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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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#コラム

人間関係のストレスは、身近な人の死より辛い

お知らせ 林さんが書いた新しい小説が上梓されました。ぜひお読みください。 前回の記事はこちら 人類は嗜好品を克服できないいらっしゃいませ。 bar bossaへようこそ。 先日、松井博さんのVoicyに出演していたときのこと、こんな質問をされました。「林さん、お酒ってこのままずっとあると思いますか?」 お酒って、どうやってできるかご存じですか? 糖分に酵母がつくと、酵母が糖分を食べて、アルコールと炭酸ガスにするんです。酵母は空気中にふわふわと浮いているので、例えば、蜂

相手の気になる口臭、指摘できますか?

お知らせ 林さんが書いた新しい小説が上梓されました。ぜひお読みください。 前回の記事はこちら なぜ口臭が起きるのか?いらっしゃいませ。 bar bossaへようこそ。 僕、3才上の兄がいまして、東京で働いているので、たまにbar bossaにフラッと来店することがあるんですね。先日も早い時間に来店したところ、ちょっと口臭があったんです。兄は1杯目はビールを飲んだので、それで口臭が消えるといいなあと期待したのですが消えませんでした。2杯目は赤ワインを飲んだので、その渋みと

「先人から学ぶ」はもはや古い?

先日、なんとなくネットでアニメーターの現場ドキュメンタリーをみていた。その動画で取材を受けていた、現場の長である作画監督は60代のアニメーターだった。業界では結構有名な人らしい。 インタビューの中でさまざまな質問があったのだが、仕事のコツについての回答が印象的だった。現役でいられるコツは、という問いに対して、「若い人から技術を盗むことだ」という回答をしていた。 作画監督なので、他人の描いたアニメーションをチェックし、手直しすることがメインの仕事になるのだが、そのとき手直し

これからなくなるものを知りたかったら、この三つを考えればいい

お知らせ 林さんが書いた新しい小説が上梓されました。ぜひお読みください。 前回の記事はこちら ショップカードは無くなったが、名刺は残ったいらっしゃいませ。 bar bossaへようこそ。 先日、名刺をたくさん刷り直しました。でも最近、名刺なんていらないっていう風潮がありますよね。名刺って、いずれ世界からなくなると思いますか? というのも僕、渋谷で、bar bossaというワインバーを25年間経営しているのですが、ショップカードをやめてしまったんです。 ショップカードと

恋人が見つかる飲食店ってどういうもの?

お知らせ 林さんが書いた新しい小説が上梓されました。ぜひお読みください。 前回の記事はこちら モテるバーテンダーはどうやって女性を誘うのか?いらっしゃいませ。 bar bossaへようこそ。 僕のある親しくしているバーテンダーが、とにかくモテるというか、たくさんの女性とデートしている男性でして、一度「どうやって誘っているの?」って聞いてみたことがあるんです。 バーのカウンターって、他の飲食店の話題が出ることが多いんです。基本的に、バーのカウンターで会話をする人たちって

詐欺の手法も進化する

お知らせ 林さんが書いた新しい小説が上梓されました。ぜひお読みください。 この連載のこれまでの記事はこちら 突然妻の携帯電話にかかってきた不思議な電話いらっしゃいませ。 bar bossaへようこそ。 先日、日曜日の午後2時頃に、妻の携帯電話に非通知で着信がありました。出てみると、若い女性の声でこう言いました。 「自治会のスズキですけど、謝らなきゃいけないことがありまして」 スズキというのはもちろん仮名です。ただ、実際も珍しくない名字で、例えばサトウやタナカといった

【無料】それはろう教育以前の問題なのでは?

前回のお話しはこちら。 二朗が3歳になり、幼稚園を検討しはじめた。聴覚障害者には早期教育が重要で、年少から専門の教育機関に通い始める。どこを選ぶにせよ、親の付き添いは必須だ。送り迎えだけでなく、授業も一緒に受けて付きっ切りでサポートすることになる。 乳幼児教育相談に通っている学校で、素晴らしい先生たちとの出会いがあり、その学校付属の幼稚園に通うことに不満はなかった。でも先生からは、いろいろな学校を見学することをすすめられた。聴覚障害支援の学校は、学校ごとに教育方針がまった

【無料】「聴覚障害者でも話せる」の、何が問題なのか?

