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四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(再会④)(無料試読あり)

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以下本文


 声が出せない。黒い人型の影の腕は、細い割に力が強い。もしかして、狐族の何かの術なのだろうか。ここに居るのがバレたのか?
 どんどん体が冷えていく。既に手足の先の感覚が無い。ここだけ雪山になったようだ。

「はな・・・・・・し、て」

 意識が遠のく。手放しかけそうになっている意識の暗がりの中に、またあの不気味に笑う影が現れた。この前見た時よりも近づいてきている。
 こちらに来る影。その影が何か言っている。

『・・・・・・し・・・・・・けの・・・・・・ない』
『え?』
『ゆるさない』

 その瞬間、頭の中にパァンと音が響いた。不気味な影が遠くなり、意識が戻ってくる。目の前には異様に手足の長い人型の影が相変わらず居た。なんだか無性に腹が立つ。
 私が何をした。許さないと言われるようなことをした覚えなんて無い。私は、ずっと、ずっと・・・・・・。

「私はずっと! 頑張ってきただけなのに!」

 ブワッと音を立てて私の周りが見えないドームで覆われた。ドームの中で体がふわりと浮く。人型の黒い影の手も、ドームが現れると同時に弾けて離れた。徐々に冷えた体が回復していく。
 人型の影はドームの中に入って来ようとする。しかしドームにぶつかる度に、ぶつかった場所が弾け飛んでいく。弾け飛んだ箇所がザワザワと揺れては元の形に戻る。
 体の中まで体温が回復すると、お腹の底から力が沸々と渦巻くのを感じた。アオバミの力とは違って、自分の足先から力が湧き上がってくる。
 考える前に体が動いた。右手の先で、湧き上がってきた力を丸い空間に留めていく。留めた力が自分の体の半分ほどの大きさの空間になった時、それを人型の影に放った。
 ドームを越えて、人型の影に放たれた空間が当たる。当たった空間が大きくなりながら人型の影を飲み込んでいく。間も無く人型の影は動けなくなった。
 空間を放った右手の指を少しずつ閉じていく。それに合わせて人型の周りの空間も小さくなる。閉じる指に感じる反発が強くなる。それに構わず指を閉じ続ける。
 小さくなる空間は徐々にサッカーボールくらいの大きさになり、野球ボールよりも小さくなり、真珠ほどの大きさになった時に全ての指が閉じて、空間の収縮も止まった。人型の影は空間の中でただの黒い丸になっていた。
 私は自分の周りのドームを解いて、宙に浮かぶ真っ黒な玉となったそれを掴む。と同時に
スオウが息を切らしながら走り込んできた。

「おい! 大丈夫か? えれぇ大きな妖力を感じたが」
「スオウ・・・・・・来るの遅いよ」
「え?」

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