初めて熱狂の渦に巻き込まれた話
2002年のW杯、大阪で行われた日本対チュニジア戦のスタジアムに6歳の私はいた。
当時、W杯に参戦できる有り難さを微塵も理解していなかった私。
楽しみといえば、顔にペイントをして応援できる(遊べる)ということくらいだった。
(私の当時の写真です。)
サッカーのルールなんて全然理解していなかった。
敵陣のゴールにボールが入れば点が入る
という予備知識だけで挑んだのだったが…
応援するサポーターの熱狂っぷりに圧倒されたのをよく覚えている。
半泣きになった。
えええええ?
こんなに大声出すもんなの?
怖い人がたくさんいる…ピエロにアフロ…
とにかく驚いた。
スポーツは応援するものという認識は子どもながらにあったが
ここまで応援するのかと思った。
親に手を引かれながら席について、改めてスタジアム全体を見渡す。
会場を埋め尽くす人人人、暑苦しいほどに声援を投げるサポーターたちが、
各々の選手の名前を叫んでいた。
ゲームスタートのホイッスルが鳴る。
どこからともなく聞いたことのあるリズムが聞こえてくる。
オ〜レ〜オレオレオレ〜
よく耳にするWE ARE THE CHAMPの音楽が爆音で聞こえる。
客観的にみていた熱狂の渦にいつの間にか巻き込まれ、
渦の中心に自分がいるように感じた。
スポーツは見ているだけでも楽しいものだと
渦の中で思ったことは今でも忘れない。
点が決まるたびに席近くのサポーターたちと、いえーい!とハイタッチ。
大はしゃぎしながら喜びを分かち合った。
試合は2−0で日本が終始優勢な形で勝利を収める。
ルールが分からないなりにも、勝ったという事実に大喜びした。
それから多くのスポーツを観戦したが、
あのW杯以上の熱狂に包まれたことは未だにない。
知識はないながらも、サムライブルーの選手たちが駆けるあのスタジアムに
連れて行ってくれた父には感謝したい。
現在は新型コロナウイルスの影響もあり、
以前のようにぎゅうぎゅうになって観戦することが難しくなっている。
あの光景の中、応援できないことはなんとも寂しいことだが、
決して熱狂の渦が消えたわけではない。
サッカーがなくならない限り、日本サポーターの想いは絶対に途切れないだろう。
またいつか、あの渦に巻き込まれてみたいなと思う。
新型コロナウイルスの影響はスポーツ界にも打撃を与えている。
だが、いつかきっとそんな日が訪れることを願っている。