「どういう意味なんでしょうか?」 隣に座る妻の声には、ちょっとしたとげがあった。敏感に察した僕は、びびって目を泳がせていた。僕と妻に向き合って座る女性。相手も察したのか、返事に詰まると、部屋にはがちゃがちゃとプラスチックがぶつかる音が響いた。 使い古されたアンパンマンのおもちゃで遊んでいる、息子の二朗。大人の会話が急に止まっても遊び続けているのは、まだ3歳になったばかりという年齢のせい、だけではないだろう。二朗はレバーになった食パンマンの腕を、しきりに上下させていた。

父のパンツは良いパンツ

一泊だけ、実家でのんびりしてから東京に戻ってきた。 その際、洗濯物に父親のパンツが一枚混ざっていることに気が付かずに帰ってきてしまい、洗濯物を干そうとしたら、 「なにこれ?!知らない男のパンツが洗濯機の中に混ざってんだけど?!?!」とパニックになり、かなり動揺した。 私が実家に帰っている間、私の部屋で知らない誰かが暮らしていて、パンツ一枚だけ置いて行ってしまったのか?と一瞬漫画みたいなストーリーが頭に浮かび、かなりギョッとしたが、 冷静に考えて、実家でテキトーに荷造りした

「真剣に」取り組んでいいですか?

プロゲーマーの梅原大吾が、ある日「格闘ゲームで勝てるようになったときのこと」を話していたことがある。ちょっと抽象的な話だったのだが、「『格闘ゲームでここまで真剣に取り組んでいいんだ』と気づいたから」というのだ。 最初に聞いたときは「?」だったのだけれど、最近、なんとなく言わんとすることがわかってきた。要は、「単なる遊び」だったら友達と楽しく対戦するだけだが、本格的に「研究」をしてもいいんだ、ということを言っているのだと思う。単なる「遊び」ではなく、格闘ゲームを「競技」として

ママになって知る、父の“なんでもない日の贈り物”の意味

実家で暮らしていた頃、甘いものを食べない父が、よく仕事帰りにコンビニのスイーツを買ってきた。ふわふわのクリームが挟まれたケーキや、フルーツがちょこんと乗せられたプリン、モンブランが鎮座したパフェ。買ってくるのは母・妹・私の3人分だけだった。 「お父さんは食べないのに申し訳ないな」と子どもながらに思いつつも、家族のためだけに買ってこられたデザートは素直にうれしかった。どうしてなんでもない日にわざわざ買ってきてくれるのか不思議でならなかったが、最近になって父の気持ちが少しわかっ

トラブルメーカーって本当にわるもの?

お知らせ cakes時代からの本連載をまとめた、林伸次さんの新刊が発売しました! 日本一発信力のあるバーの店主が、人と交わる「わずらわしさ」と「幸せ」、「うまく生きるヒント」をつづった人間関係考察エッセイ。ぜひお買い求めください! 前回の記事はこちら 「コミュニケーション能力」の本当の意味いらっしゃいませ。 bar bossaへようこそ。 「あの人はコミュニケーション能力がある」とか、「まずはコミュニケーション力が大切」とか、コミュニケーションについていろいろと言われま

95歳のおばあちゃん

わたしの祖母は今年95歳の誕生日を迎えた。 戦争時代を駆け抜けた過去と未来を懸け橋する貴重な存在。 長寿大国と言われるここ日本の象徴であった。 祖母の姉と兄にあたる子が生後、間もなくして亡くなった。 次産まれてくる子は長生きできるようにと願いを込めて、祖母にはツルヨと名付けられた。 鶴は千年 亀は万年 ありがたいことに十分名前にあやかってご長寿である。 祖父は10年以上前に他界した。 以来、祖母はひとり暮らし。 高齢なこともあり同居や施設暮らしも提案したが、

値段を聞くたび笑う外国人のお客様

お知らせ cakes時代からの本連載をまとめた、林伸次さんの新刊が発売しました! 日本一発信力のあるバーの店主が、人と交わる「わずらわしさ」と「幸せ」、「うまく生きるヒント」をつづった人間関係考察エッセイ。ぜひお買い求めください! 前回の記事はこちら 反省しなければいけない過去の日本人いらっしゃいませ。 bar bossaへようこそ。 先日、海外からのお客さまが、「フルボディの赤ワインをボトルで何か」と注文されました。お席に数本もっていき、「こちらがボルドーのオーメドッ