本棚マンガ大賞2022【2022年の本棚まとめ】
今年も細々と投稿してきた月末の「本棚」記事。月の最終日に固定で更新できたことは、自分を褒めてあげたい。〆切厳守の精神。別に何の意味もありませんが。
そんな2022年も早いものでもう年の瀬。
今年も去年に引き続き一年を振り返って、本棚の整理がてら個人的ベストヒットの紹介をしていきたいと思います。今年一年、我が家の本棚を彩ってくれたマンガたちに向けて個人的に贈る賞、その名も『本棚マンガ大賞2022』。
色々悩んだ結果、以下の4部門に分けてみました。
【完結作品部門】
【映像化作品部門】
【審査員特別賞部門】
【新規作品部門】
便宜上ランキング形式になりますが、優劣を決めるわけでは全くないです。全部すごい。全部大好き。そして言うまでもなく何の権威もない至極個人的な好みによる選定なので、「ふ~ん」くらいの気持ちでご覧ください。
それではいってみましょう~
【完結作品部門】
はじめラブコメ オガベベ / おきらくボーイ
繰り返し言ってる気がしますが、マンガは「完結してはじめて完成するエンタメ」だと思っています。もちろん長寿作品には長寿作品の良さがありますが、その作品が好きであれば好きであるほど「早く完結してほしい」という思いもこみ上げてきたりするタイプです、僕は。
そんな観点から見ても『オガベベ』は全5巻という中に、ユーモアや愛情が凝縮された大傑作でした。断言する。おきらくボーイ先生は必ずビッグになる。以下ノミネート作品です。
『ゴールデンカムイ』の完結は世間的にも大きな話題になりました。個人的には『マグちゃん』『ひかるインザライト』『諏訪さん』なんかも、かなり、とても、めちゃくちゃ大好きだった作品です。
完結までちゃんと読み切った作品なだけあって、どれも思い出深いというか、大好きなものばかりだな、と改めて思います。ちゃんと全部紙で持っておくべきではあるなのは間違いありません。
【映像化作品部門】
明日ちゃんのセーラー服 / 博
マンガのアニメ化や実写化といった映像化が当たり前な今の時代。マンガという一つの媒体だけでなく、別の視点・手法が加わることで新たに気づかされる魅力があります。
直近だと『ぼっち・ざ・ろっく!』のアニメ化は今年だけでなく、近年で見ても最高位に入るレベルでした。色々刺さる要素が多すぎた。ただ、原作の良さも複合的に加味すると『明日ちゃん』に軍配が上がりました。(10巻の表紙はクラスメイトの蛇森生静さん。)以下ノミネート作品です。
今年公開・放送された映画・アニメを視聴していて、且つ原作も購読していて、且つその両方の出来が良かったものがノミネートされています。改めて見ると圧倒的CloverWorks(制作スタジオ)率。ほんと良い仕事をされる。ジャンプ+勢も強かったですし、『ちいかわ』も毎週金曜日の癒しでした。
目も当てられないような出来になってしまう作品もある中、最高の形で映像化されるということのは、作者自身の力が及ばない部分も多い分、とても幸運なことなのかもしれない。
【審査員特別賞部門】
殺し屋Sのゆらぎ / 舟本絵里歌
審査員(僕一人)の中で今年一年間、もうずっと揺らがなかった作品です。去年最終巻が出た作品ですが、2022年の本棚を語る上でどうしても外せない作品なので別枠として「特別賞」という形にしました。舟本先生の新作『双影双書』も来年1月に出るので皆さん是非買ってください。
【新規作品部門】
ここからが『本棚マンガ大賞2022』の本選とも呼ぶべきトップ10の発表になります。無駄に引っ張るな!と言いたいところですが、10位から1作ずつ発表しちゃいます。折角なので。
対象は2022年1月1日~2022年12月31日の間にコミックス第1巻(短編集含む)が刊行されたタイトルです。
10位 緑の歌-収集群風- / 高妍
各ランキングなどでも上位にランクインしていた台湾発の作品。遅ればせながら12月に入ってから読みましたが、あまりにも良かったです。好きなものに世代も国境も関係ない。爽やかな風が吹き抜けるような物語でした。2023年は台湾マンガをもっと読んでみたい。
9位 金色のガッシュ!! 2 / 雷句誠
ガッシュが帰ってきたという大事件が起こったのも2022年でした。実はガッシュをちゃんと最後まで読んだのは大学生の頃で、もっと幼い頃に読んでいた方と比べると「2」が始まった喜びは段違いに小さいかもしれませんが、それでも心滾るには十分な熱量を持っていたと自覚しています。2巻以降もそれはもう楽しみ。
