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気遣い



ある昼過ぎ、
帰宅途中の女子小学生二人組が
仲良さげに日比谷線に乗ってきた


1人は歯の矯正をしていて
1人は度が強そうな眼鏡をかけていた


小学生のうちから
お金がかかっていそうなその姿に都会を感じる


この時間の日比谷線は人が少ない


2人は座るとすぐにあやとりを取り出した


「これできる?」と得意げな眼鏡ちゃんは
慣れた手付きでホウキを作ってみせた


「できない!教えて!!」と
羨望の眼差しでそれを見つめる矯正ちゃん


私は、
「今でもあやとりってやるんだ」と
嬉しくなった

ふと、小学生の頃
「おばあちゃんおじいちゃんに
昔の遊びを教えてもらおう」的な時間割があって、お手玉だったり、輪投げだったり
あやとりだったり、と
なにをやっても
おばあちゃんとおじいちゃんが
嬉しそうな顔をしてたのを思い出す


お日様の光が車内に差し込む


私の2席隣に座っていたお婆さんも
嬉しそうにその光景を眺めていた



眼鏡ちゃんは矯正ちゃんに
丁寧にホウキのやり方を教え、
「家に帰ったらまたすぐやってみてね」と伝えた


矯正ちゃんが先に電車を降りた

「ばいばーい!また明日ねえ!!」

1人になった眼鏡ちゃんは
一息つくと目の色が変わった


そして、慣れた手付きで
亀やらはしごをポンポン完成させる


「えっ、、かっこいい、、」

いい意味で裏切られた私とお婆さん

彼女のひけらかさない姿に心を打たれる



気遣いができる眼鏡ちゃんを
見習って生きていきたい

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