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【創作】あなたから恋人の話を聞いた時

「彼氏にお勧めされたんだけど」

その言葉が私の耳に届いた瞬間、自分の中の何かが凍りつきました。

あなたにおとこのひとの影があるのは気づいてた、だってあなたが教えてくれたから。

でも付き合ったのは知らなかったよ。

久しぶりにあなたと会えて本当に嬉しいから、にこにこ笑ってお話するけど、なんでこんなに悲しいんだろう。

なんでこんなに寂しいんだろう。

心の中にどこからか冷たい風が吹き込んでくるようで、どこかお尻の座りが悪くなる。

あなたが無邪気に笑って、いつもと同じ距離で隣にいる。

あなたと私の距離は歩く時は70センチ。もしくはテーブルを挟んで向かい側。私の小さな車の助手席にあなたが座る。遠すぎもしないけど、近すぎもしない。

こいびとみたいに側にいることは私の望みじゃないはずで、今もそれは変わりないけれど、でも、どうして、なんで、心がぐるぐるするのですか。

私のかれしが私にするように、あなたの首に手を這わせたり、服を剥ぎ取って、触られたくもない深い所を暴き立てるような、そんなことがしたい訳ではないのに。

それでも誰よりもなによりもあなたの近くにいたい。

この気持ちに名前をつけるとしたら、「失恋」というのですか。

私は恋を、失ったのですか。

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