8位 隣のお姉さんが好き / 藤近小梅
隣の家に住む高校生のお姉さん・心愛さんのことが好きな中学生のたーくんはその自己肯定感の高さから今日も一途にアタックを試みる。あくまで現状での話ですが、物語のゴールとして「恋の成就」が設定されていないであろう点がすごい。中学生男子が抱く恋心という名の身近な未知なる存在への好奇心がラブコメの新たな境地へと突き進んで行っている気がします。
7位 ぷにるはかわいいスライム / まえだくん
ネットを震撼させたコロコロコミック初の本格(?)ラブコメのヒロインはなんと”僕っ子スライム娘”。初出時の衝撃は今でも覚えています。圧倒的なキャラクター力(ぢから)で完膚無きまでに捻じ伏せられました。
6位 ババンババンバンバンパイア / 奥嶋ひろまさ
居候先の銭湯の跡継ぎ純情息子の童貞を狙う吸血鬼の奮闘を描いた傑作BL。この説明だけでもう面白いからズルい。2022年ベストギャグマンガかもしれません。
5位 本の虫 ミミズクくん / カラシユニコ
本の虫ミミズクくんが読書を通じて日常生活の苦難を乗り越えていく物語。笑えて、泣けて、読書体験の尊さもふんだんに詰まった素敵な作品です。
作中に登場する文学作品を読んだことがあれば、より面白いと思いますが、知らなくても十分楽しめます。大袈裟な表現でなく「本には人生を変え得る力がある」と本気で思います。
4位 うみべのストーブ 大白小蟹短編集 / 大白小蟹
2022年ベスト短編集。収録作共通するキーワードは「温度」かな、と思いました。自分の中での温度変化や周囲との温度差を美しい線と言葉で可視化してくれます。ページを通してその温かさ、冷たさが伝わってくるようでした。これからも何度も読み返したい一冊です。
3位 黄泉のツガイ / 荒川弘
既刊だとまだ物語は始まったばかりですが、再び味わえる荒川弘の世界。こんなに嬉しいことはないです。
「能力バトル」の形も自分にとっては最近だとある意味新鮮で、そういう設定面でも懐かしさが伴う、しかし新しい、心の奥底に響く作品です。
2位 これ描いて死ね / とよ田みのる
マンガを愛する作者が描くマンガを愛する人たちによるマンガを愛する人たちのためのマンガ。登場人物全員が主人公!なんなら読者も主人公!マンガを大好きでいられることがこんなにも幸せなことなんだと、改めて教えてもらいました。
1位 正反対な君と僕 / 阿賀沢紅茶
元気女子・鈴木と物静か男子・谷くん。正反対な二人が少しずつ互いを理解しようとする姿がもうただただ愛おしい。
基本的に可愛さ200%で繰り広げられる中、要所要所での描写が所謂”恋愛マンガ”と少し違い、とても論理的で読んでいて気持ちがいい。登場人物たちの思考やそれに伴う行動が明確に言語化されていて、説得力が生まれ、厚みのある作品に仕上がっています。ページの隅々まで散りばめられた小ネタも含めて何もかも大好きです。
というわけで、栄えはありませんが、記念すべき第1回本棚マンガ大賞受賞作品は『正反対な君と僕』でした。過去作『氷の城壁』も含めて阿賀沢紅茶先生のパワーを歴々と感じさせられた一年だったかな、と思います。もう十分人気作なので、堅いと言えば堅いチョイスですが。以下ノミネート作品です。
『ラーメン赤猫』や『天幕のシャードゥーガル』、『セシルの女王』などは惜しくもランキングに入れられなかった作品。どれも本当に良い作品です。(もちろんこれ以外にも良い作品ばかりでした。)
毎月、どうしても続き物などの安牌な作品を読みがちになるので、意図的にでも1巻を手に取ることは自分の守備範囲を広げるためにも大切なことだと思っていて、来年も地道に心がけたいところです。手に負えないほど新作が生まれていくので、自分の読める範囲内で、ですが!
以上で『本棚マンガ大賞2022』の各部門の発表を終わります。ちなみに以下の3作品は殿堂入りなので対象外としました。もう僕の血となり肉となり骨となり魂となっている作品たち。
1月の新刊をちょこちょこチェックしていると、1月が2023年最高の月になるのでは!?というレベルで豊作すぎて今から楽しみです。2023年も素晴らしいマンガに出会えることを祈っております。
『12月の本棚』も例によって大晦日ギリギリ更新ですが、よければこちらも。
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