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不動に伴う痛みの原因は皮膚? ~ギプス固定化での足趾・手指運動の必要性~

本日も臨床BATONにお越しいただきありがとうございます。
最近Twitterを始めて(以前からアカウントはあったのですが情報を得るのみでしか使っていませんでした)毎日つぶやきながらみんなから返信をもらうことが密かな楽しみになっている83日目担当のジュニアことPT吉岡勇貴です。大阪の急性期~回復期(主に整形)の病院で勤務しております。

痛みについて、3つのブログを過去に書かせていただきました(^-^)
過去のブログは、ページ下部にリンクを貼っておきますので、是非ご覧になって下さい。

はじめに

本日も、私が今まで書いてきた臨床BATONのブログと同じように痛みについてのお話です。
その中でも、私自身が整形外科中心の病院で働いていることでギプス固定の患者さまが訴える痛みについて着目してお話をさせて頂きます。ギプス固定をすると必ず数週間の不動が余儀なくされます。この不動の期間が長くなる事で固定解除後のリハビリにて痛みを伴い治療がスムーズに進まない事を経験しませんか?私自身は多く経験してきました。
痛みの原因は筋・腱・靭帯・関節包などが原因だとずっと考えていました。しかし、ここで臨床の場面を思い返した時に足の状態に着目しました。
なぜここに着目できたかと言うとギプスを外した時に、皮膚が伸びやすい人と伸びにくい人がいて、伸びにくい人は2次的に痛みの訴えが多いことに気づいたからです。皮膚が伸びにくいのは不動により皮膚の状態が変化するからです。
ここでいう皮膚とは表皮・真皮・皮下組織までを指しています。皮膚が菲薄化(簡単にいうと表皮・真皮が薄くなる状態です。下記図1、図2を参考にしてみて下さい)する事で痛みを感じやすくなり、また真皮のコラーゲン線維などの柔軟性が乏しくなる事で皮膚の伸縮性が低下することに伴い痛みを生じるからです。

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指

そして、なぜギプス固定中に動かせる部分は動かす必要があるのか?他にどのようなことをすれば痛みを抑制できるのかまで繋がっていきます。
まずは、不動とはどのような事を指しているのかをお伝えしていきます。

不動と痛みの関係性

普段リハビリでもギプス固定化の患者さまで不動になるケースは多いのではないでしょうか?

不動2週間目から痛覚過敏が生じ、同時期に表皮の菲薄化、末梢神経密度の増加が観察される。また、不動期間が8週間におよぶと不動を解除しても痛覚閾値の低下は回復せず、脊髄後角細胞に感作を示す所見が認められた。
                            引用文献1)

感作とは

感作は繰り返される刺激によって、それに対しての反応が徐々に増大していく(ウィキペディア引用)

私自身の臨床において今回のようなギプス固定による痛みで考えるのが筋・腱・靭帯・関節包に着目する事が多かったです。
しかし、その中で痛みの原因を追究していくが解決出来ない事がよくありましたし、通常では感じないような刺激に対する痛みに難渋することがありました。そこで上記のような事を考えていくと皮膚の状態に着目していく必要性を感じました。実際に皮膚の菲薄化皮膚(角質層)の崩れが臨床では明らかに見てとれました。
そんな時に皮膚という新たな視点で見る事で問題解決のヒントになりました。
なので、今回は不動から考えられる痛みについて皮膚から考えた時にどんなアプローチが出来るのかまでお伝えしていきます。そこでまずは皮膚について知っていく事が必要ですね!

