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愛の悲願と傍観—終焉ノ花嫁3—

概要

著:綾里けいし
絵:村カルキ
出版:角川書店

あらすじ

「自分が特別じゃなかったから。永遠に手にできないものがあったから。」


 人類の敵【キヘイ】が世界を蹂躙して幾年。
 魔導学園・黄昏院を設立し、人々はその脅威に抗戦を続けていた。
 【逢魔ヶ時】打破を祝う祭りでの【最悪の結末】を回避したコウは【研究科】時代の同級生のアサギリ、イスミと交流をするようになる。
 平穏な時を過ごすある日、コウはアサギリから告白される。
 翌日、コウはイスミから驚愕の事実を伝えられる――アサギリが遺跡で行方不明になったと。
 彼女を探し遺跡を捜索するコウの前に新たな【キヘイ】の王が現れ、コウは【キヘイ】の謎を知ることになる――。
 最愛の【花嫁】達のために、コウが選択した道とは――?(1)

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特徴

時めぐりを最小限に抑える

 この巻で時巡りを繰り返す事で肉体的な負担がかかっていることが判明する。それにより無作為に回数をこなすのではなくどのタイミングで時巡りをするかが重要になっている。その為作中では一回しか時巡りを行わない。


良い点

執着にまみれた愛

 ユウキ・アサギリの狂おしいまでのコウに対しての愛、それが発露され、物語が悲劇に傾く。姫シリーズになったことでか、それとも精魂からのものか分からないが彼女の狂いの描写が癖になる。

キヘイの正体

 この巻でキヘイの正体のついて明かされるが、予想を超えるものとなっている。なぜキヘイは人を殺すのか?キヘイはなぜ敵である人間ところ婚姻関係を結ぶのか?その真実が新たなキヘイの王から語られる。

悪い点

花嫁と花婿

 今回はアサギリの行方、学都、帝都の陰謀、キヘイの正体など物語の謎が明かされる為キヘイと人間の絆の描写画像少なく人間中心の話になっている。その為せっかくの人間×人外の要素が薄味となってしまっている。

白姫と黒姫

 3人の恋人たちを描くためのバランスが出来て折らず、白姫と黒姫の扱いの差が大きくなっている。白姫を花嫁として扱っているが黒姫に対してのアプローチが少ない。引目を感じている黒姫を白姫が慰め、コウもそれに倣う、或いはコウが慰め、白姫もそれに倣うというパターンが殆どで黒姫とコウの絆が少なく感じ、人間と人外の絆でもコウと白姫の描写しかない。

時めぐりの代償

 時巡りをすると身体が壊れると判明するがこれはコウ自身があまり時巡りを行わないための作者の制約にしか感じない。このシリーズのほとんどが時巡りを使っての問題解決を主として来たがいわゆる時巡りをすることで起こる副産物というものがあまり描写されず都合の良いものとしてか記されていなかったのにも関わらうに急に制約が出てきたので作者の都合しか感じられない。


感想

終着

 物語の結末には賛否両論あるだろう。中途半端な終わり方だと言っても差し支えないが、打ち切りであることを念頭においてほしい。しかし個人的には何故その選択に至ったのかコウの内面やその詳しい経緯を章の始めではなくきちんとした形で書いてほしいと感じた。






(註)

(1)以下からあらすじ引用

(2)各種画像以下から画像転載


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