開けない指先達の絶唱。
「三十分ぐらい遅れる」
待ち合わせの時間ちょうどに携帯を開くと、そんなメールが届いていた。
まあ、いつもの事か、達也が遅れるのなんていつも通り、早く着いちゃった俺の方が悪い。
とは言え、やる事は無いんだよね。
防具は部室に置いてきたから、黒革の竹刀袋を担いでいるだけ、なのだが、やっぱりこう人通りが多いと、人の目が気になってしまう。
達也が来た後のことを考えると、あんまり金使う訳にいかないし、どうせ今日も賭けるんだろうし、しょうがないか、と俺は街をぶらつくことにした。
駅ビル