいやせん師匠。しかしこいつと同じ半人前ってのは納得いかねぇ!」
「黙れ半人前! 周りを見ず、人を頼らず、間違いを認めて謝れねぇような奴、半人前もいいとこだって言ってんのがまだわからねぇのか! お前さん、クロが起きてから一度だって謝ったのかい」
「それは・・・・・・」
「初めての弟子で舞い上がってんのはわかる。でもな、導く側がいつだって正しいとは限らねぇんだ。ましてやガキにこんな危険な仕事をやらせるなんて、馬鹿を通り越して浅はかだ。なぜワシに相談しなかった。え?」
「そりゃ・・・・・・俺ぁもう一人前で、師匠の力を借りなくてもなんとかできるって証明してやりたくて・・・・・・」
「そんな薄い見栄のために、自分を慕うガキの命を無駄にしようとしたのか! 子供は親の言うことを真に受けるんだぞ!」

 スオウが私の腕の中で眠るクロ君を見る。その目には見る間に涙が溜まっていった。
 クロ君がモゾモゾと体を動かすが、私が抱きしめているせいで寝返りが打てなかったからか目をうっすらと開けて、「師匠?」とスオウを探す。クロ君の声を聞いた瞬間、スオウは弾け飛ぶようにクロ君に頭を下げた。

「すまねぇクロ! お前を危険な目に遭わせて。怖い思いさせて。ホントにすまねぇ! 俺が馬鹿だった」

 クロ君が飛び起きてスオウのそばへ行く。突然頭を下げられてどうして良いのかわからずオロオロとしているクロ君の顔色はかなり良くなっていた。本当に死ななくて良かった。
 スオウにとってクロ君が大事な弟子であるように、長老にとってのスオウも、きっと可愛い弟子なのだろう。あれだけ怖かった長老の目が、今は孫を見るおじいちゃんのようだ。長老の前ではスオウも十分子供なのだ。

「さて、お嬢ちゃん」

 スオウがひとしきりクロ君に謝罪して落ち着いたところで、長老が私に話しかけてきた。私の隣のスオウにクロ君はしがみついている。

「お前さん、みおさんの所へ行きたいのか」

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