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歩行で上肢が曲がるのはなぜ??

お疲れ様です。脳リハです。

本日は脳卒中後遺症者向けの投稿です。

内容は…
歩行中に勝手に肘が曲がる反応に対して出来ること」について説明します。

なぜ肘が曲がるのか??

この肘が曲がる現象は「痙性麻痺」と呼ばれるものです。

これは、無意識的に出現する現象であり、肘を伸ばしてもすぐに戻ってしまうことが多いと思います。

これは、皮質脊髄路と呼ばれる運動神経の障害を来した場合に出現します。
 
運動神経の問題が起きると、上記であったように、自分の意思で肘を曲げる/伸ばす事が出来なくなります。
 
なので、問題になるのは、肘を曲げる筋肉を意図的にコントロールすることが最初の目標になります。

もしかすると、肘が曲がる現象に対して、肘を伸ばすストレッチや、肘を伸ばす練習を頑張っている方もいるかも知れませんが、それでは良くなりません。

なぜなら、根本的な問題がズレているからです。

何をすれば良いか

痙性麻痺を緩める為に何をすれば良いか…

答えは「運動」です。
 
細かく言うと、肘を曲げる運動です。

皮質脊髄路の損傷に伴うメカニズム

皮質脊髄路は脊髄が過剰に興奮し過ぎないように常に監視し、コントロールをする役割がある。皮質脊髄路や網様体脊髄路の抑制性下行路が損傷すると脊髄へのla線維による求心性入力が増加し、α運動ニューロン、γ運動ニューロンの両者が興奮して「痙縮」が生じる。痙縮には他にも前庭脊髄路や赤核脊髄路からの出力、基底核、小脳、視床からの入力も影響している。

その中で、近年の研究では運動を行うことで皮質脊髄路の機能回復を高め、結果的に興奮性ニューロンに抑制をかけ、痙縮が緩むことが明らかになっています。

ここでいう運動は、肘を最大まで曲げる必要はなく、肘を曲げる筋肉(上腕二頭筋)がピクピクと反応する程度で十分です。
 
これを繰り返すことが大切です。

肘が曲がるのは、手だけが問題ではない

ただ、痙性麻痺は姿勢や環境の変化で症状が強まったり、弱まったりすることもあり、肘関節単体の問題だけではありません。
 
麻痺側股関節や体幹が働いておらず、しっかりとした安定性が取れていなかったり、支え方を上肢が手伝っていたり、非麻痺側が過剰に働いていたりと、それ以外にも問題が重なることが多いです。

手のリハビリだけでなく、座位バランス、立位バランス訓練の併用が回復の鍵です。

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