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これからなくなるものを知りたかったら、この三つを考えればいい
お知らせ
林さんが書いた新しい小説が上梓されました。ぜひお読みください。
今回の「ワイグラスのむこう側」は、これから時代になくなってしまうものについて考えます。なくなりものが知りたかったら、考えるべき3つの事柄があるそうです。それはいったい何なんでしょうか?
ショップカードは無くなったが、名刺は残った
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
![](https://assets.st-note.com/img/1698978860705-lx9LhQJPfW.jpg?width=800)
先日、名刺をたくさん刷り直しました。でも最近、名刺なんていらないっていう風潮がありますよね。名刺って、いずれ世界からなくなると思いますか? というのも僕、渋谷で、bar bossaというワインバーを25年間経営しているのですが、ショップカードをやめてしまったんです。
ショップカードというのは、名刺の大きさのカードに、お店の名前や住所や定休日や営業時間なんかが書いてあるものです。このお店に来て気に入ってくれた方は、一枚持って帰って、財布の中に入れておいて、「あれ? bar bossaっていつが休みだっけ?」って確認するためにそのカードを取り出したり、そのカードを見て、電話して予約してくれたり、あるいは、友だちと話しているときに、「そういえばこの間、渋谷ですごく良いバーを見つけたよ。これショップカードあげるよ。今度デートで使ってみたら」なんて風に渡してくれる存在だったんです。
今はそういうお店の情報は、全部スマホで検索してしまうんですね。bar bossaの定休日や電話番号が知りたかったらまず検索してしまうし、友だちにオススメしたくなったらURLを送るんです。だから、ある時期からショップカードを持って帰る人がいなくなりまして、今はやめてしまったというわけです。
名刺もそういう風になるのかなって思ったのですが、全然そんな気配がなくて、相変わらず毎晩のようにお客様に、「林と申します。よろしくお願いします」って名刺をお渡ししている状況なんです。
僕の名刺って情報としてはショップカードと同じでして、お店の営業時間や住所や電話番号が書いてあるだけなんです。でも僕が名刺を出すと、多くの人が「ああ、こちらこそよろしくお願いします。良いお店ですね」とかなんとか仰ってくれながら、相手も名刺を出してくれたり、「こういう仕事をしているんですよ」ってご自分のことを少しお話ししてくれたりするんです。名刺がなければこういう会話はなかったんだろうなあって、いつも思うんですね。
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