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高次脳機能障害者の就労支援(回復期:入院編)

今日は、私が日々行っている就労支援について少しご紹介していきます。
 基本的には外来患者様を担当しいますが、3年ほど前までは回復期の病棟にいて支援をしていたため、今日は回復期に入院中の状態からの支援を考えていきます。

◯ 病院は、医療機関

 当たり前のことですが、病院は医療機関です。
 そのため、就労支援が入院中に解決することはほとんどありません。
 若手のスタッフは、就労支援に限らず、入院期間中に頑張って完結しようと考えますが、まず困難だと思います。
 そのため、入院担当のスタッフが考えるべきは、これから紹介する「職業準備性」の視点と退院後の地域支援をどのようにマネジメントしていくかだと思います。

◯ 職業準備性

 職業準備性という言葉。
 聞いたことはありますでしょうか?
 以下のようなピラミッドになっています。

職業準備性

             職業準備性のピラミッド
出典)相澤(2007)を一部変更して引用
「現場で使える精神障害者雇用支援ハンドブック」. P198. 2007を基に作成
出典元:こっしーらんど様

 働くということは、一番レベルの高いところで、その前に「健康管理」であったり、日常生活管理が必要になります。
 私個人的には、回復期の病院では、内服管理(薬の飲み忘れがないか等)と、病棟内での最低限の時間管理ができるか、自分を律して運動の習慣ができるか。こういう部分が大切だと感じています。
 しかし、回復期の病院では、本当に基礎的な服薬管理や院内レベルでの生活リズムを整えることが精一杯です。
 それはなぜか。

◯ 病院は構造化されすぎている

 病院という場所は良くも悪くも構造化されています。
食事は提供され、洗濯は家族がしてくれる(自分で行う人もいます)、リハビリの時間も決まっていて、迎えに来てくれる。
 起床時間も就寝時間も決まっていて、起きなければ介護士さんが声かけしてくれる。
 お風呂も時間で決まっていて、待っていれば声かけしてくれる。

 当然そんな環境では、脳を使う必要がないから困ることもない。
 困ることもないから、自分の状態に気づかない。

 そんな環境では、職業準備性も確認することは困難ですし、訓練していくことも難しいです。
 だからこそ、入院中から退院後の姿をイメージした支援が必要となります。

◯ それでも入院期間中にできること

 入院中にOTができることは、ADL(日常生活動作),IADL(手段的日常生活動作)の確認、復職に向けた情報収集、退院後の生活スタイルについての提案、家族への高次脳機能障害に対する説明、等々たくさんあります。
 中でも家族への説明はとても大切です。病気の影響で何が起きているのか、これから自宅で何が予測されるのか、そのときどう対応するのか。
こういった情報は家族の心理的な負担を和らげます。
 

 以上が回復期入院中の支援内容の概要です。
 どのような情報を収集するのか、退院後はどうするのか、その辺りに関しては、また改めて書いていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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