『都合のいい憶測』
『都合のいい憶測』【超短編小説 071】
「それじゃあ言わせてもらうけれど、里美だって嘘ついてることあるよね?」
「なに?なんのこと言ってるの?」
「里美は、男の人と付き合うのは、僕が初めてだって言ってたけれど、本当は違うの知ってるんだよ」
「それがどうしたのよ?」
「「どうしたのよ」じゃないよ!昔、正樹と付き合っていて、やる事やってたのに、なんで隠してたんだよ?」
「だって、翔ちゃんは、ウブな女の子が好きだって言ってたじゃない。だから経験が無い子の方が好きになってくれるかと思って、言わなかったのに、、、」
「確かにウブな子が好きって言ったけれど、隠されるのは嫌だよ。里美が昔に、誰と付き合っていようが、僕は里美のこと好きだし、嫌いになったりしないよ!」
「ごめんね、隠すつもりは無かったの。翔ちゃんのこと、がっかりさせたくなくて。」
「わかった。もう、いいよ。僕は里美のこと好きだから、これからはなんでも話してね。」
「うん」
「僕も合コンに行ったこと隠していてごめんね」
「うん」
「よし!じゃあ、何か美味しいもの食べに行こうか?」
「うん。でもちょっと待って翔ちゃん」
「なに?どうしたの?」
「わたし、全部言うね。」
「全部?」
「うん。わたし、一年生の頃は、正樹と付き合っていたし、同時期に建築学科の西野くんとも付き合ってたの。二股かけてたんだ。夜はキャバクラのバイトもしていて、そのお客さんと一晩だけ付き合ったこともある。10人くらいかな。あと、高校生の時は7人のサラリーマンと援助交際していたし。出会い系のバイトやガールズバーでバイトしたりして、いろいろあって経験人数は軽く100は越えてると思う。」
「100!100人?」
「うん。100人、以上、かな」
「へ、、、えぇ、、、凄いね、里美、、、」
「ごめんね、翔ちゃん。隠すつもりは無かったの。ただ、驚かせたくなくて。翔ちゃんウブな子が好きって言ってたから。でも、「嫌いになったりしないからなんでも話して」って言ってくれて、わたし嬉しかったよ。ありがとう」
「う、うん」
「あー、なんだかすっきりした!!さぁ、なに食べに行こうか?翔ちゃん!」
《最後まで読んで下さり有難うございます。》
この記事が参加している募集
僕の行動原理はネガティブなものが多く、だからアウトプットする物も暗いものが多いいです。それでも「いいね」やコメントを頂けるだけで幸せです。力になります。本当に有難うございます。