皮膚の解剖生理から考えられること

皮膚を切った時のことを想像して下さい。
例えば、紙や刃物で手を切った時に出血をしない状態(毛細血管が存在しないから)で表面だけ切れていて『痛い』と感じない。これは表皮のみの損傷になります。
しかし、手を切った時に『痛い』と感じた上に出血している状態だと、真皮まで損傷していることになります。
まず、表皮は痛みを感じません。なぜならば、表皮には痛みの受容器が存在しないためです(ちなみに毛細血管も存在しません)
表皮は角質層、顆粒層、有棘層、基底層に分かれており、表皮の厚さは0.2㎜で、表皮+真皮で平均で1.5~2mmとなっています。
表皮は外からの刺激に対する保護、保湿の役割があります。この保湿の部分では基底層と真皮で栄養素や酸素といったもののやり取りが行われていますし、そこで新しい細胞が常に作られ時間をかけて角質層へとあがっていくことが言われています。
なぜ、ここでこのお話が出てきたかというとこの栄養や酸素の供給が滞ることで皮膚の状態に変化が起こるからです。皮膚の崩れはここから起こっていると考えています。

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次に真皮についてです。真皮は表皮の下の部分に位置しますが、ここには自由神経終末・毛細血管・コラーゲン・エラスチン(弾力性)などたくさんの組織が存在します。ここで不動によってコラーゲン線維やエラスチンが増殖し過ぎる事で皮膚の可動性が乏しくなることが考えられます。
これら皮膚の解剖生理を理解した中で、不動の時間を短くし、真皮の毛細血管から表皮への栄養や酸素供給に滞りを起こさないことやコラーゲン・エラスチンの影響を取り除くためにギプス固定化での足趾・手指などの運動は必要不可欠なことだと考えています。

臨床でのギプス固定化にしておくべき事

Drの許可があれば足関節骨折だと足趾の部分や手関節であれば手指などの部分に積極的に可動域訓練をしていると思います。なぜならば、関節拘縮や循環障害の改善はもちろんのことながら皮膚の菲薄化や末梢神経密度の増加を防ぐことで痛みの予防にも大きな関与があるからです。
皮膚の状態(皮膚の硬さ、湿度、皮膚の厚さ、色、温度など)や皮膚の可動性といった部分も評価してみて下さい。そこを評価した後に運動を行い、痛みの変化を評価してみて下さい。
また、関節自体を動かす事もとても重要のようなことではありますが、足趾の運動だけでは皮膚の動きも少ないので、直接皮膚に触れて動かしていく事で皮膚の可動性と感覚入力になることから非常に大切です(しかし、ギプス固定ではできる範囲が狭くなってしまうのが難点ではあります)
実際臨床の中で患者さまの皮膚の状態を意識的に見てみると部位(上肢・下肢)や関節(手指・足趾など)で皮膚の厚みやしわの存在の有無などが見えてきます。
私が見てきた中で皮膚の菲薄化が一番分かりやすかったのは手指のMP関節より遠位です。まず、見た目から皮膚が薄くなっている状態がみてとれるのと、触った時に皮膚の動きが感じられなかったのが印象的でした。ちなみに皮膚の解剖のところで出てきたのですが、皮膚の厚さは個人差ありますが平均で1.5㎜~2mmと非常に薄いです。
なので、皮膚の状態を触診する時にはその厚さをイメージして触れる事をおススメします。なぜならば、私自身も1~5年目まで皮膚の厚みを意識して触っていなかったからです。そこを意識して触るだけでも評価や治療に変化が出てくるからです。

まとめ

今まではギプス固定での痛みでは筋・腱・靭帯・関節包などに着目する機会が多くありました。しかし、今回不動による皮膚の状態変化がある事から皮膚という部分に着目した事で痛みの改善に繋がったことが多くありました。
また、手指や膝関節に関しては臨床でよく皮膚の伸縮具合によって痛みが出ると考えていましたが、なぜか足関節に関しては皮膚の状態を考えていないので悩む事が多かったように思います。是非1度色んな部位においても皮膚よ痛みを評価してみて下さい。
今回の皮膚の状態に着目することで臨床での痛みの消失に繋がる事や考え方などの変化がうまれ、明日からの臨床に生かしてもらえると幸いです。

引用文献
1)不動に伴う痛覚過敏の発生メカニズムとその治療戦略に関する検討:濱上陽平、日本基礎理学療法学雑誌、20(1):15-15,2016

過去のブログ


https://note.com/nougeblog/n/nb42bddb9d696




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