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ゲーム業界の疲れる物語②:こういうディレクターのスケジュール管理は疲れる

ゲーム業界の疲れる物語の②です。
こういうディレクターのスケジュール管理は疲れるというお話です。
絶対に自分はこうはしないぞ!という自戒の為にまとめました。

■昔のスケジュール管理

スーパーファミコンの開発をしていた時代は、ディレクターが全職種(プランナー、プログラマー、デザイナーなど)のスケジュール管理を1人でしていました。
ところがプレイステーション1の時代になると、1本のゲームを完成させるのに必要なリソースの量が増え、1人で全職種のスケジュールを管理することが物量的に難しくなりました。
そしてプレイステーション2の時代になると、さらにリソース量が増えたので、1人で全職種のスケジュールを管理することは完全にできなくなりました。
そこで各職種にスケジュール管理者を配置して、職種ごとにスケジュールを管理してもらうようになりました。
(その役割は、プログラマーリーダーやデザイナーリーダーといった各職種のリーダーが兼任しました。)

■ウォーターフォール型の開発

この頃のスケジュール管理は、作業内容を「タスク」に分解して、タスクごとに「作業時間」を算出して、タスクを「ガントチャート」に並べるという「ウォーターフォール型開発」が主流でした。
そして「スケジュール確認ミーティング」を開催して、スケジュールの進捗状況と、各職種間の連携の確認を行いました。

しかし、この「スケジュール確認ミーティング」で事件が起こりました。

■こういうディレクターのスケジュール管理は疲れる

事件というのは「スケジュール確認ミーティング」で、以下のようなことをするディレクターがあらわれるようになったのです。
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 P「プログラム作業ですが、
   タスクAとタスクFに2日の遅れが出ております。」
 D「2日の遅れですか。その原因はなんですか?」
 P「1日で終わると思ったタスクが想定以上に作業があって
   3日かかったからです。」
 D「なんで最初にそれがわからなかったんですか?」
 P「以前、似た作業が1日で完了したので、
   同じく1日と見積もりましたが、
   今回のケースでは他に影響する箇所が発覚し、
   その部分を修正するのにさらに2日を要した為です。」
 D「今後どうすればこのような事の再発ができますか?」
 P「次回からは作業時間の見積もりをもっと慎重に行います。」
 D「それは「頑張ります!」という精神論で、
   再発防止策とは言えません。
   原因の究明と再発を防止する具体的な策を出して下さい。
   あと今回発生した遅れはどのように挽回するのですか?」
 P「挽回は難しく、全体スケジュールを2日延ばして欲しいです。」
 D「それはダメです。「1日でできる」と言ったんですから、
   1日で必ず完成させて下さい。
   尚、すでに残業時間はオーバーしてますので
   追加の残業や休日出勤は許可できません。」
 P「(それじゃあ内緒で家に持ち帰って自宅で作業するか…)」
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■ディレクターの立場

ディレクターの立場だと、こういうことをしてしまう気持ちもわかるのですが、これをするとスケジュールを管理している各職種のリーダーが本当に疲れます。

ゲーム開発は「思わぬ影響」や「仕様書の通り作ったけど面白くなかった」など、不測の事態で作業はスケジュール通りに進行しません。

ディレクターは、スケジュールの遅れが確定し、変更を相談された際、原因や再発防止を追及するのではなく、各職種のリーダーと一緒になってスケジュールの再調整をしてあげて欲しいです。

その為に、

 ①予めスケジュールに余裕を持っておく
 ②問題が表面化する前にスタッフを追加でアサインする
 ③スケジュールがきつい場合、ゲームの要素や仕様を削除する

など、このような事に苦心して欲しいです。

■ディレクターの役目

こういうことに苦心することこそ、ディレクターの役目なのではないかと自分は考えます。
何故なら、これらの判断はどれもディレクターの立場にある者にしかできないからです。

その上でもう一つ、
ディレクターはスケジュールを管理している各職種のリーダーを信頼してあげて欲しいです。

タスクの1~2つが、数日オーバーした際、その原因や再発防止を追及しても建設的な効果はありません。(もちろん毎回ズルズルとスケジュールを延ばしてくるリーダーは困りますが…)

それよりも相手を信頼して
「わかった。その遅延はこっちでなんとか調整するよ。だから次は宜しくね。」とした方が、各職種のリーダーも
「自分を信頼して任せてくれている。次はこうならないように頑張らないと。」と思ってくれて、トータルでみるとプラスになります。

自分はこうした信頼関係の構築こそが、ゲーム開発のディレクターにとって、ひいてはゲーム開発のスケジュール管理にとって何よりも肝要であると考えます。

自分は常々、このようなディレクターでありたいと思って行動しております。

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