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四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(暗雲⑦)(無料試読あり)

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以下本文


「おい、生きてるか⁉︎」
「・・・・・・多分。帰って来れたみたい」
「良かったぁ。もうどうなることかと・・・・・・」
「クロ君、泣かないで。私、どうなったの?」
「勾玉が砕けた瞬間、立ち上ったモヤがあんたの中に入っていった。そしたらあんたは意識を失って、あんたのその細い首がドンドン締まっていったんだ。まるで誰かに首を締められるようにな」
「・・・・・・勾玉の中に居た、水篝火様のお仲間に会ったの」
「やはりか。そいつにお嬢ちゃんは殺されかけたんだな」
「最後に道連れにしようとするたぁ、落ちるにも程があらぁ!」
「でもねスオウ! そのヒト・・・・・・泣いてたの。許せって。体が勝手に動くって。勾玉をね、初めて見た時からずっと泣き声が聞こえてた。私、だから・・・・・・」
「泣いてた? そんな声、俺には聞こえなかったぞ」
「わしもだ。勾玉の中には禍々しいモノしか感じなかったがの」

 訝しそうに首を捻る2人。自分がおかしかったのか、泣いているように見えただけなのか、少し自信が無くなりかけた時、クロ君がしゃくりあげながら言った。

「ボクも、泣いている声が聞こえていました。勾玉を飲み込んだ時からずっと。すごく、すごく苦しそうでした」

 クロ君にも聞こえていた。彼の苦しそうな泣き声が。恐ろしい程の赤い世界で、彼の最後の感情である透明な涙。落ち着いて思い出してみると、それはとても綺麗だった。
 精霊の力を失ったあの勾玉の持ち主は、今頃今までのように力を使えなくなっているはず。もう誰も殺さないでほしい。

「クロも聞いてたんなら、あんたの夢じゃなさそうだな」
「当たり前でしょ! 私、一応死にかけたんだから!」
「そんだけ元気なら大丈夫だな。ところで、さっきからなんでずっと手を握りしめてるんだ? なんかに祈ってんのか?」
「え?」

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