アルゼンチンサッカー 育成年代記録 2023 ~U14(9na)のサッカー環境は~
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アルゼンチンからお送りしています。
〇 育成年代のサッカーは
アルゼンチンのサッカー環境で、ハードルが高いのがスケジュールを把握するということ。日本では、試合の日程やレギュレーションが調べたらわかるし、それが当たり前だと思っていた。
アルゼンチンでは
『今週末はリーグ戦があるのか?』とコーチに聞いても
『私たちも何も聞いていないんだ』と返事が来ることが常。
つまり、リーグを開催する主催者と、チームを管理するコーチの窓口になる立場での連絡網がぎりぎりまで調整しながら管理しているという状況。
大まかなホーム&アウェーとか、対戦相手とのスケジュールもない(あるのかもしれない)から、雨で中止になると次週や次々週に繰り越されることも少なくないのである。
トップダウンでフレキシブルとも言える組織ではあるものの、長期的な日程を把握できないことは当たり前なのである。(言語の問題で私たちが情報を掴むのが遅いことも否定はできない)
〇 試合開催が決定すると
試合に参加するメンバーの連絡が届く。日曜日の試合なら、土曜日の夕方に連絡が来るのは当たり前で、気が気ではない週末を迎えることになる。
まずは週末の試合のメンバーに選ばれることを当面の目標として、一週間のスケジュールをこなしていくことになる。ここが日本とは違う部分で、全員がプレーすることが前提なので、所属の全員を呼ぶということはしないということ。
もちろん試合の機会は豊富にあって、いろいろなリーグに参加しているので、試合出場が全くないということが起こらないのも特徴。
希望するリーグの試合に呼ばれることもモチベーションに繋がっていることにはなる。
気を付けないといけないのは、試合に呼ばれることが『目的』になってしまうこと。チームは勝つことを目的として招集している事情があるのに、そこに温度差だできてしまうというケースもある。
招集されたら次の目標に切り替えないといけないのだが、前日の夕方までわからないという状況がモチベーション維持を難しくもしている。
〇 試合会場に到着する
集合時間と場所を伝えられ、試合会場に到着する。ただし時間に何かが始まるということではなく、会場のどこかで待機して集合がかかるのを待つ。
と言うのも、各年代で順番に試合をしていくのだが、これが時間通りに進行していかないのが通常。
おそらく試合予定の一時間前に集合しているのだが、そこで二時間待っても集合もしないことが当たり前なのである。
一時間内の誤差なら普通、そんな感覚なので集合時間を過ぎてから徐々に仲間たちが集まってくる。時間厳守を重んじる日本の事情からすると、これに慣れるのにちょっと時間がかかってしまった。
そうすると、会場についてからの時間の使い方も重要で、補食を持参したりしながら前の試合を観つつ様子を探っていく。
年代の上の世代から消化していくのが通例なので、1歳上の試合がハーフタイムになる時間までは、それぞれが会場内で集合を待つことになる。
〇 ウォーミングアップが始まる
ここも日本との大きな違いを感じる部分。アップでは汗をかくほどの運動をしないし、時間も15分~20分程度であること。日本では、心拍数を上げるどころか汗をかくほどにカラダを動かすイメージがある。
二時間の待ち時間で、集合してから30分で試合開始。そんなスケジュールで試合を迎えるのである。時間の遅れ以外は実にコンパクトに準備しているのも印象的。
ゲームも一日に一本しかやらない。公式リーグ戦であろうと、トレーニングマッチであろうと、一日に数試合消化するようなことはない。
これは小学生世代のフットサルから同様の傾向である。試合経験と言えど、一日に何試合もやることに意味を持たないというのが原則。
〇 背番号は決まっていない
背番号についても、集合がかかってユニフォームが配られるまではわからない。背番号の登録制ではなく、背番号で今日のスタメンを言い渡されるような仕組みになっている(みたい)。
試合にもよるが招集されるのは15~16名程度で、キーパー2名のほかフィールドプレーヤーの枠を練習で争う仕組み。チーム内でも争いがあって、リーグ戦に勝つという目的に向かう。
コーチ陣はそんな選手のモチベーションをコントロールしながら、試合に入っていくのである。
〇 父兄の試合観戦について
サッカーの試合、僻地で開催されることも多いのは日本も同じこと。ほとんどの選手が父兄の車で会場に入る。
そして、父兄たちはマテ茶を片手に談笑しながら観戦するのが、週末の過ごし方になっている。
観戦マナーも行き届いていて、過度に興奮する人もいない。小学生のフットサルでは大人のレッドカードを何度も見かけたが、この世代になると観戦する父兄も大人になっている(笑)。
〇 送迎バスが出ることも
チーム事情にもよるが、アウェー戦になるとマイクロバスが手配されることもある。(去年までのチームにはこれがなかった)
家庭事情で兄弟で所属したりすると、父兄が必ずしも帯同できるわけでもない。そして同乗できるのは原則として、選手だけという仕来りがあるようだが、この日は帰りだけお願いして乗せてもらうことができた。
その空間には、選手と指導者という独特の緊張感は皆無で、コーチはコーチ同志で世間話をしているのが印象的だった。
子供たちは試合後ということもあり、寝ていたりすることがほとんど。
むしろ、ひと仕事終わったコーチ陣がリラックスしてバス移動しているようにも見えた。
〇 サッカーを仕事にするということ
当然、週末はサッカーのリーグ戦に拘束されるコーチ陣。試合が終わったバスは、週末を迎えて夜の街に繰り出すサラリーマンの様な気分なんだろうと思う。言葉はわからないけど、自分たちのサッカーの話をしているようには見えなかった(笑)。
アルゼンチンの日本のサッカーの違い、それは『メリハリ』なんじゃないかと思う。帰りのバスに乗って以降は、今日の試合を振り返るようなことはしないし、試合のその瞬間にだけ、真剣に勝負にこだわるという姿勢は選手もコーチも同じ気持ちだということ。
勝てば本気で喜んで、負ければ悔しがる。でも、もう帰り道ではそんなことを考えるでもなく、脳内は切り替わっているような生活。
どっぷり浸かっているようで、浸かり方が日本と違うということ。
ただし、その日のプレーはどうインプットされているのか。記憶でしかない印象もあるが、考えていることは意外とシンプルなのかもしれない。
個々がのびのびとプレーして、失敗を攻めるようなこともない。心からサッカーを楽しむという意味では、コーチも含めて「全力でサッカーをする」ということが実は最大の目的なのかもという気もしている。
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