柳 昴琉

文章を書くことが好きです。 言葉は人の心を揺さぶる魔法🪄

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最近の記事

*小説 猫のような君は【中】

さっそく誤解を招くような言い方をしてしまったことをここでお詫び申し上げる。 正直言うと、心を開いているかは定かではない。 理由は「猫」だからだ。 他よりは比較的仲の良い位置に自分がいる自信がある。 前述したとおり、彼女は職場では業務連絡以外あまり話さない。 自分もそうだ。 とは言いつつまったくではない。自分だけの空間では緩いトークをする。 いざ面識のある人やそうじゃなくても職場の人間が近づくと、ナチュラルにその場から退場する。 顔を見ずに気配を感じるところが

    • *小説 猫のような君は【前】

      世の中には目に見えないものを言語化することを得意とするタイプがいる。 アーティスト気質の人は分かるかもしれない。 言葉にできない代わりに、文字や歌、絵画にしたり、あるいは芸術の域を超えて武道で自己表現するようなイメージだ。 歴史に名を残す芸術家の作品にはそれを納得させるものがある。 まさに言葉で言い表せられないものを感じるのだ。 朝から何故このようなことを考えているのか。 目の前で寝ている彼女がまさにそのタイプだからだ。 彼女はさっきのタイプでいうと文字タイプだろう。

      • *小説 私の後悔【後】

        本編 どこにいても気が休まらない日々でした。 本来安全基地であるはずの場所はもちろん、どこも自分を受け入れていないような不安と不信感を募らせていた頃です。 気づいたらその人は近くにいました。 名前は知っている。 それくらいの印象しかなかった。 そこで直感が働きました。 きっとこの人も偽りの自分に惹かれて近づいたのよ。 過去に自分の思い通りにしようとしてきた人達のことを思い出しました。 そういった人たちの前ではできる限り隙を与えないようにしなければならない。 そう

        • *小説 私の後悔【前】

          後悔していること? ありますとも。誰でもあると思います。 忙しい日々を過ごされる方々には、過去を振り返るのは難しいかもしれません。 対して私は白い天井を眺める日々ですから、残された時間は昔を思い返して過ごしているの。 楽しい、嬉しい、悲しい、辛い。どんな思い出も全てね。 その中でルールを設けているわ。それは「あの時こうしておけばよかった」と後悔しないこと。 仕方のないことでしょう?その時の私は最善のことをしたのだから。 ああ聞こえてきそうだわ。 「後悔しているこ

        *小説 猫のような君は【中】