インドの占星術を受けた話

「ねえねえ、この間話したインドの人の占い。
会社の同僚がその人に見てもらったんだって。そしたら何も言ってないのに職業あてられてびっくりしたって。
2～3年後には海外移住しますって言われたらしい。実はその人、海外移住を考えて今の会社にはいったの」

「おーすごいね！？」

「その人もびっくりしてたよ～。なんか興味出てきた・・・」

友人が言うには
その占いはインドで活動している日本人ろう者の女性の斡旋で
有名なインドの占星術の先生に依頼し今回特別にやってくれているらしく、料金はインドの女性支援などにも寄付されるらしい。


わたし自身、仕事だとかこれからに対して漠然とした不安だったり
「これからどうなるんだろう」という疑問がぼんやりと渦巻いているので
それをすっきりさせるべく受けてみようと、友人と一緒に申し込みをした。

料金を振り込み、日本ろう女性とLINEで日にちの調整をすると
後日、zoomのミーティングアドレスが送られてきた。

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いよいよ当日。
時間が来て、zoomアドレスにアクセスすると
現地インドであろう場所にドラヴィダ系の男性と女性、そしてわたしと同じ東洋系の女性が映し出されていた。

一通り挨拶が済むと
男性が口を動かすと、女性が手を動かす。
最後に東洋系の女性が日本手話で言った。この人が今回繋いでくれた日本人ろう者だ。

「名前、生年月日、生まれた場所、それから両方の耳を見せてください」

現地にいるふたりは
男性が占いをする人で、女性が手話通訳(聴者？）なのだろう。
インドのそれなのかはわからないけれども、女性が男性の話している（だろう）内容を手話で日本人ろう女性に伝える。
日本人ろう女性が、それを読み取ってわたしに日本手話で通訳してくれるという仕組みとなっているようだった。

左手、左手の小指側の横の写真も送ってくれと言われたため事前に送付してある。
色々もとになる材料があるんだなあ、でも耳ははじめてだなあと感心した。


「まず身体のことで気になることがあって。
胃腸がちょっと心配なところがある。今後気を付けてほしい」

びっくりした。

数年前にガンになりやすい体質である、という疾患がわかり
それ以来毎年毎年、胃カメラ・大腸内視鏡・婦人系臓器・泌尿器系臓器の各検診を受けているのだ。
なに、いきなりそんなドンピシャ起きるんだ？
すごいかも。

「それから、あなたはすごく力のある人だから技術を教える立場になるといい。それを極めたら海外での活躍を求められるようになる」

は！？と思った。

わたしには持ち前のスキルなんぞない。
パソコンも出来ない、伝統工芸品も作れない、専門職や工場に勤務していたわけでもないので手を動かす技術もない。

英語もできないし、勉強は壊滅状態。
特に算数なんて小学校1年の1学期途中くらいで停まってる。

大学に3年次編入してまで取った中高国語教員免許も、ペーパーのまま免許更新もしていないので
用務員の募集に申し込んだ先のろう学校の校長先生から、
「あ、じゃー(免許は）もう無いってことですよね～」
って言われる始末(もちろん落ちた)。


そんなわたしが一体全体なんの技術を、だ。


「今のところ、自分が持っている技術と言えるものはひとつもないけれど、今手話カフェをやっています。これとは別？」

「手話カフェは『手話』という技術を、教えるではないにしても人に対して使っているということだから技術関係に含まれるので、やっていて正解。
でも、手話カフェより大きい目標があるのではないですか？
それをよく考えて。あるはずだから」

え、なんだろう…？高校受験の面接みたい。ドキドキ

思い当たるものというなら、しいて言うなら・・・
わたしが普段からいつも思っているこれしかない。

「聴者とろう者の格差がなぜ生じるのか、その考え方の違いなど人にわかりやすく伝えるにはどうしたらいいのか、ということをいつも考えてるけれど
それでしょうか」

「それだと思う。その目標を達成させるための努力惜しまなければ、海外で活躍するようになりそうです」


──うわマジか。心の中で舞い上がる。単純である。
ここまでアゲてもらえるならこれも聞いてみよう。

「10年近く前に離婚して、一人で子どもを二人育てているんですが
今後は恋愛とか結婚というのはどうなりますか」

「恋愛も結婚も難しい。結婚をしても離婚を繰り返すことになるから。でもどうしてもしたいのであれば、2024年に結婚するようにするといいと思います。基本はやめた方がいいと思うけど」

心の中で「ゴフゥ!!!!!!!!!」って思った。
アゲてもらえる～と思って油断した…。

それでも、確かに今のところそんなに結婚や恋愛をしたいというものはないので、いいかな。
「いえ私はどうしても結婚したいんです！」と言えるくらいの結婚願望、わたしは持ち合わせていない。

───そんなこんなで「海外進出」という胸躍るWordを頂き、
「ギャンブルの類は絶対にやってはいけない！絶対に」と言われ鑑定は終わった。