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掌編小説集

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原稿用紙で10枚以下くらいの創作小説をまとめています
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仏滅の結婚式

 スミエさんは姉の同級生で、一時、彼女たちは頻繁に互いの家を行き来していた。僕は小学五年、彼女たちは受験を意識する前の中学二年だった。  いたって普通の頭脳で、運動に秀でている訳でもない我が一族、友人関係も相応の人間に落ち着くことが多い中で、スミエさんは、勉強の出来る子だった。スミエさんが母のお気に入りだったのは、我が娘への良き影響を期待してもいたのだろう。遊びに来ているスミエさんを見かけると、母は、「ご飯食べていきなさいよ」と誘った。スミエさんは、「すいません」と深々とお辞

がめ

 ヘベさんに会ったのはギルドのオフ会で三回だけ。ゲーム内にて二人だけでおしゃべりをしたこともある。内容は忘れたが、それなりに盛り上がったように記憶している。ただ、リアルで、例えば彼女と同じクラスだったとして、友達になれたかと問われれば、ならなかったと思う。  噂通りに飲み会の前から酔っ払っていて、始まると休むことなく酒を体内に流し込み、一時間もしないで力尽きて眠ったかと思うと、三十分くらいすると起きて、「アタマ、いたーい」とか、「ぐあい、ワルっ」と言い、「迎え酒タイーム」と

別れて一ヶ月で彼氏が出来たと聞いて腹が立ったが、そいつとも半年で別れたと聞いて、また腹が立った

 アパートのドアを閉めると、エコバックから買ったばかりの冷えた500mlの発泡酒を取り出し、マスクを外して口を潤す。通勤用のバッグは玄関に置き、革靴を脱いでリビングに上がると、再びアルコールを体内に流し込む。時間を確かめると、十一時になろうとしている。明日も仕事。早く飲んで寝てしまわないと。  寝室まで移動、ハンガーラックにスーツを掛けようとして、姿見に、ビール片手の自分が映る。つい先ほど見たばかりの光景が思い出されて、その時の気持ちまでもが、ぶり返す。  最寄りのコンビニで

そっちのタイプ

 岩佐から、「どうして自分ではダメだったのか知りたい」とお願いされて、なんと不毛な、と思った。「どうしても?」と聞くと、かつて甲子園を目指していたという浅黒い男は、「どうしても」と、真顔で返した。  学校に来ているなら、あそこだろうと、学食に行ってみると、昼前で閑散としているが、それでも、ここかしこで暇を持て余した学生たちが集まっておしゃべりに興じている中で、カコは、携帯から線の伸びたイヤホンで耳を覆い、小さな無人島のように孤立し、一人で勉強をしていた。  彼女の視線は辞書と