母に笑われた話
「システムエンジニアになりたいな」
一拍置いて、盛大に母に笑われた。
忘れもしない。
大根を買った帰りの電話だった。
福岡で文系大学3年になる私は「就職はどうするのか」と母から聞かれたのだった。
思いつきで言ったわけでもないし
質問に対して素直に答えたつもりだった。
自分で考えた将来を口にするのだ。
大真面目だった。
だから笑われたことが、ショックで、悔しくて、頭と気持ちがぐちゃぐちゃで、
その後話したことは覚えてない。
寒い夕方、大根が入った買い物袋を持って、
一人歩いて、ぽたぽた泣きながら帰った。
応援して欲しかった。認めて欲しかった。
「あんな大人になるものか」
強く誓った。
それからの私は大学を卒業し、就職して、晴れてシステムエンジニア職に就いている。
未だに時々思い出しては気分が悪い。
親の一言は、子どもをずっと苦しめるのだ。
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