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脊髄損傷:排泄のコントロール

お疲れ様です。はらリハです。

本日は…
脊髄損傷の排泄」について簡単にまとめました。

1) 排尿管理

回復期になると、排尿反射が回復してくるため、膀胱は種々の程度に反射性の収縮をきたす 事が多くなり、排尿筋外括約筋協調不全をおこしやすいです。

放置すれば排尿困難とこれに伴う尿路感染症のトラブルをおこすため、脊髄損傷患者が入院されると医師から泌尿器科受診の指示があり、泌尿器科医によって尿流動態検査が行われ、神経因性膀胱のタイプや有効膀胱容量が診断されます。

その診断結果をもとに、間欠導尿法を主とする排尿管理方法が看護師に指示されます。
 
男性頸髄損傷患者は Zancolli 分類でC5B以下、女性頸髄損傷患者はC6B2 レベル以下では自己導尿可能ですが、患者の自立意欲がなければ自立は難しいです。

 胸髄・腰髄損傷の場合

○ 入院時、尿道留置カテーテルが挿入されている場合、泌尿器科医の指示のもとカテーテルを抜去し、自己導尿法を始めることを患者に説明し理解を得る。

○ 膀胱訓練を開始する。尿道留置カテーテルのクランプを2~3時間ごとに開放することか ら始めるが、患者の有効膀胱容量を超えないようにカテーテル周囲からの尿漏れの状況や尿 意の有無を排尿記録に記載管理する。

○ 水分摂取方法については一日の水分量を1リットル強とし、就寝前には夜間の失禁を予防 し、睡眠を妨げないように水分を控えることを指導する。
また排尿コントロール中はカフェ インなどの利尿作用のあるものをとりすぎると、尿量がばらつきコントロールしにくいため それらを飲むことはひかえること、さらに気温上昇時や発汗が多い時、尿混濁がある場合は 水分摂取を適宜増やすよう指導する。

○ 一日の尿量・利尿のパターンを泌尿器医に報告し、間欠的自己導尿を行う時刻と回数を設 定する。

○ 間欠的自己導尿方法を指導する。

頸髄損傷患者の場合

まず、手指の機能障害があるため自己導尿が可能かどうかを評価し、セルフカテーテルの改良も必要になってくるためOTと連携する。

また、自己導尿を始めるかどうかは、本人の意欲によって左右されるが、高位損傷の患者の場合は自己導尿動作自体が難しい時がある。 

※ 男性の場合

○ 胸髄・腰髄損傷と同じ方法で進めるが、手指の機能障害があるため自己導尿が可能かどう
かの見極めを行う。さらに、患者の意欲の評価も大切である。

○ 自己導尿を行う場合でも、本人の体調の悪いとき介助してくれる介護者にも十分な指導を
行い協力を得る。

○ 手指の障害があるため、OTと連携しカテーテルの改良を依頼する。

退院後の生活の中で自己導尿を続けるためには、ベット上だけでは排尿動作の拡大が見られ ず、トイレにおいても導尿ができなければならない。

しかし、便座上で導尿ができるためには、容易に便座へ移動でき、便座上での座位バランス もとれることが必要になるため、集尿用のビニール袋を用いたり、導尿した尿を直接便器に流 せるように延長チューブをつけたセルフカテーテル(当施設ではOTに依頼している)を用い て、車いす上で導尿ができるよう指導している。

※ 女性の場合

○ 胸髄・腰髄損傷の上記までの方法と同じである。

○ 陰唇開口がうまくできない事が問題であるため、まず、反復練習にて外尿道口の位置を覚
え陰唇も含めて消毒したうえで陰唇を開口せずそのままカテーテルを挿入するよう指導する。
頸髄損傷患者の場合、手指機能障害があるためOTと連携しカテーテルの改良を依頼する。 
 

※ 自己導尿ができない場合

 介護者が導尿をする場合、導尿方法を介護者に指導する。当院では患者指導用パンフレット
用いて指導を行っている。

※ 膀胱瘻の場合

 退院までに家人に指導を行う。

 指導内容
 1 膀胱洗浄
 2 膀胱瘻カテーテル刺入部の消毒・ガーゼ交換
 3 膀胱瘻カテーテルの閉塞時の対処方法(膀胱洗浄・尿道からの導尿方法など)
 4 必要物品

2) 排便管理

(1) 排便コントロールを行う

1 受傷する前の排便パターンを知る
2 十分な量の水分を摂取をさせ、受傷する前の排便パターン、または最低3日に1度は排便習慣をコントロールする
3 使用薬剤の(緩下剤・坐薬・浣腸など)の適応評価、選択、反応時間・残便量・便の性状・血圧の変動・疲労度などを評価し適切な薬剤の使用を行う
4 排便所要時間を短縮することで、疲労感を少なくする
5 排便間隔を定期的にする(例えば週2回など)
6 残便・失便をなくする
7 排便姿勢の検討(座位・臥位)

排便の姿勢によって血圧変動、残便、所要時間が変化するため患者に合わせて検討を行います。

特に頸髄損傷で高位損傷患者に関しては上記の変化があるため注意をはらう必要があります。

排便訓練 

排便コントロールを行うと同時に、ズボンの着脱動作や排便場所までの移動・移乗などの動作訓練を行います。

それらの動作の評価・指導を行い自立へ援助します。
 
OTと連携し、排便の一連の動作(排便・後始末まで)を安全に、自立するための環境づくりと自助具の作製・動作指導・訓練を依頼し、看護師も援助していきます。

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