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四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(再会⑥)(無料試読あり)

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以下本文



  スオウの屋敷に居た時に使った力は、アオバミの力。私自身の力ではない。わかっていたのに、少しショックを受けてしまった。結局、私は自分1人で全部やったような気になっていただけで、1人では何もできないんだと改めて言われたような気がした。
 母が居なくなって、誰にも頼っちゃダメだと自分に言い聞かせて、人には弱い部分を見せないようにしてきた。でも、そういうのを全部ユリノ様やアオバミは見ていた。2人は何を思って私を見てきたんだろう。
 そもそも、なぜ私は、「頼っちゃいけない」と思ったのか。花さんにも言われた。私はいつから人に弱音を吐くのを、「我慢させられて」いたのだろう。

「そんなショック受けるこたぁないだろう。まぁ勝ち負けとか相性って話も、想像しやすくする為のものだから、実際にはあまり気にしなくていい。相性が悪いから負けるっていうよりも、それぞれの力量の差によることが多い。どんなに属性的にこっちが有利でも、相手の力量の方が上回っていればあっという間よ」
「相手のレベルの方が高ければ、水も火にワンパンで負けるってことね」
「お、わかってるじゃねぇか」
「小さい頃やってたゲームもそうだったから」

 そう言って思い出したのは、母とテレビの前に並んでゲームをしている場面だった。幼稚園から帰って来て、買ってもらったばかりのゲームを母にお願いして一緒にやった。
 母は意外と強くて、2人とも初めてやってるはずなのに何度やっても勝てなくて、私は不貞腐れて泣いた。母は私を膝に乗せて、「闇雲に戦ってもダメ。相手の弱点を狙うだけでもダメ」と言った。じゃあどうすれば勝てるのと泣く私に母はなんと言ったんだっけ。母の顔も、なんて言ったのかも、思い出せなかった。

「んで、あんたの力の属性だが」
「え、あ、うん」

 慌てて視線を記憶の中からスオウに戻す。忘れてしまったことがたくさんある。それが悲しかった。

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