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美味しいものを作っても、農業だけで食べていくのはむずかしい!

農業をやっていると「農業って儲かるの?」と聞かれます。
この質問にはいつも「うーん」と考え込んでしまう自分が。

ある程度の数量を生産すればJAという巨大な取引先があります。
色々と課題はありますが、最初から取引先があるというのは一般企業では難しい話。
出荷先が確保されているので、あとはいいものを作るだけと思っていたら大間違いです。
農業というのは、出費が多くお金のかかる事業。
どんなに売り上げを上げても経費が掛かっては利益は少ないのは当然のことです。
そして毎年かならず同じ数の生産数ではないので収入もまばら。

そこで大切なのが定期的な現金収入です。
我が家の親の世代から兼業農家だったので定期収入のありがたみは熟知。
なぜテレワークをしながら農業をしようと考えたのかの原点を紹介します。


美味しいものつくってます!でも


先祖代々農業をしているし、戦後すぐに鳥取県の名産品となる二十世紀梨を作り続けてきた我が家。
品質には大きな自信があります。
二十世紀梨ながら、平均糖度が新甘泉なみの高さになる事も。
果実の味は糖度が全てではないですが、大きな要素を占める部分ではあります。
毎年、出荷する度に大きな評価を得ているのが自慢。

食べてくれた方も、満足してくれていますし中には梨アレルギーだった人が思い切って食べたら、美味しかったという感想を頂いたこともあります。(後から聞いて驚きました。無理のない様に)
ですので出荷すれば売れるのですが、それでも課題が。
それはかかる経費の割合がかなり大きいからです。

農業ってお金がかかる


農業をやっていくと、農薬代や肥料代、農機具の維持など多くの経費が掛かります。
下記は二十世紀梨の10a当たりの生産による粗利益と経費の例です。


ちなみにかかるお金はこれだけでは無く、ビニールハウスや出荷の箱などの資材代に運搬等のガソリン代、共済金なども。
そして農業は初期投資も必要です。

一般社団法人全国農業会議所 全国新規就農相談センターによると1年目に掛かる費用は平均569万円。
「就農時に苦労したこと」として70%以上の人が「資金の確保」と回答する程、最初からお金がかかる仕事なのです。

さらに露地栽培などの農業は気候によって収入を大きく左右し不安定さも。
収入が安定しない上に多くのお金がかかる農業を行っていく上で、定期的な現金収入があるのとないのでは、農業を維持していく上で大きな差が出てきます。

子どもの頃から副収入の大切さを実感!


我が家は古くから農業を行ってきた家系ですが、親の世代からは兼業農家に。
父親は専業で農業をしていますが、母親は企業で働いていました。
後に分かるのですが、この兼業という形での定期的な現金収入のお陰もあり不自由のない生活を送れていた様子。

我が家の様な果樹農業は年に1回の収穫しかないので、災害や気候の変化によっては1年間の収入が大幅に減ることもあります。
1年に1回しか収入がないという不安の大きさは会社員には分からない事。
農業には共済金や補助金などの救済はありますが、それでも不安は小さくはなりませんでした。

その為、母親の現金収入はかなりの助けになったことでしょう。
そんな環境で育ったからこそ、農業を始めようと考えた時に「副収入を確保する」ということは必須と考えました。

その結果、テレワークをしながらの農業という結論に。
無理のない安定的な現金収入があれば、農業を維持していくことでのお金の不安の軽減にもつながっていくと考えます。

まとめ|農業以外の収入の確保も


農業でいいものを作って、それだけで裕福に生活できる事が理想ではあります。
しかし実際には農業を行っていく上で掛かるお金は小さくない状況。
さらに気候などに左右される農業では収入も必ずしも一定ではなく、とくに果樹の様に1年に1回しか収穫が出来ない季節作物は1回の収穫数が減るということは年収減に直結します。

安定的な農業と無理のない現金収入の確保。
その方法として農業とテレワークという働き方は、現代社会にマッチしているのではないでしょうか。

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