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片麻痺の観察と訓練 【観察/分析編】

「観察とは何を見ればいいのか」

これさえできれば臨床力がグッと上がること間違いなしです!なぜなら、観察はそのまま訓練に結びつくからです!

臨床では、患者の年齢や希望、生活歴など、様々な要因が影響する為、疾患別だけでは評価や検査は決めれません。

そこを踏まえ、「観察とは何を見ればいいのか」に対して投稿させて頂きます。

臨床の手続き

急性期では1~2単位、回復期では2~3単位程は確保できるので、最短でも20分は確保できますが、自室からリハ室までの移動や、日常会話を挟むと、悠長なことは言っていられません。

決められた時間の中で、最大限改善させる為には、問診から訓練までいかにスムーズに進めていくかが重要になっていきます。

問診や観察など、それぞれからどの情報を得て何を考えればスムーズに進めるのか、各項目別に紹介していきます。

1.情報収集

性別、年齢、疾患名、発症日、障害名、画像診断、既往歴、家族構成、自宅環境など、基本的にカルテに記載されている情報を収集すると思います。これらの情報から、問診時にする質問や会話の手がかりを考えて行くことが出来ます。また、画像からは現状の理解と予後予測を考える事ができ、非常に有用な情報になります。

2.問診

最初に聞くべきことは2つあります。

①「リハビリで改善したい行為は何ですか?」
②「その行為が上手くできない原因は何だと思いますか?」

①「リハビリで改善したい行為は何ですか?
改善したい行為=希望(目標)であり、リハビリテーションでは最も重要な項目だと考えます。
セラピストは「痛みを無くしたい」や「左手を動けるようにしてほしい」ではなく、「痛みのない状態でなにをしたいのか?」、「動く左手で何がをしたいのか?」など、希望(目標)を明確化させ、その目標に向かっていく手続きがリハビリテーションです。

②「その行為が上手くできない原因は何だと思いますか?
セラピストが考える原因と、患者が考える原因に差異があると、訓練効果は半減します。なぜなら、患者が考えている原因に対する訓練でなければ、患者は能動的に取り組むことができず、学習効果が得られ難いためと考えます。
目標にしている行為を獲得する為に、『何が問題で、何が必要なのか』を共有する為にも、問診の中で情報収集する必要があります。

①と②は全員に行うべきですが、この会話の中から問診の内容を広げます。
ここでのコツは、「患者主体(1人称視点)」で自由に語ってもらうかが重要です。

イメージはセラピスト2~3割、患者が7~8割がベストです。

その会話の中で、どのワードが多いのか(筋力/身体/感覚/痛み等)、ネガティブな発言が多いのか、ポジティブな発言が多いのか、リハビリに対してのイメージなど、内部的な観察から患者の病態と認知的な癖を探ることが問診での役割です。

つまり、仮説を構築していく作業が、問診において最も重要な項目となり、この仮説をさらに精査する為に、評価や検査を選択し、実践する流れになります。

3.観察

観察の中に、『患者がその動きをどう認知しているのか』を聞いていく作業も含み、問診をさらに一歩進めたような形になります。
この患者に対する質問は、なぜそう動くのかをさらに理解していくための手続きであり、訓練の直接的な手掛かりになることが多いです。

以下、観察パターンが4つあり、それぞれ違う側面の情報が得られます。

① 無意識かつ自然な動作
セラピストが何も指示せずに、自室からリハ室までの移動など、目的があり自然に遂行される動作。
② セラピストが指示した動作
基本動作や歩行など、いまの動作をどの様に行っているのかを見る為に遂行される動作。
③ 患者が目標とする動作
日常生活動作であることが多く、環境をできるだけ類似した状態でおこなってもらう動作。
④ セラピストが規定した状態で遂行される動作
「踵から着いて歩いてください」など、セラピストからルールや方法を規定された状態で行われる動作。
観察よりは評価に近く、セラピスト側に明確な目的がある中で行われる。

重要なのは、動作の遂行後や遂行中に、『今の動きをどう感じているのか(うまくいっている?何が気になる?何が問題と思う?など)』を聴取し、訓練への手がかりを増やしていく事が大切です。

次に考える事は、得られた手がかりをもとに仮説を立てる事です。
たとえば「右足が重い感じがして振り出せない」の場合、「右足が重い原因はなぜなのか?」まで自分の中で落とし込めれば、その『なぜなのか』が明確になります。
明確になったものは『なぜなのか』から『こうじゃないか』に変換していくイメージです。

この仮説が明確になればなるほど訓練の精度は高くなります。

4.分析

分析では「情報収集/問診/観察」で得られた問題点やセラピストが疑問に感じた点を、『より裏付けされた仮説』にする為に分析を行います。

分析に必要なのは既存の評価/検査(エビデンスに基づく)ですが、
それだけでは、患者の病態を細分化してくことは難しく、セラピストが自分なりに考えた検査や評価を実践しなければいけません。

ここで考えるべきことは、文献などを駆使し、より信憑性の高い評価や検査項目を選択し、セラピスト自身が根拠を持つことが大切です。ここが崩れてしまうと、仮説→検証→結果の【結果】が不確定となり、次のステップに移行できなくなります。

最終的には、評価や検査の結果から訓練を組み立てるので、狙った改善効果が得られない時は、評価項目の見直しや、その結果が本当に正しいのか疑うことも必要になる為、経験を積み重ねていく事が重要です。

この経験が、実践している検査や評価の信憑性を高め、評価や治療の幅を広げていきます。もちろん、数値化して学会などで報告することが最も大切です。

※観察を用いた分析(エビデンスと同等の価値)

観察で得た患者の声は、分析においては
『なぜそのようなことを言うのか』を考える手続きが重要です。

臨床において、患者の意識経験(病前/発症後/現在の意識経験)を積み重ねていく事は、エビデンスと同等の価値があると考えます。

訓練においても、この患者の意識経験をどう変化させていくかを考える事が、改善に繋がると考えます。

そして訓練に繋げていく

上記で得られた情報(1~4)をもとに、訓練を考え実施します

訓練を始める前には、情報収集/問診/観察/分析が必要であり、この臨床の手続きが最もセラピストにとって肝になる所だと考えます。

まとめ

以下、ご参照ください。

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